第二十三話 犠牲
ちょっとグロい表現があります。
血とかそういうのです。
真琴はただ走っていた。なぜなら対抗する力がなかったからである。真琴の『抑制』の力は、奈央の『侵略』の前では何の意味も持たないのだ。襲いかかってくる黒き影から、真琴は部屋中を駆け回り、この状況を打破する方法を探していた。奈央は愉快そうに笑いながら、真琴を追いつめてくる。
なんとかしないと・・・でも・・・どうにもならないし・・・・。
そんな様子を翔と対峙しながら、護たちも見ていた。だが、彼らも真琴に駆け寄ることができないでいた。能力を発動、それも暴走させている翔を止めるのは彼らには不可能に近く、そんな翔を相手にしながら真琴を助けるのはさらに不可能なのだ。
「琴ちゃん・・・・・。」
「ガゥ!!」
「護、翔を正気に戻せない?」
「簡単に言わないで・・・よっ・・・!!っと・・・翔がちょっとでも動きを止めてくれればいいけど!?」
「そりゃ無理だわ。うぉ!?・・・こっちの命がいくつあっても足りねーよ。」
「よし、・・・・・・・・・護が囮になろう。」
「それじゃあ、誰が正気に戻すのさ!!充!?」
「あ、そっか。残念。」
「おいいいいいいいいい!!」
真琴を追いかけながら、最初のうちは楽しんでいた奈央だったが、もはやそれにも飽きてきていた。
あーあ、なんかつまんないや。ちょこまかしぶといし。さっさと死ねばいいのにさ。・・・・そっか、こんなちまちまやってる僕もダメだったか。
「最初から、全部巻き添えにしちゃえびいんだ。」
そういって、奈央は怪しく笑った後、その部屋の天井を破壊し始めた。
「な・・・・なにするの・・・・!?うわっ・・・・!!?」
「つぶれて死ね。」
無数の天井のがれきが、上部から降り注いでくる。押しつぶされでもしたら、間違いなく致命的である。
「っ・・・・っはぁ・・・・わっ・・・・あぁ・・・・!!」
降り注ぐがれきから、真琴は無我夢中で逃げ続ける。だが、どんな人間にも体力の限界はつきものである。真琴は少しバランスを崩し、転倒してしまった。そして-------
ぐしゃあ
「っあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
がれきが、真琴の左足を押しつぶす。あっという間に骨は砕け、皮は剥がれ見えるはずのない真っ赤な肉があらわになる。血管は断絶され真っ赤な鮮血が床へとあふれ出る。足ががれきの下敷きになり、真琴はそれ以上動くことはできなくなった。
「ああっ・・・・あっ・・・・うっ・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あっ・・・・っぐぅ・・・・あ。」
「っははははは!!やっと捕まえた。いったそー。血もいっぱい出ちゃってるし。痛い?痛いよねぇ。でも、まだ死んでない。」
「っ・・・あ・・・・・・・な・・・・やめ・・・・。」
「さようなら・・・・ひ弱な『白姫』・・・・。」
真琴の真上にあった残っていた大きな天井のがれきの塊が、真琴の上に落下した・・・・
先ほど、真琴が足を押しつぶされる間際、護たちはそのほうを見て危険など顧みず真琴のほうに駆け寄り始めていた。
そして、再び真琴が・・・今度は全身をつぶされるという絶体絶命の瞬間の間際、一人の人間が真琴にさらに近づいた。
どがああああああああああああああああああああああ・・・・・
真琴の体は、天井のがれきの下に見えなくなった
護たちは全員が青ざめただその状況を眺めるしかなかった
誰もが最悪の現状を受け入れたくなく、我が目を疑いたくなっていた
だが、一番目を疑いたかったのは彼らではなかった・・・・・・・・・・・・・・・・
黒姫編は次がラストです。
真琴の運命ははたして・・・・・




