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田舎から来た緑髪チート少女、街のダンジョンで百合ハーレム始めました  作者: タルタロス


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第44話:幕間の甘い晩餐

 永遠に続くかと思われた地獄のごとき行軍が、唐突な幕切れを迎えた瞬間だった。

 限界をとうに通り越していたリーダー・セリアの、祈りにも似た「もう、休憩にしませんか……」という掠れ声。乾いた喉から絞り出されたその懇願を耳にしたレティシアは、嫌な顔ひとつ見せず、聖母の慈愛そのものの笑みを浮かべて頷いたのだ。


「そうですわね、もうお昼時ですもの! しっかり食べて精をつけましょう!」


 白銀騎士団の手際は、憎らしいほどに洗練されていた。

 無言のまま、統率の取れた動きで広場の一角を占拠する。彼らの手にかかれば、数分も経たぬうちに、冷たく湿った岩場に貴族御用達の巨大な魔法テントが現出する。

 純白の天幕。それは、薄暗いダンジョンの淀んだ空気の中で、そこだけが切り取られた異界のように白く、神々しく輝いている。


 入り口で、レティシアが手招きをしている。

 泥ひとつ跳ねていない純白のドレス。汗ひとつかいていない涼やかな肌。この不潔な地下迷宮において、彼女だけが穢れを知らぬ光の精霊のようだった。


「さあ、皆様! 中へどうぞ! 中は魔法で暖かくしてありますわ!」


 セリアたち五人は、背後に控える騎士たちの、女たちの薄着を値踏みするような視線から逃れるべく、転がり込むようにテントの中へと滑り込んだ。

 厚手の幕が下ろされる。ジッパーが噛み合う音が重く響く。

 外界との断絶。

 冷気、湿気、殺気、そして男たちの欲望。それら全てが遮断された瞬間だった。


「はぁ……生き返る……」


 ミオが肺腑から安堵の息を吐き出し、絨毯の上に崩れ落ちる。

 そこは、ダンジョンとは物理法則すら異なる別世界だった。

 中央に鎮座する魔道具のストーブが、深紅の光と共に濃厚な熱量を放射している。凍えて感覚を失っていた指先が、じんわりと、痛みすら伴って解凍されていくのがわかる。

 足元に広がるのは、足首まで埋まるほど毛足の長い最高級の羊毛絨毯。いくつもの豪奢なクッションが、淫らなほど無造作に散りばめられている。

 ここは戦場ではない。王都の伯爵邸、その最奥にある令嬢のプライベートルームそのものだ。


「さあ、セバスチャン。ランチの準備をお願い。皆様、お腹が空いて倒れそうですわ」

「畏まりました、お嬢様。本日は、疲労回復に効く特製のフルコースをご用意いたしました」


 執事のセバスチャンが、影のように音もなく動き、手際よくローテーブルに銀食器を展開していく。

 カチャリ、カチャリ。

 陶器と銀が触れ合う硬質な音が、静寂の中に吸い込まれる。銀のクロッシュが並べられ、食欲をそそる暴力的なまでの芳香が漂い始めた。

 準備を終えると、老執事は恭しく一礼した。


「では、私は外で警備の指揮を執ってまいります。給仕はお嬢様にお任せいたします」


 彼はあまりにも有能に空気を読み、一礼して退出していった。


 訪れる静寂。

 騎士団も、執事もいない。

 この密閉され、過剰に温められた空間に残されたのは、レティシアと、『フローレシア』の五人だけ。

 完全に、女だけの秘密の花園。

 あるいは、逃げ場のない檻。


「皆様、楽にしてくださいな。さあ、クッションを使って。冷えた体を温かいスープで満たしましょう?」


 レティシアが優雅に腰を下ろし、ふわりとドレスの裾を広げて手招きをする。


 セリアたちは、言われるがままに絨毯の上に腰を下ろした。

 緊張の糸が切れ、泥のような疲労が襲う。

 彼女たちは思い思いに足を崩して座ったが、すぐに気まずそうに身を縮こまらせた。

 纏っているネグリジェが、あまりにも薄く、頼りないからだ。執事が用意した最高級のシルクは、肌触りこそ極上だが、防御力は皆無に等しい。

 座れば裾が上がり、無防備な太腿が露わになる。胡座をかけば、内腿の奥、誰にも見せてはいけない聖域までが見えてしまいそうになる。

 彼女たちは無意識に裾を引っ張り、脚を閉じ、なるべく露出を減らすように身を固くした。


 だが、今は羞恥心よりも、生物としての飢餓感が勝っていた。

 温かい食事への渇望が、理性の警告を一時的に麻痺させる。胃袋が悲鳴を上げ、脳がカロリーを求めて暴走を始めている。


「さあ、いただきましょうか。……オープン!」


 レティシアが銀の覆いを取った。


 ふわぁっ……!


