存在意義
しかし、喫茶店で見かけた人達はどこを探してもいなかった。
『はぁ・・・』 私は、心の中でため息を吐いた。
好きな人を、好きでいるのに、どうにもできないもどかしさ。
話したこともない。
けれど、好きでいる。
そんなもどかしさが、私自身を苦しめる。
私は、そんなもどかしさを抱えながら、ゲームセンターで話している女の子グループに声をかけた。
「あのさ、、、」
「カズって人が、ここに来ていたと思うんだけど、知らないかなぁ?」
そう言った、私をまじまじと見る女の子グループ。
『なんだろう?』と、私が違和感を覚えた直後、
「何てめぇ?」
「あいつの仲間?」
「表に出ろよ!」
と私の胸倉を、突然掴んできた。
「痛い!」
「何するの?」
私がそう言うと、「こんなカスに、カズをぼこぼこになんてできないよ」と、私の胸倉を掴んだ子じゃない子が言う。
正直、悔しかった。
正直、自分が情けないと思った。
ただ好きなだけ、、、
それだけの理由でこそこそと嗅ぎまわる、私。
私は、彼にとって何者なのだろう?
知り合い?
いや、向こうは私のことなんて眼中にないのかも、、、
こうして、私はカズという存在が見れなくなった。




