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思い通りにいかないな

 秋はすっかり終わり、寒さが厳しい冬がやってきた。


 色づいていた森はすっかりと色が落ち、神秘溢れる姿に変わっている。ぱりっとした空気が頬を撫で、わたしはそっと手に息を吹きかけた。


 この森を見るのも、冬の前はもうこれで最後だろう。


「今年もやってきたな、冬が」


 まだ白いものは降っていないものの、寒さは既に最高潮なのでは無いかと思うほど。師匠とともに冬、家に籠るための準備をしたは良いが、今年は冬の訪れが早いように感じる。


「しばらくは国王陛下のことで呼び出されることも無いでしょうから、ラッキーですね」

「まあ、それもそうだな」


 冬になると、家から王都への道は雪で閉ざされる。わたしたちが次に王都にいけるのは、雪解けが終わった春だ。


(元々、わたしたちは王都に頻繁にいくような用事もないし、ちょうど良いな)


 これからは家でずっと籠もりっきりになり、わたしと師匠は二人きりで生活しなければならない。なぜか最近、可愛いだのお褒めいただくことが増えて、わたしの心臓の高鳴りもかなりボルテージが上がってきた。これでちゃんと生活できるかどうか、心配なくらいだ。


(うぅ、師匠も何で急にそう言うこといってくるようになったんだろう……? 嬉しいけど、やっぱり慣れないし、好きな人からのそう言う褒め言葉はどうしてもその……!)


 師匠の褒め言葉を思い出してしまい、そっと頬を赤くしていると、師匠がこちらを振り返った。


「どうした、アメリア。顔が赤いぞ。熱か?」


 そう言って師匠はずんずんとこちらに近づいてくる。えっ、えっと焦るが、後ずさりも出来ずに固まっていると、ついにわたしの元に辿り着いた師匠がこつん、と額をわたしの額に軽くぶつけた。


 え……と絶句して目をきつく閉じていると、やがて彼の額が離れていくのを感じた。


「うーん、熱はねえな」

「は、はいっ! 至って元気でありますっ!」


 しまった、焦りすぎて変な答えを返してしまった。これじゃまるでわたし、バカみたいじゃないの。


「ははっ、何だその変な返事」


 思った通りの返事が返ってきて、しょぼんと肩を落とす。好きな人に馬鹿って思われたかもしれないとショックだ。


(うぅ、思った通りにいかないなぁ)


 恋は難しい。


「さ、帰るか」


 師匠もふっと笑って立ち上がると、そばに置いてあった籠を持ち上げ、家路に向かって歩き始めた。


 思い通りにいかないな。


 もう一度その言葉を反芻すると、少しおかしく思えて、ふふっと笑みを零してわたしもついていった。


ぬぅ、思い通りにいかないな……。

小説書くって難しい……。それだけに他の作家さんたちのこと、まじで尊敬。

いつも素敵なものがたりを届けてくださって、ありがたい。

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