第73話 第七層攻略②
雪原を少女達が歩いていると目の前に人サイズの雪だるまが現れる。頭にバケツ、顔は石炭、両手は木の棒と手袋で出来ている。
『シオちゃん、これが七層の最初のモンスター、Dスノウマンです』
「まんま雪だるま、だね」
シオちゃんがDスノウマンに近づこうとした瞬間、雪玉が投げられる。勿論、卓越した動体視力を持つ新人類のシオちゃんは躱す。
『これが、攻撃だよ、ただの雪玉を投げるだけだよ』
「そうなんだね、ところでこのモンスターはどうやって倒すの?」
『これを使います!』
闇の空間からサトちゃんが出したのはスコップだ。
『普通の量販店で売っているスコップで大丈夫ですよ』
「どうして、スコップなの?」
『スコップの用途って知っている?切る、刺す、殴る、穴を掘る、埋めるが出来る万能アイテムなんだよ!第一次世界大戦の塹壕戦では無類の強さを誇った武器なんだよ』
〝スコップの用途www〝
〝掘る埋めるよりも先に、切る、刺す、殴るが来るって怖いww〝
〝サトちゃんは第一次世界大戦からの転生者やろww〝
『まずは、スコップを両手で持って、魔力で覆って切ります』
スコップに黒い闇の魔力を纏わせ、サトちゃんはDスノウマンに近づくとDスノウマンは、多数の雪玉を投げて来る。
サトちゃんも新人類で動体視力が良いので勿論避け、横一線で撫でる様にDスノウマンの首を切る。
画面も同時に横一線の線が入る。
Dスノウマンの首がポロリとサッカーボールの様に転がると淡い雪の結晶と青白い氷の魔石が残る。
〝一瞬、自分の首が繋がって居る事を確認した〝
〝ワイも同じことした〝
〝サトちゃんの攻撃が画面越しの視聴者にも与えるってバグやろww〝
『あれ?何時もの癖で空間ごと切っちゃった!ここでは一般の人達が出来るようにしないとね!あ、可愛いモフモフDスノウラビットだね!じゃ、あれでヤロウ』
雪だるまの近くに居たDスノウラビットが、サトちゃんの殺気に気が付き飛ぶ。
が、首と躰がすでに泣き別れ、「え、私の躰が離れていませんか?」って顔をしながらスノウラビットの首が地面に落ちると氷の魔石と手袋が落ちる。
『わぁい!Dスノウラビットの手袋がドロップしたよ!』
〝もう情緒がぐちゃぐちゃすぎるww〝
〝間違って、空間を切っちゃったからのカワイイ生き物殺そう!意味不明!〝
〝カワイイ生き物殺して「手袋がドロップしたよ」って笑顔で報告で脳がバグるw〝
『シオちゃんもDスノウマンを倒してみようね!』
「分かったやってみる」
シオちゃんがスコップに魔力を流すとスコップの魔力の色は右半分が風の緑と左半分が火の赤になっている。
近くの赤い帽子のDスノウマンを発見し、スコップでシオちゃんが襲い掛かる。雪玉を投げて来るが全部を躱し、真っ二つに切り裂く。
切り裂かれた先には、雪の結晶と氷の魔石とスキル石が残る。
『あ、シオちゃん赤い帽子のDスノウマンを倒しましたね』
「あれは何か違うの?」
『赤い帽子のDスノウマンは、雪玉の中に石が入っています』
先ほどのDスノウマンが残した雪玉を拾い開けると中には、石が入っている。
〝邪悪な小学生で草ww〝
〝Dスノウマン君さぁ……君には失望したよ……〝
〝これ初見なら死んでるかもしれないやろ……〝
「あ、スキルは【威圧】っていうのが手に入ったみたい」
『よかったですね、そのスキルは自分よりレベルが低い人やモンスターを行動停止させられます』
「先制攻撃ができそうだね」
少女達は言葉を交わしながら第七層を進み続ける。
次回 第七層攻略③




