表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田舎から来た緑髪チート少女、街のダンジョンで百合ハーレム始めました  作者: タルタロス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/47

第32話:楽園の代償

 チュン、チュン……。

 小鳥のさえずりが、朝の訪れを告げていた。

 カーテンの隙間から、容赦のない南国の陽光が差し込み、惨劇の舞台となったベッドルームを白日の下に晒していた。


「……んぅ……っ……」


 最初に意識を取り戻したのは、セリアだった。

 頭が割れるように痛い。

 二日酔いと、魔力枯渇による倦怠感が同時に押し寄せてくる。

 泥沼のような眠りから無理やり浮上しようとして、セリアは自分が「動けない」ことに気づいた。


 重い。

 熱い。

 そして、ひどくベタつく。


 恐る恐る目を開けると、視界いっぱいに広がっていたのは、肌色の山脈だった。


「……ッ!?」


 セリアは声にならない悲鳴を上げ、身じろぎした。

 だが、四肢は完全に封じられていた。


 右腕には、ルナが抱きついている。彼女の豊満すぎる胸が、セリアの二の腕を押し潰すように密着し、柔らかな弾力が伝わってくる。ルナの寝息がかかるたび、熱い湿気が肌を濡らす。


 左足には、ミオがしがみついていた。まるでコアラのようにセリアの太腿を両手両足でロックし、あろうことか太ももの付け根に顔を埋めている。口元からは涎が垂れ、セリアの肌を汚している。


