王太子とのお茶会 前編
最近、更新が滞っていましたので、お詫びと読んでくださるお礼も兼ねて、本日二話目です。
短いですが、楽しんでくださると嬉しいです!
それから、一ヶ月後。わたしと師匠は王宮に呼び出されていた。
「やあやあ。すまないね、急に呼び出してしまって」
急に、と言うところを強調しながら、にこやかにわたし達に席をすすめるのは王太子だ。
王太子という身分にふさわしく、楚々とした白色の服。柔らかな笑みを浮かべたまま、主にわたしを見ている彼こそが、この国で二番目に尊い方だ。
お母上の王妃さまが、とてつもなくお美しい美女らしく、その良いところを受け継いだ容姿が眩しい。
「本日は、お招きいただきまして、ありがとう存じます。アメリア・ジュネーラル、我が国の輝く若き太陽であらせられる王太子殿下にご挨拶申し上げます」
「ルイス・フェックラー、若き太陽であらせられる王太子殿下にご挨拶申し上げます」
わたしと師匠は揃って頭を下げ、目の前の顔は麗しい王太子に礼を示した。
「前も言ったと思うけど、楽にしてよ。ほら、座ってくれて構わないから」
(いえ、単純に貴方に隙を見せたくないんです)
心の中の呟きを、わたしはそっと笑顔で包み込む。師匠も笑顔を作り上げているが、面倒くさそうな光は目の奥に宿ったままだ。
「今日は来てくれてありがとう。どうかゆるりと過ごしてほしい」
「ありがたき仰せ。わたくし達が王太子殿下のお話し相手を務められますかどうか、心配ではございますけれど、本日はどうか・・・」
流れるようにすらすらと言葉が出たけれど、そこから先が続かず、つまってしまった。どうしよう、と焦るわたしの隣で師匠が口を開く。
「僭越ながら、私どもは少しでも殿下のお心が休まれる時間になればとお祈り申し上げております」
わたしは笑顔のまま、目をみはり固まった。完璧なつなぎだ。貴族としてのマナーや心得を学び、二度目の人生であるわたしよりも上手い返し。
ちらり、と師匠を横目で窺う。彼の笑みは和やかなもので、あくまで自然だった。貴公子然としたその様は、王太子に劣らぬ威光を放っているように見える。
(気のせいかしら。まさか、師匠のフェックラーと言うのは偽の名前、とかで、実は貴族とか? いえ、ないわ。ないはずよ)
今まで、探ろうとしていなかった彼の出自。思いがけず、その一端がちらりと見えた気がして、少し焦る。
わたしは懸念を振り払うように首を振った。それを見た王太子がわたしを見つめているとも知らず。
「・・・ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ。ところで、君たちは私のお茶会に二人で来た。つまり、婚約者なのかな?」
きた!
わたしは笑顔の下でそっと息を張りつめた。視線は王太子に定め、わたしは笑顔のまま頷いてみせた。
「はい。恐縮なことに、王太子殿下のお茶会にお呼びいただけると言う幸運をいただいて、誠にありがたい限りでございます。ですが、わたくしは既にししょ・・・ルイス様と婚約させていただいております。ですので・・・」
「ほお、それは残念だな。だが、しかし・・・未だ、正式な文書でその契約を交わしてはおらぬのだろう? であれば、王太子と婚約を結び直すのはいかがだ?」
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