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私の可愛いシンデレラ  作者: 真弓りの


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10/13

私にお願いしたいこと

そして残業を終えた私たちは今、会社から電車で5駅離れた小洒落たレストランに来ている。


ぶっちゃけ私はもう、そこらへんの飲み屋でいいと思っていたわけだけど、湯北くんに難色を示されてしまった。


まあね、会社に近いとこだと誰に見られるか分からないしね。変な噂になっても困るんだろう。即座に理解した私は言われるがままについていく。そして落ち着いたのがここだった。


メニューから察するにイタリアンなのかな。パスタも美味しそうだけど、さすがに21時過ぎてるし。ちょっと軽めの方がいいか。でもお腹はすいている。迷った末に頼んだのはチーズリゾットだった。空腹に負けた……。



「デザートも頼みませんか?」


「んー、じゃあ桃のコンポートがいいかな」


「久美先輩、意外と甘いもの好きですよね」



なぜか湯北くんが嬉しそうに笑う。


オーダーをすませたら、いよいよ本題だよね! どんな話を聞かせてくれるのか、興味がないといえば嘘になる。全力でサポートするからドンとこい!って思ってるのに、湯北くんは趣味だの休日の過ごし方だの当たり障りのない話題ばっかりふってくる。


ついにチーズリゾットが出てきちゃったじゃないの!


内心そわそわしたけれど、さすがに食事中にこの手のことを根掘り葉掘り聞くのもどうかと思って、食事が終わるまでとりとめもない雑談を続けた。そもそもの素質なのかこの一年の営業での修行の成果か、湯北くんの話は面白くて飽きない。おかげで食事の間だけで、家族構成から食べ物の好き嫌い、学生時代の部活まで……随分と湯北くんのことに詳しくなってしまった。


穏やかな時間が過ぎて、デザート待ちになった頃、私はやんわりと切り出した。



「そういえば湯北くん、さっき言ってた『私にお願いしたいこと』ってなんだったの?」



私がそう言った途端、湯北くんはサッと赤くなって、急にうつむいた。


うわぁ、初々しい。湯北くんってあれだけ同期の女の子たちに人気があるみたいなのに、こういう話は苦手なのかな。


なんだか微笑ましくて、私は湯北くんの方から口を開いてくれるのを待つことにした。運ばれてきた桃のコンポートを紅茶とともにゆっくりと味わっていたら、テーブルの上でもじもじと動いていた湯北くんの手に、ぐっと力が入る。


お、話す気になったか……と思って私も顔を上げる。湯北くんのまっすぐな瞳が、私を見つめていた。



「久美先輩、俺と……付き合ってくれませんか? その、恋愛的な意味で」


「えっ、無理」



気がついたら断っていた。

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