 お腹の上には、アリサの頭が乗っている。彼女の手は無意識にセリアの腰骨を掴んでおり、甘えるように指を食い込ませている。


 そして、その全員を覆うように、カリスが背中から覆いかぶさっていた。


 全員、一糸纏わぬ全裸だ。

 昨日着ていたシルクのネグリジェは、見るも無惨にはだけ、あるいは丸まって部屋の隅に打ち捨てられている。

 シーツはベッドからずり落ち、所々にワインの染みが地図のように広がっている。


 そして何より、匂い。

 部屋の空気が重い。

 熟れすぎた果実のような、濃厚で甘ったるい「熱」の残り香。

 五人分の汗、香水、そして体温が密室で熟成され、むせ返るような背徳の芳香となって鼻腔を犯す。


 ――昨夜の記憶が、濁流のように蘇る。


 『セイレーンの涙』による理性の崩壊。

 互いの体温を貪り合った感触。

 ルナの柔らかな唇の感触。ミオの泣きそうな甘い声。アリサの熱っぽい視線。

 そして、カリスに翻弄され、自らも彼女を抱きしめ、快楽の波に溺れた記憶。

 自分がルナの胸に顔を埋めて甘えたり、ミオの柔肌を撫で回して喜んでいた記憶がよぎり、セリアは舌を噛み切りたくなった。


「あ……あぁ……嘘だ……」


 セリアの顔が、一瞬で沸騰したように赤くなる。

 騎士として、いや人間として、超えてはいけない一線を軽々と飛び越えてしまった。

 しかも、パーティメンバー全員で。


「……んん……セリアさん……?」


 お腹の上で、アリサが目を覚ました。

 ぼんやりとした瞳がセリアと合う。

 数秒の沈黙。

 そして、アリサの視線が、自分の目の前にあるセリアの胸元に釘付けになった。


「……ひっ!」

 アリサが飛び退こうとして、カリスにぶつかって戻ってくる。

「ど、どうしよう……セリアさん、その胸……」


「……なんだ」

「あ、跡が……すごいことに……」


 セリアは慌てて自分の体を見下ろした。

 絶句した。

 豊かな胸元全体に、赤紫色の斑点――キスマークが、毒々しい花びらのように散らばっていたのだ。

 特に目立つ場所は色が濃く、誰かに強く吸い続けられたことを物語っている。


「お前だって……鏡を見てみろ」


 セリアが震える声で指摘する。

 アリサの首筋、鎖骨、そしてお腹周りにも、無数の吸い跡が残っている。

 まるで全身を愛でられたような、淫らな痕跡。


「ふあぁ……うるさいなぁ……」


 その騒ぎで、ルナとミオも目を覚ました。

 二人が体を起こすと、シーツが剥がれ落ち、その惨状がさらに露わになる。


 ミオの白い太腿には、誰かの指の跡が赤く残っている。

 ルナの豊満な体には、至る所に熱烈なキスマークがついていた。胸、首、そして太腿の内側。

 全員が全員、昨夜の狂乱の被害者であり、加害者だった。


「おっはよー、お姫様たち」


 一番最後に、カリスが優雅に起き上がった。

 彼女だけは肌艶が良く、満たされた猫のような表情だ。肌に残る跡さえも、勲章のように堂々と晒している。


「よく眠れた? ……デザートの味は、格別だったでしょ?」


「カリス……ッ! 貴様、よくも……!」


 セリアがシーツを体に巻き付け、涙目で睨みつける。

 だが、その迫力は皆無だ。

 シーツの下では、全身の筋肉が倦怠感を訴え、昨夜の過剰な運動を物語っているのだから。

 少し動くだけで、体の奥がジンと痺れるような感覚がある。


「感謝してほしいなぁ。おかげで肌もツヤツヤ、魔力も満タン。結束力も深まったし」


 カリスがニヤリと笑う。


「さ、現実に戻る時間だよ。チェックアウトして、ギルドに報告に行かなきゃ」


 その言葉が、死刑宣告のように響いた。


     *


 地獄の身支度が始まった。

 まず、着る服がない。

 昨夜のネグリジェは全滅。持ってきた水着は昨日のビーチで砂まみれ。

 結局、行きに着てきた「露出度の高い私服カリスチョイス」を着るしかないのだが、最大の問題があった。


「……下着が、ない」


 アリサが絶望的な声で呟く。

 彼女のショーツは、昨夜の興奮のあまり、どこかへ行ってしまった(おそらくベッドの下だ)。

 セリアのブラジャーも、ホックがひん曲がって使い物にならない。

 全員、ノーブラ・ノーパンで服を着るしかなかった。


「ひっ……!」


 ミオが声を上げる。

 服を着るだけで過敏なのだ。

 スライムエステと媚薬の効果で、皮膚感覚がまだ鋭敏なままだ。

 布地が素肌に触れるだけで、電流が走るような刺激がある。

 内腿が擦れると、昨夜の熱狂がフラッシュバックして腰が砕けそうになる。


「これを着てください」


 ルナが、予備で持っていた薄手のストールやマントを全員に配る。

 とにかく、肌の露出を減らし、あの無数のキスマークを隠さなければならない。

 首までボタンを留め、フードを目深に被る。

 まるで重罪人の護送のようだ。


 部屋を出る時、掃除に入ってきたメイドとすれ違った。

 メイドは部屋の中――崩壊したベッド、散乱した衣服、甘い残り香――を見て、顔を真っ赤にして口元を押さえた。

 その好奇心と羞恥の入り混じった視線が、五人の背中に突き刺さる。

 逃げるように、彼女たちはヴィラを後にした。


     *


 帰りの馬車の中は、お通夜のように静まり返っていた。

 行きとは違う、重苦しい沈黙。

 五人は向かい合って座っていたが、誰とも目を合わせられなかった。


 ガタンッ。

 車輪が石を踏み、馬車が大きく揺れる。


「ひッ……!」


 五人の体が、同時にビクンと跳ねた。

 振動。

 それが、敏感になった体にダイレクトに伝わる。

 下着をつけていないため、服の布地が直接際どい場所を擦り上げるのだ。

 

「……んぅ」


 ミオが内股を擦り合わせ、堪えるように唇を噛む。

 その吐息が、密室の馬車内に響く。

 その音が、連鎖的に他のメンバーの記憶を呼び覚ます。

 昨夜、ミオがどんな甘い声で鳴いていたか。どんな顔でしがみついてきたか。

 それが鮮明に脳裏に浮かび、さらに体が熱くなる。


「……暑い」


 セリアが呟き、襟元を少し緩めようとして、ハッとして手を止める。

 そこには、ルナにつけられた濃いキスマークがあるからだ。


 チラリとルナを見る。

 ルナは顔を真っ赤にして、窓の外を見つめていた。

 だが、その手は自分の胸元――セリアが吸い付いた場所――を無意識に押さえている。

 ルナの胸は、昨夜の愛撫でさらに大きくなったように見える。歩くだけで揺れ、布地と擦れるたびにルナの眉がピクリと動く。


 気まずい。死ぬほど気まずい。

 なのに、体の奥の疼きが収まらない。

 昨夜、あまりにも激しく愛されたせいで、体がまだ熱を記憶しているのだ。

 カリスだけが、楽しそうに鼻歌を歌っていた。


     *


 そして、ついに処刑台――冒険者ギルド『金獅子の鬣』亭に到着した。

 馬車を降りるだけで一苦労だった。

 足がガクガクして力が入らない。

 内股で、よちよちと歩くしかない。

 