 濃厚な、むせ返るような湯気が立ち上る。

 現れたのは、魚介の旨味が凝縮された血のように赤いビスクスープ。肉汁を溢れさせ、とろりと溶けたチーズを纏ったハンバーグ。そして中央の大皿には、グツグツと煮え立つ熱々のチーズフォンデュが鎮座していた。

 バターとクリーム、焦げたチーズの香ばしさ。

 脳髄を直接揺さぶるような美味の香り。


「うわぁ……!」


 ミオが歓声を上げ、アリサが喉を鳴らす。

 セリアもまた、その香りだけで理性が飛びそうになっていた。

 ネグリジェがどうとか、シミがどうとか、そんな貴族的なマナーなど知ったことではない。今の彼女たちは、ただの飢えた冒険者だ。

 食わなければ死ぬ。その本能だけが支配していた。


「冷めないうちにどうぞ」


 レティシアの言葉が終わるか終わらないかのうちに、セリアたちは食器に手を伸ばした。


 ガツガツといきたいところだが、上品なカトラリーがそれを許さない。それでも彼女たちは、必死にスープを口に運び、肉を頬張った。

 美味い。

 温かい液体が食道を落ちていく感覚に、全身の細胞が歓喜の声を上げる。熱い塊が胃に落ちるたび、凍りついていた内臓が脈動を取り戻す。

 警戒心など霧散していた。服を汚すかもしれないという懸念すら、圧倒的な食欲の前には無力だった。


 だからこそ、その事故は起きた。

 必然の事故だった。


 セリアが、チーズフォンデュに手を伸ばした時だった。

 空腹のあまり、フォークに刺したブロッコリーに、たっぷりと、いや過剰なほどに熱いチーズを絡めてしまったのだ。

 とろりとした白濁液が、重たげに持ち上がる。

 長く、白く、どこまでも伸びるチーズの糸。

 その濃厚な粘り気は、まるで生き物のようにフォークに絡みついている。

 早く口に入れたい。その一心で、セリアは勢いよくフォークを引いた。


 その時。


 パチン。


 チーズの糸が、限界を迎えて弾けるように切れた。

 ゴムのように伸びきった糸が切れた反動で、熱を持った白い粘液の塊が空中で踊り、放物線を描いて落下する。

 狙い澄ましたかのように、セリアの太腿の上へ。

 あぐらをかき、無防備にはだけていた内腿の素肌の上へと。


「っ~~~~!!」


 セリアが声にならない叫びを上げ、身体を硬直させた。

 熱い。

 煮えたぎるような熱を持った粘着質なチーズが、皮膚の薄い内腿にピタリとへばりつく。

 火傷しそうな熱さと、ねっとりと張り付く不快感。

 それはまるで、熱を持ったスライムに襲われたかのような、あるいはもっと得体の知れない熱い何かをぶちまけられたかのような感触だった。


「きゃあ! セリア様、大変!」


 レティシアが悲鳴を上げた。

 彼女が見ているのは、セリアの火傷ではない。

 白く美しい太腿と、そこに張り付いた「汚れ」だ。


「お召し物が! 肌が汚れてしまいますわ!」


 レティシアが飛んできた。

 彼女はナプキンを探す時間も惜しいとばかりに、とっさに自分の指を伸ばした。


「あっ、お嬢様、だめっ!」


 セリアが制止しようとするが、間に合わない。

 レティシアの白く細い指が、セリアの内腿を這う。

 太腿の付け根。

 衣服に守られていない、最も柔らかく敏感な場所のすぐ隣。

 そこに張り付いた白い粘液を、レティシアの指が直接、剥ぎ取っていく。


 ヌチャ……。


 鼓膜にこびりつくような、水っぽい音がした。

 チーズの粘り気と、セリアの脂汗、そして太腿の滑らかさが混じり合った音だ。

 レティシアは必死だった。セリアの柔肌を守りたい一心だった。

 だが、その焦りが仇となる。

 指先が、チーズの油分で滑り、勢い余ってさらに奥へと侵入してしまったのだ。


 薄い布越しに、熱を持った脚の付け根の輪郭をなぞる。

 柔らかく、少し湿った感触が、レティシアの指先に伝わる。


「ひギッ……!」


 セリアが白目を剥いてのけぞった。

 強烈な電気ショックのような快感が、腰を貫いた。

 先ほどの洗浄で過敏に開発された身体は、こんな不意打ちの刺激には耐えられない。

 太腿の付け根にある太い神経を、直接弾かれたような衝撃。

 ガクガクと太腿が痙攣し、レティシアの手を挟み込むように閉じてしまう。


「セリア様? 大丈夫ですか? 赤くなっていますわ」


 レティシアが心配そうに覗き込む。

 その指には、糸を引く白濁したチーズがたっぷりと絡みついている。

 白い液体。粘り気。

 それが、今のセリアの目には、チーズではない別の「淫らな体液」に見えて仕方がなかった。


「はぁ、はぁ……だい、じょうぶ、です……」


 セリアは息も絶え絶えに答える。

 大丈夫なわけがない。

 リーダーとしての威厳は、チーズと共に溶け落ちた。

 内腿に残る熱と、這い回った指の感触が、脳裏に焼き付いて離れない。


「いけませんわ……なんて豪快な食べ方。これではせっかくの最高級シルクが台無しです」


 レティシアは深刻な顔で、しかしどこか嬉しそうに頷いた。

 そしてパッと顔を輝かせた。

 名案を思いついた、という無邪気で残酷な顔だ。


「決めましたわ。皆様がこれ以上汚さないように、わたくしが食べさせて差し上げます!」


「……はい?」


 セリアの思考が停止した。

 食べさせてあげる? 誰が? 誰に?


