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ゴツくてでっかいガラスの靴

日差しがポカポカと暖かい中庭で一人のんびりお昼ごはんを食べて、2階にある自分の部署に戻るため階段を上っていた時だった。


「うわっ」


小さな叫びと共に、上から人が降って来た。



つまずいたのか何なのか、私の真横を緩やかな放物線を描いて落ちていく彼は……



「~~~~~っ!!おりゃあ!」



おおっ!素晴らしい。

なんと空中でなんとか体勢を立て直し、踊り場に着地した。まぁその後勢いで壁にはぶつかってたけど。


とりあえずケガをしなくて良かったと、ちょっとホッとした時だ。少し上の段に、サンダルが片足分だけポツンと残されているのに気がついた。



シンデレラか。



思わず心の中でツッコミを入れてしまった。実際はシンデレラのガラスの靴とは似ても似つかないゴツくてデカいサンダルを拾ってから、踊り場の彼に声をかける。



「湯北君、大丈夫?どこか捻ったり、強くぶつけたりしてない?」


「だ……大丈夫です。ていうか、恥ずかしいとこ見せちゃって……」


シュンとしているのがちょっと可愛い。今年入ったばっかりの新人、湯北君は明るくて元気、同期の女の子達はもちろん男女問わず先輩達からも可愛いがられるタイプだ。


「いやいや、あの体勢から着地出来るのは凄いよ。はい、サンダル」


若いって凄いね、と言いそうになって思い留まる。さすがにそのコメントは言いたくない。こけた上での大ジャンプが相当恥ずかしかったらしい湯北君は、真っ赤な顔でお礼やら口止めやらを口にした後、脱兎のごとく走り去った。


あはは、この後の新人研修で絶対に顔を合わせるのになぁ。本当に、新人ちゃんは面白い。




それなりに大きな企業の我が社は、この3年新人の採用を我慢してきた。長引く不況の中本当に最小限の人材確保に留め、昨年の海外戦略の成功を受けた今年、やっと大幅な人材確保に乗り出したのだ。


兼ねてより人員不足を声高に叫んでいた我が部署にも、今年いきなり3人の新人さんが配属された。そして一番年が近い私が教育係を任命されたわけだ。




入社4年目にして初めて出来た湯北君含む3人の後輩は、なかなか個性豊かだった。


私は密かに心の中で彼らをこう呼んでいる。


おっとり姫のユナちゃん。


恋するアマゾネス紗希ちゃん。


そして、シンデレラ湯北くん。



今年採用された40数名の中でも、紗希ちゃんはダントツに美人さんだ。

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