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拾われ奴隷少女の恩返し  作者: 彗花
第一章 プロローグ
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お風呂と初メイド

前回のあらすじ

副団長フィリシムに拾われてた。お風呂にドナドナされた。

 ドナドナされながら──と言ってもいわゆるお姫様抱っこと言うやつだが、お風呂場に連れて行かれた私はメイドさんに渡された。


 メイドさん!生メイドさんだ!と私の前世が叫んでいる気がするが、とりあえず無視する。

 前世の記憶ではこういうメイドさんは憧れのミニスカートではなく、ロングスカートというのが定番らしい。


 しかし、ここのメイドさんはミニスカ。掃除の時に邪魔だとかそんな理由かな。まあ可愛いからいいや!

 メイドさんは私のボロボロの服を丁寧に脱がしてくれた。ボロボロだから別に丁寧にする必要は無いのに。

 メイドのこだわりってやつかな?


「お風呂では目をつぶっててくださいね」


 メイドさんが言った言葉にこくりと頷く。そしてさっきフィリシムさんにされたように、お姫様抱っこで連れていかれる。


 ちなみに言葉に関しては私に魔法をかけてもらった。私はまだ上手く喋れなくて常に聞く側だからね。


 メイドさんが私に顔をグイッと近づけてくる。


「それでは頭を洗いますが⋯⋯目を開けてはダメです。すっごく痛いので。本当に痛いので」


 思わずコクコクと頷いてしまうくらい迫力が凄かった。1回やった事があるのだろうか。


 椅子に下ろされ、お湯を頭からかけられる。


 今まで体験したことのなかった温かさが頭の芯から足の先までじわぁとやってくる。


 あったかい⋯⋯さっきまで寝てたけど、なんか眠気が襲ってくるなあ。

 しかもそのあとのマッサージ兼石鹸でのシャンプーっぽいやつ。

 Theプロの技って感じだね。


「眠たかったら、寝てしまっても大丈夫ですよー」


 むう、なんか子供扱いされてる気がする。私、前世も含めたらかなりの大人なはずなんだけどなあ。

 ⋯⋯多分。前世の記憶なんかそこまで残ってないし、今世が何歳か分からないけど。


「ぉ、きま、す⋯⋯ッ」


 うん、ダメだね。筋肉の問題かなー。フィリシムさんのおかげで痛くは無いけど、これはリハビリが必須だね。


「あれ、喋れたんですか?でも、まだ無理はしないでくださいね。これからゆっくり治していけばいいので」


 そうだよね。私、もう安全なんだし!しかも隷属の首輪ってやつも外されて、自由にもなった。あれのせいで感情も言葉も出せなかったんだから。


 と、名も知らぬ飼い主だったヤツに心の中でぷんすか怒っていると、メイドさんが声をかけてきた。


「頭流すので、じっとしててくださいねー」


 一度頷いて、じっとする。

 腰までもある長い髪が絹でも扱うかのような手つきで梳かれていく。


 あれだけゴワゴワしていた髪が、こんな短時間でさらさらになるとは、メイドさんってすごい。


 髪をくるんとお団子にされ、上で止められる。


「次は体を洗います。顔も洗うので、目はまだ開けないでくださいね」


 顔に泡がぺたっと付けられる。そのままぐるぐる伸ばされて、これまたマッサージみたいで気持ちいい。

 筋肉がほぐれていく気がする。やっぱ緊張してたのかな。まあ今世初めての外だしね。


 ざっと水をかけられて、もう一回同じことを繰り返される。身体も同様に、マッサージが如くほぐされる。


 メイドさんの技術が本当にすごい。私が何も動かなくていいように洗いながら、マッサージまでしてくれる。


「ふぁ⋯⋯」


 眠気がすごい⋯⋯。これ、上がったら寝ちゃうかもなあ。

 ちらりと鏡を見ると、青白く、痩せ細った私の体が映った。鮮やかな青⋯⋯前世で言うと、瑠璃色の長い髪、欠伸したせいで涙を湛えている深緑の瞳。

 色が濃いのと、表情に乏しいせいで暗い雰囲気がある。


 これが、私かあ。前世基準だけど、もうちょっと成長したら美幼女になる気がする。


 などと益体も無いことを考えて眠気を誤魔化しているうちに洗い終わっていたようだ。


 ふわふわのタオルにもふっと包み込まれながらこれからはちゃんと食べようと決意したのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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最近のマイブームはアザラシを愛でること。乾くともふもふで可愛いんです。

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