最終話 出会い
ということで、これで最終話となります。
いままで・・・いえ、これはあとがきに残しておきます。
それでは、最後をお楽しみください!
初夏ある日の夜中。真琴は、駅へともうダッシュしていた。もうすぐ今日の最終電車が出てしまう。それに乗り遅れたら結構な距離を徒歩で帰らなければならない。そんなの死んでもごめんである。駅まではあと一キロほど。体力の限界も近いが仕方がない、こうなったのもバイト先がいきなりつぶれるから悪いんだ。まぁなってしまったのは仕方がない。明日からまた新しいバイト先見つけないとほんとにマンション追い出されそうだ。ていうかもう出てけって言われてるけど・・・。今日はとことん運がない日だ。本当に、占いできっと最下位なんだろうな。そんな今日もあと一時間ほどで終わりを迎える。あと少しだ。そうすれば今日よりはましな明日が来る。なんて思ってたら本日最後の運がない出来事が起きた。すぐそばにある路地から、誰かが飛び出してきた。
あれ・・・・・なんか・・・こんなの前にもあったな・・・
あれから、僕の人生ががらって変わって・・・
あの人にあったんだ・・・・
そうこうやってぶつかって・・・頭からちょっと覚めたホットコーヒーをかぶって・・・
「って・・・・冷たい!?っふああああああああ!?」
どっすん。と、真琴は地面にしりもちをついた。
前はなんとかつかんでもらえてたなぁ・・・なんて考えてると、ぶつかってきた人の声が聞こえてきた。
「わるい!大丈夫か!?怪我は!?」
「っ・・・・・・・え・・・・・?」
うそだ・・・・。でも・・・・この声は・・・・間違いない・・・・。
真琴はゆっくりと顔をあげてその人を見た。間違いない。僕が見間違うはずがない。
大谷翔が、そこにいた。
「か・・・・かけ・・・・・・。」
「ん?やっぱどっか怪我したのか?わるいな、俺が携帯みながら歩いてたから。」
「い・・・いえ・・・・。」
やっぱり・・・まだ思い出してないんですね・・・僕の事。
「ほんとごめんな。服とか、クリーニング代出すから・・。」
「え・・・そんな、こんなの全然。大丈夫ですから・・・僕も周り見て無かったんですし・・。」
「いや・・・でも俺にはなんのがいもなかったんだしさ、君ばっかり、そんなになっちゃって・・・。」
ウソみたいに、初めて会った時の事が繰り返されている。あの時も確かこんな感じだった。それで、この後僕は眼鏡なしに立ちあがって、壁に向かって歩いて行って、そこを翔さんが止めてくれて、家に来ないかって誘われて・・・・。もしあの時誘われてなかったら、僕はこの人を好きになるなんてなくて、ううん・・・誰かを好きになんてならなかった。
「あの・・・ほんとに大丈夫ですから!僕、これで失礼します!僕の方こそ、アイスコーヒー、だめにしちゃってすみませんでした!!」
今日、会えただけで・・・幸せだ。もう一生会わないって思ってたし・・・。会えてよかった。それだけじゃなくて、話も出来て・・・・今日は一番ついてる日だな。
そう思って、立ち去ろうとした真琴の腕を翔がつかんで引きとめた。
「え・・・・あの・・・・・。」
「そっち・・・・・そっち、壁だけど?」
「っえ・・・?でも・・・壁なんか・・・・・・。」
真琴の前には壁などない。なのに翔はそうつぶやいた。空いているもう片方の手で額を押さえながら。
「もしかして、目、そうとう悪い?」
「あの・・・・何言って・・・・・。」
さっきから、会話が全然かみ合わない・・・・。それにその言葉は全部あの時と一言一句同じなのだ。何が起きてるんだろう。
「・・・・と・・・・・琴・・・・真琴・・・・?」
「っ・・・・。」
