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師匠巻き込み大作戦(王太子発案)

皆さま、ご無沙汰しております・・・!

よろしくお願い致します。

 そう言えば、と師匠が珍しく歯切れ悪く切り出したのは、その日の魔術の訓練が終わり、リビングで休んでいるときだった。


「何でしょう?」

「・・・その、だな。アメリアに手紙が届いているんだ」

「手紙、ですか?」


 わたし宛に手紙とは、かなり珍しい。首を傾げながら、やけに豪奢で美しい封筒を受け取った。


(もう既に嫌な予感するんですけど!? わたしだけ!? わたしだけかな!?)


 そっと師匠を窺い見てみると、彼も微妙な顔をしていた。やはり、師匠も嫌な予感がしているのだろう。


「まさか、これ・・・誰からですかね」

「さあな。裏を見てみろ」


「・・・アーサー・フィルノン」


 その名前に、師匠がため息をつきながら呟く。


「王太子だな」

「うう、やっぱりそうですか。これ、まさか?」

「流石に中身を見ねえと、何とも言えねえ」


 師匠の言うことも尤もだ。わたしは渋々手紙を開封した。


 そこには、流麗な文字が綴られており、何と便箋二枚分も書かれていた。その量の多さに思わず、無を感じる。




〜〜〜〜〜〜〜


アメリア・ジュネーラル伯爵令嬢へ


久しぶりだが、覚えているだろうか?


王太子のアーサーだ。突然だが、一週間後、王宮へきてほしい。理由はその際に説明する————と言いたいところだが、きっとそれだと来ないのだろう?


それでは困るので、詳しく説明してやる。


〜〜〜〜〜〜〜




 この時点で、かなり偉そうな表現になっており、好感度は下がりつつある。




〜〜〜〜〜〜〜


端的に言うと、私の婚約者になってほしいと言うことを陛下がお願いするらしい。


実は、私がと言うよりは、陛下が望んでいることでね。陛下が私と貴女の婚姻をどうにかして、結ばせようとしている。


ジュネーラル伯爵もその餌食になっているようだ。頑張って耐えてくれと内密に頼んではいるが、中々難しいだろう。


ここは、私と貴女が頑張るしか無い。


〜〜〜〜〜〜〜




 まさかのわたしと王太子の協力作戦だった。


 思わずの内容に、天を仰ぐ。


「・・・どうしたんだ」

「・・・ちょっと、不測の事態と言いますか。中々面倒くさそうです」

「・・・そうか」


 それ以降は聞かないことにしたのか、続きを早く読めとばかりに目をとじ、休憩の体勢に入る師匠。


 仕方ないので、わたしもまた手紙に視線を戻した。




〜〜〜〜〜〜〜


 具体的に、どう頑張るかというと、・・・まあ結論から言うと、貴女とルイス・フェックラーに婚約者の振りをしてもらいたい。


 期間は無期限。悪いが、王子命令を出すのも厭わない。心してかかってほしい。


〜〜〜〜〜〜〜




「嘘でしょ」

「どうかしたのか」

「————師匠もとばっちりを受けそうです。すみません、わたしのせいで」

「嘘だろ」


 わたしと同じ台詞を言った師匠は、先ほどのわたしの嘘でしょという呟きを思い出したのか、黙ってまた目を閉じてしまった。




〜〜〜〜〜〜〜


 今度、貴女に呼び出しをかけることにした。


 私の婚約者を決める際には、婚約者候補の令嬢たちと一人ひとり、お茶会をする決まりになっているのは知っているだろう?


 私が王太子であるから、その儀式とも言われるお茶会を行っていくんだが、大抵の令嬢はそのお茶会に呼ばれることになっている。


 貴女も、まだ一応は未婚の貴族の子女だ。呼び出すには充分の条件、しかも国王陛下のイチオシだ。周りも許すだろう。


 その際に、ルイス・フェックラーと婚約を結んだという振りをしてもらいたい。


 実際に、この儀式では未婚の子女でも、婚約者を内定している場合は、その相手を連れての参加という決まりがある。


 今回は、そこをついてもらおうと思う。別に、ルイス・フェックラーは異存はないだろうとの読みだ。


 何か反論があれば、手紙でなるべく早くに返してくれ。この手紙がそちらについてから、三週間の猶予をやる。


 それまでに手紙が無ければ、了承してくれたという意味としてとる。


 ではまた。


〜〜〜〜〜〜〜




 わたしは、もうため息をつく気力すらなくて、師匠に手紙を無言で渡した。師匠は渋々それを受け取り、中に目を通す。


「嘘だろ。俺が、アメリアの婚約者の振り!? 無理だな、まず年齢的におかしくねえか。周りの目を誤摩化せられねえだろ」

「分かりませんよ、お互いに利害が一致したからとか」


「どう見ても一害あって百利なしだろ」


「・・・陛下に命令されたとか」


「王太子と婚約しろっつってんだろ?」


「・・・・・・わたしの親が泣いて頼んだとか」


「こんな男に? それならもっと良いとこ狙うだろ」


 全てを道理で返され、ぶすっとわたしは拗ねた。


「でもっ、やれって言われてるんですよ!?」

「・・・」


 今度は師匠が黙り込む。わたしと師匠は完全に手詰まりになったことをお互いに悟った。


「・・・これは引き受けるしかねえ。断れねえんだからな」

「・・・そうですね。わたしも覚悟を決めました。師匠、お手数ですがよろしくお願いします。わたしのせいでこんな問題に巻き込んでしまってごめんなさい」


 わたしがそっと頭を下げると、ぽんっと師匠がわたしの頭に手を置いた。


「気にすんな。久しぶりに王都にも行きたいと思ってたしな」

「・・・ありがとうございます」


 わたしは巻き込んでしまったことを本当に申し訳なく思った。

いつも読んでくださっている皆さま、本当にありがとうございます。

さて、このたび、タイトルが変わりましたことをご報告致します。(見て分かるかもですが・・・笑)

忙しい、という言い訳にかまけて、更新をさぼってしまいすみません。

さらに、タイトル変更もだいぶ予定と違ってすみません。。。


色々考えた結果、

『黄色い水仙と二度目の人生 〜運命のキスをしなきゃいけないって本当ですか!?〜』

となりました。

また、変更する可能性がありますが、どうか温かい目で見守っていただけると幸いです。


いつも本当にありがとうございます!


葵生

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