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田舎から来た緑髪チート少女、街のダンジョンで百合ハーレム始めました  作者: タルタロス


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第18話:甘い報酬

 スラム街での死闘から三日が過ぎた。

 『人斬り』ボルドの死と、悪名高き『鉄爪のガルス』の討伐ニュースは、裏社会を震撼させていた。

 だが、当のアリサたちの生活は、驚くほど穏やかだった。


 新しい家のリビング。

 午後の柔らかな日差しが差し込む中、アリサはソファで本を読んでいた。隣ではミオがアリサの太腿を枕にして、猫のように丸まって寝息を立てている。

 平和だ。

 あの泥と血の臭い、骨が砕ける音が嘘のようだ。


 ピンポーン。


 玄関の魔導チャイムが鳴った。

 来客? ゴードンさんだろうか。

 ルナがキッチンから顔を出す。

「私が出るわ」


 ルナがパタパタと廊下を走っていく。

 扉が開く音。

 そして——。


「やっほー。生きてる?」


 脳髄を溶かすような、甘く、毒を含んだ声が響いた。

 アリサの背筋が凍る。ミオが飛び起きる。

 リビングに入ってきたのは、豪奢な革袋を無造作に引きずった少女。

 黒いフリルのワンピース。ツインテールに結った真紅の髪。そして、翡翠色の瞳。

 Aランク冒険者、カリスだった。


「カ、カリスさん!?」

 アリサが立ち上がる。

「どーも。お邪魔しまーす」


 カリスは自分の家のように靴を脱ぎ捨てると、フワフワとした足取りでリビングに入ってきた。

 相変わらず、腐った果実のような芳醇な甘い香りが漂う。


「何しに来た」

 二階から降りてきたセリアが、低い声で威嚇する。手には無意識なのか、剣の柄を握るような形を作っている。


「つれないなぁ、リーダーさんは。ほら、これ」

 カリスが革袋をテーブルにドスンと放り投げた。

 ジャラッ、と重たい金属音が響く。袋の口が開き、黄金色の輝きが溢れ出した。


「ガルスとボルドの首代。ギルドで換金してきたよ」


「……ガルスは?」

 セリアが確認する。


「死んだよ。三日かけて、たっぷり遊んであげたから」

 カリスがニタリと笑う。

「指も、足も、皮も、全部バラバラ。最後は泣いて感謝しながら死んでいったよ。……綺麗な赤色だったなぁ」


 その言葉に、部屋の空気が一瞬凍りついた。

 だが、不思議と嫌悪感はなかった。あの男はそれだけのことをしたのだ。

 ミオが小さく息を吐き、肩の力を抜いたのが分かった。恐怖の源が、物理的にこの世から消滅した安堵。


「……そう。ご苦労さま」

 セリアが短く労う。

「でしょ? 金貨五百枚あるよ。山分けしよ」


 カリスはソファに座るアリサの隣――ミオとは反対側――にドスンと腰を下ろした。

 近い。太腿と太腿が密着する距離。


「……報酬は受け取る。用が済んだならさっさと帰れ」  

 セリアが冷たく言い放つ。

 金貨の山には目もくれず、カリスを睨みつけている。この劇薬を、テリトリーに入れたくないのだ。


「えー、やだ。せっかく来たんだし、お茶くらい出してよ」

 カリスはセリアの拒絶を無視し、アリサの方を向く。


「それにさ、私にはまだ受け取ってない『報酬』があるんだよねぇ」

「報酬……?」

 アリサが首を傾げる。


「忘れたの? 約束したじゃん。……『終わったら、ご褒美ちょうだい』って」


 カリスが猫のように目を細める。

 次の瞬間、彼女はアリサの膝の上に跨っていた。

 向かい合わせ。黒いスカートが広がり、アリサの下半身を覆う。下着が見えそうだ。


「ひゃっ!?」

