第二十一話 迫る狂気
やっぱ奈央は怖いですね。いえ、真琴と二人になると途端に狂い始めるといいますか・・・・怖いです。
奈央が目の前にいる。そう思うだけで、あの夜のことが思い起こされる。収まりかけていた震えが、再び弱く戻ってきた。それでも、逃げることはできない。
「また、蹴られに来たの?」
「そんなわけない。翔さん、取り戻しに来ただけ。」
「あきらめ悪いんじゃない?あの人はもうあんたのことなんかなんとも思ってないって言ったの、忘れた?」
「・・・・・・そんなの信じない。ちゃんと、今度はしっかり、翔さんと向き合ってほんとのこと聞きたい。だから、君から取り戻す。」
「なに、ほんとのことって?あれがほんとのことだって分かんない?」
「うん、あれは翔さんじゃない。ううん・・・君がなんかしたんでしょ?言ってたよね、手に入れるためなら何だってする・・・それに君の能力って人も惑わすことできるようなこと言ってたよね?つまり、君は翔さんを操ったんだ。ひどいよ・・・人を操るなんて・・・最低だ。」
「負け犬の遠吠えにしか聞こえないけど?さっさとあの人のことなんか忘れちゃえばいいのに。馬鹿じゃないの。」
「馬鹿だよ。馬鹿みたいに僕は翔さんが好きなんだ。でも、君は違うでしょ?君は・・・君は自分の能力のことしか考えてない。そんなの・・・そんな考えに・・・君の中にみじんも恋愛なんてない。自分勝手なことに、翔さんを欲しただけじゃん・・・。」
「何言ってんの?愛に決まってんじゃん。」
「そう思ってるだけだよ。だって、君はいつも能力のことしか話さない。翔さんのことなんかこれっぽっちも話題にしない。それって能力しか考えてないからでしょ?」
次第に、奈央の顔が歪んでいく。初めて奈央に焦りが見えてきていた。
「もういい・・・最初からあんたみたいな人間に・・・僕のことなんか理解できるはずもない・・・。皆壊しちゃえ・・・殺しちゃってよ・・・・・。」
「え・・・・?」
周りの空間がほころび始め、真琴の瞳に映ったのはすでに崩壊しかけた室内。そして対峙している、翔と護たちだった。
「翔さん・・・・なんで・・・・・?」
翔はすでに、能力を解放していた。
人の姿をした、破壊神がそこに降臨していた。
あれ、なんか前作のラスト間際みたいになってますね。
あれ・・・あれれ?デジャビュ?うーん・・・あれ?
でもまだラストではないですよ。まだ続きます。




