『木こりの村の狐とたばことプレスマン』
木こりの村がありました。それはもう、木こりだらけで、こんなにいたら、木がなくなってしまうのではないかというくらい木こりだらけでしたが、不思議なことに、木はなくならないのでした。木のほうがよほど多いということです。
この村には、狐が悪さをしに、よくやってきました。木こりの村というのは、狐からすれば、森を壊す悪党集団ですから、無理もないことです。大量のミミズをうどん食べ放題だと言って食べさせられたとか、大量のうじ虫を御飯食べ放題だと言って食べさせられたとか、大量の蛾の幼虫をかりんとう食べ放題だと言って食べさせられたとか、いろんなことがありました。
狐は、たばこのにおいが苦手なので、たばこを吸っているときには化かされないという経験則があって、木こりたちは皆たばこを吸っているのですが、山の中では火事が怖いので、木こりの棟梁だけは、吸わないのでした。
この棟梁が、山に入った帰り、急に暗くなったので、これは狐が出たなと思って、たばこを探しましたが、ふだんは吸わないので、この日も持ってきていませんでした。棟梁は、少し考えて、耳にかけていたプレスマンをくわえて、灰を落とすような仕草をしますと、明るさが戻ってきて、何事もなく村に帰れました。
教訓:たばこや除虫菊に、特殊な成分が含まれるのは、虫や動物にたべられないためであるから、狐がたばこを嫌うということはあり得る。昔と比べると、たばこをのむ人は随分減った。たばこをのむという言い方も通じなくなった。