 アリサが悲鳴を上げる。

 カリスの顔が目の前にある。翡翠色の瞳が、獲物を狙う色で輝いている。


「あの日さぁ、血まみれのアリサちゃん見て、ゾクゾクしちゃったんだよね。強くて、壊れそうで……すっごく美味しそうだった」

 カリスの手が、アリサの胸に伸びる。

 ムニュリ。

 服の上から、豊かな膨らみを鷲掴みにされる。


「んぁっ……!」

 変な声が出た。

「うんうん、やっぱりいい感触。ボルドなんかより、こっちの肉の方がずっといい。柔らかくて、温かくて」

 カリスが指に力を込める。肉の弾力を楽しむように、捏ねくり回す。親指が先端をグリグリと刺激する。

 さらに、顔を首筋に近づける。

 スゥーッ、と匂いを嗅ぐ音。鼻先が肌を滑る。


「……んん、今日は石鹸の匂いだね。でも、奥の方にまだ……セリアちゃんの匂いが残ってる」

 カリスの舌が、アリサの耳たぶをチロリと舐めた。濡れた感触。

「上書き、しちゃおうかな」


「離れろッ!」

 セリアが激昂し、カリスの腕を掴んで引き剥がそうとする。

「痛いなぁ。嫉妬? 怖い怖い」

 カリスは軽やかに身を翻し、アリサの膝から降りたが、その手はしっかりとアリサの腰を抱き寄せている。指先が脇腹の肉をつまむ。


「やめてよ! アリサちゃんが困ってるでしょ!」

 ミオも反対側からアリサの腕を引っ張る。

 右にカリス、左にミオ、正面に鬼の形相のセリア。

 アリサは息が詰まりそうだ。


「まあまあ、皆さん落ち着いて」

 ルナがお盆にお茶とお菓子を載せてやってきた。

「カリスさんも、せっかく来てくださったんですから。お茶でも飲んで、少し落ち着きましょう?」

 聖母のような微笑み。だが、その背後には「家具を壊したら承知しない」という無言の圧がある。

 さすがのカリスも、ルナの「お母さん力」には毒気を抜かれたのか、肩をすくめた。

「はーい。……じゃあ、いただきまーす」


     *


 なりゆきで、カリスと共に夕食を食べることになった。

 メニューは、ルナ特製のクリームシチューと、焼きたてのパン、そして市場で買ってきたローストチキン。

 テーブルを囲む五人。


「ん! これ美味しい!」

 カリスがシチューを一口食べて目を丸くした。

「ルナちゃん、料理上手だねぇ。私、普段は固いパンと干し肉しか食べてないから、感動しちゃう」

「あら、嬉しい。おかわりもありますからね」

 ルナが微笑む。完全に餌付けされている。


 カリスは意外にも行儀が良かった。ナイフとフォークの使い方は洗練されており、どこか貴族のような気品すら感じる。

 ただ、その視線はずっとアリサに注がれている。粘着質で、熱っぽい視線。


「ねえ、アリサちゃん。あーんして」

 カリスがパンをちぎって、シチューに浸して差し出してくる。

「え……自分で食べられます」

「いいじゃん。ほら、口開けて」

 拒否権はないようだ。アリサがおずおずと口を開けると、カリスがパンを放り込む。指先が唇に触れる。

 わざと指を口の中に押し込んでくる。

「んぐっ……」

 アリサの舌がカリスの指に触れる。カリスが目を細めて笑う。

「……美味しい?」

「は、はい……」


「……アリサ、こっちの肉も食べろ」

 対抗するように、セリアがチキンを切り分けてアリサの皿に山盛りにする。

「セリアさん、そんなに食べられません……」

「食べろ。体力がつく。……夜、持たないぞ」

 セリアが小声で付け加える。顔が赤い。


「アリサちゃん、サラダも食べてね」

 ミオも負けじと野菜を盛る。

 アリサの皿があっという間に山盛りになる。


「ふふ、愛されてるねぇ」

 カリスがワインを揺らしながら笑う。

「でもさ、そんなに太らせてどうするの? ……美味しくいただく準備?」

