第十四話 嵐来た!!
嵐・・・というよりただの言いあいっこですけどね。
びっくりした。
なぜって、いきなりドアがいとも簡単に開けられてしまったから。多分なんか能力使ったんだろうけど。そして嫌な笑いをしながら入ってきた姿を見て一瞬でああ、香月が来たんだなっていうのは分かった。まだそれまでは良かった。今まで後ろで手を組んでた香月が手を前に持ってきて、僕の目の前に一本のペットボトルを差し出してきた。ちょっと訳わかんなくて間を丸くしてた僕に香月は『これなんだ?』って聞いてきた。僕は正直に『炭酸水・・・。』って答えたら・・・あいつ・・・。
「なんでいきなり炭酸ぶちまけンの!!?さては階段から振ってきてたでしょ!!」
「その通り。水も滴る何チャラってやつになってるぜ!」
「うっさい!!それにそれ、水じゃないじゃんか馬鹿!!」
「お前のその頭冷やしてやろうと思っての行為だ、ありがたいと思え。」
「どこがだ!!全然ありがたくもなんともなっ・・・・っ!?」
真琴のほほを、香月が投げたペットボトルがかすめる。投げられたそれは真琴の後ろの壁にあたって乾いた音とともに床に落ちた。後数ミリずれてたら真琴に直撃していた。
「いつまでいじいじしてんだ。お前一生そのまんまでいるつもりか?」
「か・・・・香月には関係ないよ・・・・・。」
「ああ、俺にはかんけーねーよ?お前が誰に嫌われようと俺が知るか。ただ・・・・見ててイライラすんだよなそういうの。・・・・それにお前・・・・力使えねーだろ今。」
「っ・・・・・・。」
確かに、あのときから真琴は一度も能力を発動させることができていない。
「ついでに、あの二匹も呼び出せね-ンだろ?お前いつも悩んでる時慰めのためにあの二匹に寄り添ってたじゃねーか。今はそいつらの姿見えないっつーことはそういうことだろ?」
「それは・・・・・・。」
また、真琴が所持している二匹の式も、姿を現していない。
「あいつだが出てこねーんじゃねーぞ?全部お前のせいだ。」
「僕・・・・?」
「能力者が能力を発動したり、式を発動させんのは、主に能力者の精神力にかかわる。精神力が弱けりゃ弱いほど、能力を発動させたりすんのは難しい。今のお前みたいにな。そんなんじゃ、翔なんか取り戻せね-ぞ?」
「・・・・・・・たとえ能力が使えても・・・・翔さんは・・・もう・・・・。」
僕のことを見てはいないから・・・・・・。今はもう、僕が一方的に好きなだけだから・・・。
「あいつがお前をもう嫌ったっていうのか?」
「だって・・・そう言ってたし・・・・。」
「で、お前はもうその言葉、信じるっていうんだな?」
「信じたくなんか!!・・・・・ないよ・・・・・・。」
あきらめたくもないし・・・・渡したくもない・・・・でも・・・・・。
「でも・・・もう遅いもん・・・・・・とられちゃった・・・・奈央に・・・・。」
「とられたって、一時だろ?このままずっとそうだってわけじゃね-だろうが。」
「そんなのわかんないし・・・・・。」
「ほぉ、じゃ、このままをお前は望むんだな?このまま翔はそのガキにとられたままで、お前は一生このままこの部屋で閉じこもると?」
「もう・・・・だめだから・・・・・・・。」
バシッという乾いた音がした。香月が真琴のほほをはたいたのだ。真琴は衝撃で思わず尻もちをついた。ひりひりと痛むほほに手を添える。
「その言葉こそ信じらんねーよ。なんだよその目は、そんな目でもう駄目だからとか、諦めるようなこと言ってんだよ。マジ信憑性に欠けるわ。今ので目、覚めたろ?覚めてねーんなら何発でもたたくぞ。ほんとはどうしたい?何に遠慮してんだ?今お前がしたい事言ってみろ。遠慮も我慢もいらねー。つか俺に遠慮とか気持ちわりーんだよ。ほらいえ、さっさとな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
今自分がしたい事・・・・?僕はほんとはどうしたい・・・?
「・・・・・会いたい・・・・・っ・・・翔さんに会いたい・・・会って・・・・っう・・・連れ戻したい・・・一緒にいたいよぉ・・・・。」
俯いてぽろぽろと涙を流しながらつぶやいた真琴。するとその傍らに黒と白の獣が現れる。真琴の式のコクとビャクだった。二匹は心配するようにそっと真琴の肩に寄り添った。
「ったくガキはこれだからめんどくさいんだよな。」
「一言・・・・余分だし・・・・でも・・・・ありがと・・・・・。」
そうだね。あのときの翔さんの言葉をうのみにするのは少し間違ってるかもしれないね。確かにもう何も思ってないって言われたけど、それがほんとに翔さんの言葉だったのかそれはだれにも分かんないもんね。たとえほんとに思われてなくても、僕は僕が会いたいから行く。あんな奈央のもとになんかいさせられないから、僕は翔さんを連れ戻す。僕の所じゃなくて、この家に。
僕があなたを勝手に好きでいるんだから・・・・・・・・・。
長い!久々に長くなりました。やっぱり香月と言い争う真琴を書くのは楽しいです。
そして真琴復活。次回からしっかり頑張ってもらいます。