「皆様はそこで、口を開けて待っていてくださいな。それが一番安全ですもの」


 レティシアは有無を言わせぬ笑顔で宣言する。

 それは提案ではない。慈悲深き命令だった。


「さあ、ミオ様。口を開けてくださいな。あーん」


 レティシアがミオの隣に移動し、スプーンを差し出す。

 満面の笑み。

 拒否権など存在しない、絶対零度の善意。


「えっ、あ、あの、自分で食べられ……」

「ダメです。またこぼしてしまいますわよ? はい、あーん」


 スプーンが唇に押し付けられる。

 濃厚なビスクスープの香り。

 ミオは観念して、小さく口を開けた。

 パクッ。

 甘いカボチャとミルクの味が広がる。


「おいしい……」


 悔しいけれど、絶品だった。

 だが、その状況は屈辱的すぎた。

 まるで赤ちゃんか、愛玩動物だ。

 高貴なお嬢様に餌付けされる、薄着の冒険者。

 レティシアは満足そうに微笑み、次はハンバーグを小さく切って差し出す。

 ミオは涙目で、口角から垂れそうになる肉汁を舌で受け止めながら、それを咀嚼するしかなかった。


「ふふ、いい子ですわね。次はアリサ様です」


 レティシアが、まるでペットに餌を与える飼い主のように、楽しそうにターゲットを変えていく。

 アリサはビクリと肩を震わせた。

 だが、逆らうことはできない。顔を真っ赤にして口を開ける。


「はい、ビスクスープですわ。あーん……あらっ」


 レティシアの手元が、ほんの少し狂った。

 あるいは、アリサが緊張で身を引いてしまったせいかもしれない。

 赤いスープが、スプーンからこぼれ落ちた。


 ピチャッ。


 赤い液体が、アリサの顎から首筋へと垂れる。

 そして、重力に従って鎖骨のくぼみを越え、大きく開いたネグリジェの胸元へと吸い込まれていった。


「あ、熱いっ!」


 アリサが思わず声を漏らす。

 粘度のある液体が、胸の谷間の奥へとゆっくり滑り落ちていく感触。

 不快感と、奇妙な背徳感。

 赤い筋が、白い肌の上に鮮やかに残る。


「まあ! 大変! やっぱり汚れてしまいましたわ!」


 レティシアが慌ててナプキンを取り出す。

 そして、躊躇なくアリサの胸元に手を伸ばした。


「じっとしていてください! 拭き取りますから!」

「お、お嬢様!? そこは自分で……ひゃぅっ!」


 レティシアの手が、アリサの胸の谷間に侵入する。

 ナプキン越しとはいえ、指の感触がはっきりと分かる。

 ぐにゅっ、と柔らかい肉が押される。

 スープを吸い取るために、レティシアは谷間の奥、左右の膨らみが密着する最深部まで丁寧に、執拗に拭き取る。


「んっ、ぁ……だめ、くすぐったい……!」


 アリサが身をよじる。

 敏感な胸の内側をこすられる刺激。

 座り込んだ無防備な姿勢のため、逃げ場がない。

 身をよじるたびに、ネグリジェの裾が乱れ、太腿の付け根がチラチラと見えてしまう。

 だが、レティシアは気づかない。

 汚れを取ることに夢中だ。


「動かないでくださいな。奥まで入ってしまいましたわ」


 レティシアは真剣だ。

 覗き込むようにして、アリサの胸元を広げ、さらに奥へと指を進める。

 その視線は、アリサの秘めたる膨らみのすべてを捉えている。

 ナプキンがスープを吸い、赤く染まっていく。

 だが、それ以上にアリサの顔が赤く染まっていた。


「うぅ……もう、いいです……綺麗になりましたからぁ……」


 アリサが涙目で懇願する。胸元はスープと、冷や汗と、拭かれた摩擦熱で赤く斑になっていた。


 その後も、地獄のランチタイムは続いた。


 ルナの番が来た。

 彼女は豊満な胸を持っているため、食べこぼしのリスクが最も高い。