 カリスがテーブルの下で靴を脱いだ。

 黒いストッキングに包まれた足先が、アリサのふくらはぎを這い上がってくる。

 スルスルと。


「っ……!」

 アリサが身を固くする。

 足先が膝の裏をくすぐり、さらに内腿へ。

 スカートの中に入り込もうとする。


「カリスさん、変なことしないでください」

 アリサが小声で抗議するが、カリスは知らん顔でワインを飲んでいる。

 足の指が太腿の肉をつねる。

 アリサはビクリと体を震わせたが、みんなの前で声を上げるわけにもいかず、顔を真っ赤にして耐えるしかなかった。


     *


 食後。

 満腹になった体は、温かいお湯を求めていた。

「お風呂、沸きましたよ」

 ルナが告げる。

 この家の自慢である、大理石造りの広い浴室。五人が一度に入っても余裕がある広さだ。


「じゃあ、いただきまーす」

 カリスが真っ先に立ち上がり、リビングで服を脱ぎ始めた。

「ちょ、ここで脱ぐな!」

 セリアが慌てるが、カリスは意に介さない。

 黒いワンピースが床に落ちる。黒い下着。ガーターベルト。

 そして、それらも脱ぎ捨てられ、白磁のような裸体が露わになる。

 細いのに、出るところは出ている。特に腰のくびれからお尻にかけてのラインは、芸術的なまでに美しい。豊かな胸の先端は淡い桜色をしている。

 だが、その肌には無数の古傷があった。拷問や戦闘で刻まれた修羅の証。


「さ、行こ。アリサちゃん」

 カリスが全裸のままアリサの手を引く。

「え、あ、はい……」


 結局、全員で入ることになった。

 アリサとカリスを二人きりするのは危険すぎるというセリアの判断だ。


 脱衣所は湯気と、女たちの匂いで満ちていた。

 服を脱ぐ音。衣擦れの音。

 五つの裸体が並ぶ。

 セリアの鍛え上げられた肉体美。ミオの未成熟な可憐さ。ルナの母性的な豊満さ。そしてカリスの妖艶さ。

 アリサは目のやり場に困る。


 浴室に入る。

 広い浴槽に並々と湯が張られている。

 カリスは上機嫌で体を洗い、湯船に浸かった。

「はぁ〜……極楽極楽。人の家の風呂って最高だね。血の匂いが落ちていくよ」

 手足を伸ばし、リラックスしている。


 アリサたちも体を洗い、湯船に入る。

 お湯が溢れる音。チャプン。


 カリスがお湯の中を移動し、アリサの隣に来た。

 肌が触れる。

 滑らかな感触。お湯の中だと、肌の吸着力が増すようだ。


「ねえ、約束覚えてる?」

 カリスが耳元で囁く。熱い息。

「洗ってあげるって言ったよね? ……全身、隅々まで」


「えっ……」


 カリスの手が、お湯の中でアリサの体を這う。

 背中から脇腹へ。

 石鹸がついているわけでもないのに、カリスの手つきはヌルリとしていやらしい。

 指先で円を描くように、胸の膨らみを下から持ち上げる。


「お湯の中だと、もっと柔らかいね。……トロトロだ。水風船みたい」

 カリスが楽しそうに笑う。

 指先が先端を弾く。

「んっ……!」

 アリサが声を漏らす。敏感になっている。


 カリスの反対側の手は、水面下でアリサの腹部を撫でていた。

 へそをなぞり、下腹部へ。

 太ももの内側を割り入るように指が進む。


「ちょ、ちょっと! 何してるの!」

 セリアが気づき、カリスの手を掴む。

「あら、リーダーさん。……君も洗ってほしい?」

 カリスがセリアの手を引き寄せ、自分の豊かな胸に押し当てる。

 むにゅっ、と肉がたわむ。

「なっ……!?」

 セリアが顔を真っ赤にする。手が離せない。

「私の胸、どう? アリサちゃんのとどっちが好き? 大きいでしょ?」

「ふ、ふざけるな……!」


 セリアが手を離そうとするが、カリスは離さない。

 それどころか、空いた手でセリアの腰を抱き寄せ、密着する。

