第二十六話 安堵
最終章になりますね。
といってもすぐには最終話にはならず、もうワンエピソードあります。
起きたら、あの時と同じ真っ白な天井が目に入る。あの時はそのまますぐに優に部屋の場所を聞いて、飛び出していったのを真琴はおとなしくベットの中で思い出していた。
此処は優が院長を務める病院にある病室だ。ほんの半年前くらいにも、真琴は此処に入院していたことがあった。あの時は翔にお腹を貫かれたのだ。そして今回は・・・。
「足・・・・動かない・・・・。」
上半身を起こし、包帯が巻かれた左足に力を入れてみるが、ピクリとも動かない。もう動かないのだろうか・・・そう思っていたら、ちょうどいいタイミングで部屋のドアが開く音がした。クリーム色のカーテンが視界を遮っているため、誰が入ってきたのかわからなかったが、その入ってきた人物がカーテンの境目から入ってきて、それが優だと分かった。
「!・・・・起きてたんだね。」
「今・・・起きました・・・・・。あの・・・僕の足・・・もう動かないんですか?」
「いや・・・動くよ。要一がきれいに治したから。といっても、神経とか筋肉がぼろぼろだったから、ちょっとまだ動かないけど、時間がたてばまた元通り立てるし、歩けるようにも走れるようにもなるから安心して。」
「よか・・・った・・・・。・・・・あの・・・もういっこだけ・・・その・・・・。」
聞きたいことが、どうしても聞きたいことがある。それなのに、なかなかその言葉は真琴の喉から先に出てこなかった。聞いてもし・・・・もし・・・最悪な現状を言われたら・・・・。そう思うと、聞くこと自体が恐ろしく感じられてしまう。真琴はそれっきり黙りこみ、顔を伏せ俯いてしまった。あのときの重さがまだ体に残っている。忘れられない、あのときの不安と後悔と絶望感。もう、手遅れな気さえしてくる。そう思うと涙が眼のふちにたまる。
優はそんな真琴を見て、彼が何を聞きたいのかを悟った。いや、見てからではなかった。この部屋に来る前から、彼が起きたら聞かれるだろうと思っていた。そしてそれはその通りだった。
「生きてるよ。」
「っ・・・・ほんと・・・ですか・・・・?」
「ちゃんと生きてる。俺はこういうことでは嘘ついたりしないよ?安心して。」
生きてる。
たった四文字なのに、今まで抱えていた大きな悩みが全部吹き飛んでしまった。真琴はさっきまでとは違う気持ちでぽろぽろと涙を流した。安堵した顔で、ただただ生きてるという事実に涙していた。優はそんな彼を見て、優しく頭をなでたのだった。だが、その表情はどこか苦しげに歪んでいた。だがそれに真琴は気がつかなかった。
「でも、しばらくは会えないよ?まず君は足が動かせるようになるまでは安静。おとなしくベットにいなさい。いいね?」
「はい。」
「ほんとに判ってるよね?」
「ぅ・・・はい・・・・。」
「っていって、この前はまだ寝てなきゃいけないのに、飛び出していったからなぁ?」
「立てないから・・・大丈夫です!」
「それもそうか。もし、無理やりにでも会いに行こうとしたら・・・縛っちゃうよ?」
「えっ・・・・・。」
「なーんてね。お腹すいたでしょ?ご飯持ってこさせるからね。」
「はい・・・・。」
看護婦に真琴のご飯を頼んだ優は、その足で翔の病室に向かった。
そういえば、前作もラストは病院でしたね。
入院しすぎですね。私は一度もしたことないんですけどw
ま、今回は病院がラストの舞台にはなりません。




