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伝説の魔剣グラムを手に入れたアレンは、さらなる強さを手に入れた。グラムは、所有者の魔力と共鳴することで力を発揮する。アレンは、解析能力でグラムの構造を理解し、その魔力の流れを完璧に制御することで、グラムの力を最大限に引き出すことに成功した。剣から放たれる斬撃は、かつての何倍もの威力となり、敵を瞬く間に粉砕する。
リアは、そんなアレンの姿に驚きと興奮を隠せないでいた。
「すごいわ、アレン! グラムの力をこんなにも完璧に操るなんて……。あなたは本当に、ただのモブ冒険者なの?」
リアの問いに、アレンは苦笑いするしかない。彼はグラムの力を使いこなしながら、一つのことを考えていた。
(この能力は、戦闘だけじゃなく、もっと他のことにも使えるんじゃないか……?)
ダンジョン探索を終え、街に戻ったアレンは、冒険者としての活動を続けながら、解析能力を応用した新たな試みに着手する。彼は、街の隅にある小さな工房を借り、解析機を起動させた。
「まずは、これだな」
アレンが解析したのは、この世界の照明器具である「魔力ランプ」だ。魔力ランプは、魔石を燃料として光を放つ魔道具だが、魔石が高価なため、貴族や裕福な商人しか手に入れられない。
『魔力ランプ:魔石から魔力を引き出し、光に変換する魔道具。効率が悪い。光への変換率:20%。』
解析機は、魔力ランプの構造と、その非効率性を詳細に表示した。アレンは、解析結果を元に、魔石から効率よく魔力を引き出すための新たな魔力回路の設計を始める。そして、試行錯誤の末、ついに完成させた。
「これなら……」
完成したのは、手のひらに収まるほどの小さな魔道具。だが、その光は従来の魔力ランプよりもはるかに明るく、魔石の消費量も圧倒的に少ない。アレンは、この新しい魔道具を『エコ・ランプ』と名付けた。
エコ・ランプは、瞬く間に街で話題となった。安価で高効率。それは、今まで魔力ランプを使うことができなかった庶民にも光をもたらし、市民権を得るのに時間はかからなかった。アレンは、エコ・ランプを量産し、街の商人に卸すことで莫大な財力を手に入れていく。
「アレンさん、次はこの魔道具を開発してほしいんだ!」
「ぜひ、うちの商会と専属契約を!」
アレンの工房には、連日、多くの商人が詰めかけるようになる。
『魔力冷蔵庫:熱魔法を応用し、冷気を発生させる魔道具。魔力消費量が大きく、貴族向け。解析結果:魔力消費の改善が可能。』
『魔力通信機:遠隔地と通信する魔道具。解析結果:通信範囲の拡大が可能。』
アレンは、解析機で様々な魔道具を改良し、次々と新しいものを開発していく。彼の名は、冒険者としてだけでなく、偉大な魔道具師としても知られるようになっていた。
(モブだった僕が、こんなことになるなんて……)
アレンは、開発した魔道具が街の人々の生活を豊かにしていく光景を眺めながら、複雑な気持ちを抱いていた。平凡なサラリーマンだった自分が、今やこの世界の常識を次々と塗り替えていく存在となっていた。
そして、その成功の裏で、アレンという謎の人物に、新たな視線が注がれ始めていた。