「お前・・・・真琴・・・・そうだ・・・真琴・・・・・・。」
「ちが・・・・人違い・・・・ですよ・・・・・。」
「何・・・言ってんだ・・・?っ・・・・そうだ・・・・俺・・・・なぁ・・・真琴。お前、真琴だろ?」
だめ
だめ
だめ
だめ
思い出させては駄目
「ちがい・・・・ます・・・・。」
「嘘つくの下手糞だって前に言ったじゃん。」
「違うったら違います!!僕は真琴なんて名前じゃないし、貴方のことだって何も知りませんよ、翔さん!!・・・あっ・・・・。」
「ほら、嘘つくの下手糞。なんで、俺の前からいなくなったんだ?お前今までなにしてた?」
「やだ・・・・いやだ!!だめなんです!!僕は貴方の傍になんかいちゃいけないんです!!僕がいたら、貴方はまた傷つく!!そんなの・・・もうやだ!!」
「だから、いなくなったのか?」
「っ・・・・・だって・・・。もう、貴方の中に僕はいなくなった。もう・・・傍にいる理由が・・・よくわからない関係になって・・・・。でも・・・もうこれ以上・・・苦しんでほしくなんかなかったからっ・・・だから・・・・。」
震える小さな後ろ姿を、フッと笑った翔が腕の中に抱き締めた。コーヒーによって濡れた身体がびっくんと大きく震えた。
「俺は、もう完全に思い出した。・・・この半年、正直違和感あった。用もないはずのキッチン、俺の隣にある家具しかない部屋。家じゅう用もないはずなのに・・・でも何かを探しまわってた。俺が・・・ずっと探してたのは・・・真琴だったんだな・・・。そうだ・・・探しまわってたとこ全部・・・真琴に関係するとこばっかだな・・・。なんで思い出せなかったんだろ・・・ばっかだな・・・俺。」
「うっ・・・・ふえ・・・・っく・・・・・さ・・・・翔さ・・・・。」
「今まで、一人にしてごめんな、真琴。もう、一人になんかさせないからな、ずっと。」
「うっ・・・翔さん―――――――!!」
バッと身をひるがえした真琴はひしっと翔の胸に飛び込んで泣いた。今まで我慢してたぶん全てを吐き出すように、泣いた。
「っはは・・・そっか・・・そういうことか・・・。こりゃ護に一本取られたか?」
「っく・・・・ふえ・・・?」
「7月7日。今日は確かに七夕だ。でもそれは記憶失ってた時の俺にとって。今の俺にとって7月7日は。」
そこで、翔はふっと真琴に微笑みかけた。そしてこう続けるのだった。
「・・・・真琴、誕生日おめでとう。」
「っ・・・・おぼ・・・えててくれたんですか?」
「ああ。初めて会った日に充が言ってたからな。なるほど、陰ながら護は俺の記憶戻そうとしてたんだな?さては今日いないのも、真琴を探してか。」
「僕が力使って・・・充さんでも・・・見つけられないようにしてましたからね・・・。」
「なら、もう少しだけ、そのままにしておいてくれ。」
「え・・・なんでですか?」
「まだ、7日だし。日付変わるまで、いまからデートでもするか?」
「っ・・・はい・・・・。あ・・・でも・・・服・・・・。」
「この近所にこの時間まで何故か開いてる知り合いの服屋があるから、そこ行くぞ。」
「はい!」
ほんとに、僕達は不思議な出会いをした。
そして出会いはくりかえされて
僕達は離れ離れになんかならないようになってる
ずっとずっと
もう僕は
貴方の傍から離れはしない。
翔さんこそ、僕の運命の人なんですね。
あの日は僕の人生で一番の災難な日で
そして
一番幸福な日。
「翔さん、ずっといっしょにいてください!」
「ああ、もちろん。お前もだぞ、真琴。」
「はい。」
翔さん、ぼく、貴方の事大大大大・・・大好きです。
あなたに会えて・・・・ほんとによかった。
~完~
最後までお読みくださり、ありがとうございました!




