大神殿
短いですが、ご容赦ください。
「こちらが大神殿になります。どうぞ、おはいりください」
懐かしの場所。前回の人生では魔力をはかるために、大神殿まで赴いていたけれど、今回の人生では、師匠が近くの神殿で済ませたいという風に申し出をしてくれたおかげで、この大神殿には数年ははいっていない。神官たちがわたしのことを覚えている可能性もあるので、上着についていたフードを目深にかぶった。
ディルクには心配されてしまったけれど。
「貴女さまの部屋はこちらです」
アドルフが案内してくれた部屋は、思っていたよりも豪華なものだった。貴族子女に対する扱いと変わらないものだ。まあ、元々国王の指示でここに連れてこられた可能性もあるので、豪華なものにしておいたのだろう。
「こんな良いお部屋を貸していただけるのですか。ですが、わたしはすぐに身元が判明すると思うんですけど……」
「いえ、しばらくはこちらで過ごしていただきます」
なぜかは説明されぬまま、しばらくここにいなくてはならないらしい。有無をいわさぬ口調でそれだけ言うと、アドルフとディルクは下がってしまった。ひとまず、身体がほこりっぽいので、用意されていた服に着替えることにする。その前にシャワーを浴びれたら良いんだけれど、と部屋を少し探索してみることにした。
部屋の奥には扉が幾つかついていたのだ。
残念ながら、窓には全て鉄格子がついており、脱走は不可能だろう。そもそも、窓から見下ろしてみると、どうやらここは三階のようなので、飛び降りても生存率は低そうだ。杖は持っていないので、魔術は使えないし。
扉を開けてみると、一つはクローゼット、もう一つはトイレ、もう一つは洗面台とシャワー室が奥に広がっていた。アドルフがここでは好きに過ごしていいといっていたので、シャワーを浴びることにする。
洗面所にはいったところで、洗面器のそばの壁に、謎の四角い大きめのくぼみがあった。
何だろう、と思いつつも、一旦無視する。
身を清めてさっぱりした後、神殿の巫女がよく来ている制服のようなものに袖を通すと、サイズもぴったりでぞっとする。前々から、この計画が立てられていたのだろうかと思うと、どうしても身の毛がよだつ気持ちにさせられた。
(状況を整理すると、恐らくこの計画をたてたのは国王だ。わたしを魔法陣によって、王都のはずれまで転移させて、そこで金を積んだ裏社会の人に誘拐させて、そこを助ける振りをして神殿に閉じ込める。そして、魔力を吸い取ろうとしているのね)
幸い、杖が無くても使える魔術が一つだけある。それは、探知魔法だ。探知魔法といっても、様々な用途がある。
今回わたしは、部屋に魔力を吸い取る魔術具がないかを確認した。結果的には無かったので、良かったが、眠っている間等は注意しないといけない。
緊張で何も考えられなくなりそうだ。
一度、休んだ方が良いだろうかと思い、ベッドに向かうが眠れなかった。窓の外を眺めても、鉄格子が恐怖を駆り立てる。
息を細くはき、冷たくなってしまった手を自分のぬくもりで温めるようにしてしばらくの時を過ごした。
今週は久しぶりに、滅多に笑わないはずの〜の方も更新しようと思ってます。
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