 胸と胸が押し付け合う。頂同士が擦れる。

「君、すごくいい体してるね。筋肉の張りがたまらない。……ここで噛みついたら、どんな声出すのかな」

 カリスの瞳が妖しく光る。

 彼女は本気だ。アリサだけでなく、セリアも「好物」なのだ。


「きゃっ! こっちに来ないで!」

 飛び火を恐れたミオが逃げようとするが、カリスの足がミオの足を捕まえた。

 足の指でミオのふくらはぎを挟む。

「逃がさないよぉ。魔法使いちゃんも、可愛がってあげる。肌、スベスベだね」

 カリスが長い足を伸ばし、ミオの体を挟み込む。太ももでミオの腰を締め上げる。


 湯船の中はカオスと化した。

 カリスを中心に、四人が団子状態になる。

 肌と肌が擦れ合い、お湯が波打つ。

 ヌチャ、クチュ、という水音が響く。

 セリアの怒号、ミオの悲鳴、アリサの甘い喘ぎ声。

 そして、カリスの楽しそうな笑い声。


「もう……みんな仲良くしてください。お湯が溢れちゃいますよ」

 ルナだけが少し離れた場所で、呆れつつも微笑ましそうに見ていた。

 だが、カリスの手がルナの足首も掴んだ。

「お母さんもおいでよ!」

「きゃあ!」

 ルナが引きずり込まれる。


 五人の裸体が絡み合う。

 誰の胸か、誰の足かも分からない。

 柔らかい肉の感触。熱い体温。石鹸と雌の匂い。

 アリサは揉みくちゃにされながら、不思議な高揚感を感じていた。

 恥ずかしいけれど、心地いい。

 これが「仲間」なのだろうか。それとも「ハーレム」なのだろうか。


 ひとしきり暴れた後、全員がのぼせて静かになった。

 肩を並べてお湯に浸かる。

 カリスはアリサの肩に頭を乗せていた。

 セリアは不機嫌そうだが、反対側でアリサの手を握っている。指を絡ませて離さない。

 ミオはアリサの膝の上に乗っている。背中がアリサの胸に当たっている。


「……ねえ」

 カリスがポツリと言った。

「私さ、こういうの初めてかも」

「え?」

「誰かと一緒にお風呂入って、バカみたいに騒いで……。殺し合い以外で、こんなに心臓がドキドキしたの、久しぶり」


 カリスの声は、いつもの狂気じみたものではなく、年相応の少女のものだった。

 彼女はずっと孤独だったのかもしれない。

 力を求め、狂気を纏い、誰も寄せ付けずに生きてきた。

 そんな彼女が、今、ここで無防備な姿を晒している。真っ赤な顔をして。


「……また、来てもいい?」

 カリスが上目遣いでアリサを見る。

 殺し屋の目ではない。捨て猫のような目。


 セリアが溜息をついた。

「……騒がないなら、たまになら許可してやる」

「やった! さすがリーダー、太っ腹! 大好き!」

 カリスがセリアに抱きつく。濡れた体が音を立ててぶつかる。

「ちょ、くっつくな! 洗ってない体で!」

「洗ったもん! ねえ、キスしていい?」

「ダメに決まってるだろ!」


 アリサは笑ってしまった。

 奇妙な光景。

 でも、悪くない。

 かつて恐怖の対象だった「死神」が、今はただの、少し(かなり)手癖の悪い友達になりつつある。


「カリスさん。……背中、流しますよ」

 アリサが言うと、カリスがパァっと顔を輝かせた。

「本当!? じゃあ、その後は私がアリサちゃんを洗うね! 中まで! 指で!」

「それはお断りです!」

「えー、ケチー」


 浴室に、明るい笑い声が響く。

 湯気と、石鹸の香りと、甘い蜜の匂い。


 こうして、最強で最凶の「お友達」が、正式にアリサたちの日常に加わったのだった。

 夜はまだ長く、彼女たちの肌色のお付き合いは、全員がのぼせて倒れるまで続きそうだった。

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