第十六話 狂気
前話に引き続き、奈央がひたすら真琴に暴力を・・・
残酷?的描写になってると思うのでご注意ください。
せき込む。とくに何かが出てくるというわけではないようだけれども、それでも真琴は苦しさとこみあげてくる何かにせき込んだ。奈央はそんな真琴を愉快そうに見下ろす。先ほど奈央に吹っ飛ばされたコクとビャクはすでに形を保てずに戻ってしまっていた。のしかかられた奈央の足の下で、真琴は何とか抜け出そうともがいていた。だが、それはむなしい抵抗に終わった。全くと言っていいほど力が入らない。それよりも全身に走る痛みのほうが強い。苦しくてたまらない。思わず眼の端に涙がたまる。
「どう?自分の無力さ思いしった?」
「やめ・・・・離して・・・・なんで・・・・?」
「あんたさぁ、ほんとは生まれてくるはずじゃなかったんでしょ?知ってるよ、調べたから。自然の理にそむいて生まれてきたんだって?お母さんのおなかの中から生まれてきてないんでしょ?」
「っ・・・・。」
「あんたは規格外なんだよ。言ってる意味解る?あんたがこの世にいようがどうしようがそんなの関係ないんだよ。むしろいなくたってなんもかわんないよ?別にいなくなったからって、誰も困らないもんねぇ?」
「やめ・・・・違う・・・・・。」
「何が違うっていうんだよ!!」
「うっ・・・あああああ!!」
脇腹を思いっきり蹴られる。奈央はさっきから殴るよりも蹴ってくる方が多かった。人間明らかに手より足のほうが力は強い気がする。薄暗い部屋の中だから、今の自分がどうなっているかなんて誠にしるすべはない。でも、きっとあざだらけに違いなかった。あちこち内出血して、黒ずんでて・・・。
「はぁっ・・・・はぁっ・・・・あっ・・・・。」
「よっわ、弱いよね。これで僕の対とかありえないんだけどさぁ。もっとなんか対抗してみなよ?ほら。・・・・ってできるわけないか、何にもできない、押さえるだけしかできない『白姫』だもんねぇ?僕みたいに傷つけることも、とらえることも、惑わすこともできないよねぇ?」
「う・・・ぁ・・・・誰か・・・・・・助け・・・・・。」
「あのさ、気づかないかなぁ?あんたさっきからずいぶん大声で叫んでるよね?同じ屋根の下にいて、ほかの二人が気がつかないのはおかしくない?」
「ぅえ・・・・・・・・・なに・・・・っしたの・・・・。」
「ちょっとこの部屋、僕の能力で覆わせてもらったから。簡単に言うと、完全防音にさせてもらったから。こんなところ邪魔されるのは嫌だからね。」
「そ・・・・そんな・・・・・。」
あっははははははと、部屋の中に奈央の勝ち誇った笑い声がこだまする。そして、ふたたび真琴の体に痛みを与えていく。脇腹、鳩尾、背中。ありとあらゆるところを奈央は手加減することもなく蹴っていく。まるで真琴がボールであるかのように。そしてそれで遊ぶ子供のように無邪気にわらっいながら。そのたびに真琴の口からは悲痛めいた悲鳴が漏れる。
痛いよ
苦しい
でも
一番苦しいのは
お腹じゃなくて
背中じゃなくて
胸・・・・・・ううん・・・・心?
いつの間にか奈央はいなくなっていて、真琴の部屋にはベットではなく床にじかに横たわる真琴だけだった。傍から見ればただベットから転がり落ちただけに見える。無理もない、奈央は真琴の顔・手・足には一切外傷を与えていない。すべて服で隠れるお腹や背中ばかりだった。そこはもう温度すら感じられぬほど麻痺し、真琴は痛みすらも感じなかった。チェックの柄のパジャマには不自然に赤いシミが丸くしみていた。蹴られすぎて血が外にまでしみ出たのだった。
起き上ることも困難で、声すらももう枯れ果ててしまったというほど出ず、真琴はただその誰も居ぬ部屋の中で静かに泣いて意識を失っていた。
憂さ晴らしに来ただけな奈央君。真琴がだんだん薄幸な少年に逆戻りしてます。
かわいそうだよ・・・。Ⅱでは泣いて傷ついてばっかですね。
ハッピーエンド目指して頑張ります!にしても、奈央くん怖い。
それと奈央君の能力の名前が決まりません。困った。




