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出会い

 「大丈夫?」


 そこには茶色い髪のポニーテールの美少女がいた。


「あ・・・うん・・・」


 俺が素っ気ない返事をするとその美少女はモヒカンの方に視線を移し、小さく息を吐いたと思うとモヒカンに向かってジャンプして、そのホットパンツからのびる綺麗な脚で顔面に蹴りをお見舞いした。

 その一発で倒れるモヒカン。あっという間に床には、のびたチンピラが二人。残ったパーカーの顔にはあからさまに焦りの色が見える。そして、


「お・・・おぼえてろよ!」


 という悪役おなじみのセリフを吐いて、のびた二人を抱えて逃げていった。残ったのは俺と美少女の二人。


「ケガはしてないみたいだね。よかった。あれがたぶんボスの言っていた新人狩りの連中ね。ほんと弱い者いじめして何が楽しいのかしら」

「あの・・・君は?」

「私はアリス。アリス・リンネ・クレスタット。あなた、行くところがないなら私たちのところに来る?」

「あ、俺はユウト。私たちのところって?」

「こっちよ。ついて来て」


 そういうとアリスという名の美少女は俺の手を引き、歩き出す。


「あなたさ」

「あ、ユウトでいいよ」

「じゃあ、ユウト。自分の能力くらいちゃんと自分で使いこなせなきゃダメだよ」

「ごめん・・・だけど俺ここに来たばっかで、最初の説明も聞き逃しちゃったみたいで何が何だか」

「そっか。なら私が色々教えてあげる」

「なんで初対面の俺にそこまで」

「それは私がお人よしだからです」

「自分で言う?」

「うるさいなー。じゃあいいの?」

「ごめん。お願いします」

「いい?まずこの島の名前はダストシティといいます」

「それは知ってるよ」

「うるさい!黙って聞く!」

「はい。すみません」

「罪を犯した者が隔離され人体実験の道具にされる島です」

「人体実験?」

「そう。ユウトもここに来た時、注射を打たれたでしょ。あれは特殊強化剤といって人間に新たな可能性を与える薬なんだって」

「じゃあ俺の足が速くなったのは」

「その薬の効果ってことね。ちなみに私の能力はこれ」


 そういってアリスはさっきと同じように小さく息を吐き、腰を据えるとそばにあった電柱に正拳突きをくらわせた。

 すると当たった場所は瞬時に砕け、電柱がボッキリと折れた。


「えええ!?い、痛くないの?」

「全然大丈夫。だってコレだからね」


 そう言って掲げたアリスの右手は鉄の様な銀色に変わっていた。


「それって・・・」

「これが私の能力。身体を鉄の様に硬化させて強化できるの」


 何だそれ・・・もはや人間じゃないだろ・・・


「そしてこの島のもう一つの目的がコンテスト」

「ああ、そのワードは偉そうな軍服が言ってたな」

「ユウトも帝国に住む人間ならヴィクトリー&ヴィクトリー(V&V)って知ってるでしょ」


 V&V

 それは国民的人気のテレビ番組だ。視聴率は毎回80%を超える程の人気を持つモンスター番組。ブイブイという略称で帝国民の間で親しまれている。もちろん俺もそのひとりだ。その内容は超人たちが武器や己の肉体そして魔法などの不思議な力を使い、ダイナミックな戦いを繰り広げるエンターテイメント番組だ。もちろんそれはフィクションであり所謂CGを使って演出された創作。

 そう思っていた。


「その出場権を得るためのコンテストがこの島で行われているの」

「じゃあ、あれってCGじゃなくて本物だったのか」

「そう。そしてここビギナーランクでの次のコンテストが一週間後に開かれる。ユウトにとっては初戦になるから、これは強制参加よ」

「ええ!?でも俺、速く走れるだけだし。君みたいな能力を持ったのがいっぱい参加するんだろ?」

「そうよ。まあ、死なない程度に頑張ってね」


 む、無理だ・・・絶対に死ぬ・・・


 そうして俺が絶望に浸っているうちに大きな門の前にたどり着いた。門には街のいたるところにあった落書きのひとつが描かれている。たしか、管理所を出てすぐにあった無人のスラム街の壁にも同じ落書きが大きく描いてあったはずだ。何か意図があって描かれているのか?


「おかえり、アリス。無事か?その隣のヤツは何だ?」


 門の上にある見張り台から男が話しかける。


「新人君だよ。私たちの仲間に入れてあげてほしいの」

「まったくお前、お人よしにも程があるぜ。じゃあ、とりあえずボスに話してみろよ」


 そしてゴゴゴという音をたててゆっくりと門が開いた。

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