 ギルドの扉を開ける。

 ムッとするような熱気と、男たちの汗の臭い、酒の臭い。

 普段なら慣れっこなその空気が、今の過敏な四人には強烈な刺激となって襲いかかる。


「うっ……臭いが……」


 アリサが鼻を押さえる。

 嗅覚も敏感になっている。視線が、物理的な圧力を持って肌にまとわりつくのを感じる。

 まるで、服を透視されているようだ。


「……おい、あれ」

「『フローレシア』か?」

「なんか……雰囲気違わねえか?」


 ざわめきが広がる。

 四人はフードを目深に被り、コソコソとカウンターへ向かう。

 だが、隠しきれないものが溢れ出していた。


 色気だ。

 一晩中、互いを愛し合った者だけが放つ、退廃的で甘美なオーラ。

 歩くたびに、服の下でノーブラの胸が揺れる。その頼りない歩き方が、逆に周囲の想像力を掻き立てる。

 すれ違った冒険者が、鼻をヒクつかせた。


「……甘い匂いがするぞ」

 その言葉に、セリアの背筋が凍る。


「お、お疲れ様です……!」


 受付嬢のミリアが笑顔で迎えるが、四人の姿を間近で見て、表情を凍りつかせた。


「あの……皆さん、随分とお疲れのようですが……」


 近くで見ると、その消耗具合は明らかだった。

 目の下には薄っすらと隈ができ、頬は紅潮し、瞳だけはとろんと潤んでいる。

 そして、ふとした拍子に動いたセリアのマントの隙間から、首筋の赤い斑点が見えてしまった。


「ひっ……!」


 ミリアが息を呑む。

 そして、心配そうに身を乗り出した。


「セリアさん! その首……毒虫に刺されたんですか!? すごい数……!」


「ッ!」

 セリアが慌てて襟を合わせる。

「ち、違う! これは……魔獣の、攻撃だ!」

「魔獣の……? 吸血性の魔獣ですか? それにしては、内出血の形が……」


 ミリアは悪気なく核心を突いてくる。

 周囲の冒険者たちが、聞き耳を立ててニヤニヤし始めた。


「……報告だ」


 セリアが震える手で羊皮紙を出す。

 声が掠れている。喉が枯れるほど声を上げたせいだ。

「魔獣は……手強かった」


「そ、そうですか。リゾート島のイタズラ猿ですよね? そんなに……激しい戦闘だったんですか?」

 ミリアの視線が、セリアの首から、ルナの胸元、ミオの太腿(スカートの隙間から見える赤み)へと泳ぐ。


「ああ。……吸い付き攻撃と、締め付けが強力でな……」


 セリアが苦し紛れの嘘をつく。

 嘘ではない。猿にも吸われ、仲間にも吸われたのだから。

 だが、その言葉が周囲の冒険者たちの想像力を最悪の方向へ刺激した。


「おい聞いたか? 吸い付き攻撃だってよ」

「『フローレシア』の連中、全員足元がおぼつかねえぞ」

「一晩で女の顔になったっつーか……熟れた果実みたいだな」

「あのミオちゃんが、あんなに色っぽい目をするなんて……」


 ヒソヒソ話が、四人の耳に突き刺さる。

 服の下の、キスマークだらけの裸体を見透かされているようだ。

 恥ずかしい。

 羞恥で体が熱くなる。その反応で、また体の奥がキュンと疼く。

 下着のないスカートの中に熱がこもるのを、必死に内股でごまかす。


「任務完了、確認しました。報酬はこちらです」


 ミリアが金貨の入った袋を置く。

 そして、本当に心配そうな顔で、声を潜めて付け加えた。


「あの……余計なお世話かもしれませんが。……皆さん、腰が立たないほど消耗されているみたいですし。……あと、特製の軟膏もつけておきますね」


 ミリアが小瓶を取り出す。


「これ、肌荒れや、擦り傷によく効くんです。……あちこち赤くなってますし、よほど激しく……組み敷かれたんですね……魔獣に」


 その無垢な言葉が、セリアの理性を粉砕した。

 『激しく組み敷かれた』。

 ミリアは戦闘の話をしているつもりだが、セリアの脳内では昨夜の乱行――肌と肌が擦れ合い、四人で組み合い、貪り合った記憶――が鮮明にフラッシュバックする。


 ガタンッ。


 セリアがカウンターに崩れ落ちた。

 顔から火が出るどころか、全身が爆発しそうだ。

 羞恥で目の前が真っ白になる。


「えっ!? セリアさん!? 大丈夫ですか!? やっぱり、まだ毒が……!?」


 慌てるミリアの声が、遠く聞こえる。

 違う。毒ではない。

 これは、愛と欲望の代償だ。


「あはは、またのお越しをお待ちしてまーす」


 カリスだけが、後ろで楽しそうに手を振っていた。


 こうして、彼女たちの「リゾートバカンス」は幕を閉じた。

 大森林の物理的な汚れは落ちた。

 だが、代わりに一生消えないような「淫らな思い出」と「背徳の絆」、そしてギルド中に広まる「乱れた噂」という新たな汚れを背負うことになった。


 『フローレシア』の伝説に、また新たな1ページ(黒歴史)が加わった瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