 レティシアは予防策として、ルナの背後に回った。


「ルナ様は胸が大きいので、わたくしが後ろから支えながら食べさせますわ」

「えっ、支えるって……そんな、お嬢様!?」


 レティシアの腕が、ルナの脇の下から伸び、その豊かな双丘を下から持ち上げるようにホールドした。

 柔らかい感触。

 温かい体温が背中に張り付く。


「こうすれば、こぼれても服にかかりません!」

「ひゃぅっ! お、お嬢様、持ち上げすぎ……!」


 ルナの悲鳴。

 胸を持ち上げられ、強調された状態で、スプーンを口に運ばれる。

 恥ずかしさで全身が沸騰しそうだ。

 背中にはレティシアの柔らかい胸が当たり、前からは自分の胸を弄られる。

 サンドイッチ状態での食事。

 お嬢様の香りと体温に包まれながら、強制的に口を開かされる。

 味など分かるはずもなかった。ただ、心臓の音だけがうるさい。


 エレナは、諦観の境地にいた。

 抵抗しても無駄だと悟った彼女は、機械的に口を開け、レティシアのスプーンを受け入れた。

 だが、最後の最後で油断した。

 口の端に、白いソースがついてしまったのだ。


「あら、エレナ様。口元が汚れていますわ」


 レティシアは、ナプキンを使わなかった。

 自分の親指で、エレナの唇の端をぬぐったのだ。

 スッ、と。

 その指の動きは、あまりにも慣れていて、そして親密すぎた。


「……っ!」


 エレナが息を呑む。

 レティシアは、自分の指についたソースを、無意識にペロリと舐め取った。


「ん、美味しいですわね」


 その仕草の破壊力。

 間接的な口づけ。

 エレナは顔を伏せ、耳まで真っ赤にして震えるしかなかった。クールな盗賊の仮面は、粉々に砕け散った。


 全員が、満腹になる頃には、身も心もドロドロに溶かされていた。


 テントの中は、料理の濃厚な香りと、五人の汗とフェロモンの匂い、そしてむせ返るような湿気で充満していた。

 ストーブの熱気だけではない。

 彼女たちの体から発せられる熱が、この空間をサウナのように変えていた。

 酸素が薄い。息苦しいほどの湿度。


 汗が止まらない。

 ネグリジェは完全に水分を吸い込み、肌にへばりついている。

 透け感はマックスだ。

 おへその形、肋骨の浮き沈み、そして下半身の黒い影。

 全てが、薄い膜の下で息づいているのが見て取れる。

 ミオの小さな胸の突起も、ルナの重たげな膨らみも、汗に濡れた布の下で主張している。

 セリアの内腿は、チーズと脂汗で濡れそぼり、妖艶な光沢を放っている。


「ふぅ、皆様、たくさん食べて偉いですわ!」


 レティシアは満足げに手を合わせた。

 彼女だけは、汚れ一つない純白のドレスのままだ。

 涼やかな顔で、汗ひとつかいていない。

 その対比が、五人の「汚された」姿を際立たせる。


 セリアたちは、ぐったりと絨毯に横たわっていた。

 お腹はいっぱいだが、精神的な疲労で指一本動かせない。

 ただの食事休憩が、なぜこんなにも消耗する儀式になってしまったのか。

 それは、この無垢で残酷な主人(お嬢様)の、過剰な愛ゆえだった。


「……もう、お腹いっぱいだぁ……」


 ミオがうわ言のように呟く。

 その瞳は潤み、頬は桃色に染まっている。

 まるで、事後のような倦怠感と色香が、テントの中に漂っていた。

 誰も言葉を発しない。ただ、荒い息遣いだけが、湿った空気の中に響いている。


 甘い晩餐。

 それは、彼女たちの理性を捕食する、あどけない悪魔の宴だったのだ。

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