表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/142

第60話 勝ち取った30分②


 女の子同士がお風呂に入って、互いに躰を洗いあって……。朝に受付で「夜はお楽しみでしたね」になるのか?


次の「眠れない夜:SLEEPLESS DUNGEON NIGHT」の歌詞はこんな感じだ。


(シオちゃん)

夜の静寂しじまに 響く足音

ダンジョンホテルの 薄暗い廊下

寝ぼけたまま ふらり戻る影

……え? おい、そこは俺の布団!


(シオちゃん)

間違えてるって 起こそうとしたけど

耳元で 小さな寝息

ちょっと待て 近すぎるって!

心臓がヤバい バクバクしてる


(サトシオ混声)

どうする俺!?

起こすべきか!?

この距離は危険すぎる!!

でも 揺らしたら この夢 消える!?

って俺は何を考えてんだ!?


(サトシオ混声)

SLEEPLESS NIGHT!

眠れるわけがねぇ!

MIDNIGHT BREATH!

そっと響く寝息

SLEEPLESS NIGHT!

近すぎる温もり

夜明けまで 耐えられるのか!?


(シオちゃん)

シーツの隙間から 覗く横顔

無防備すぎるって… 反則だろ

ダンジョンの罠なら すぐに見破れるのに

これは攻略法ヒントが どこにもねぇ


(シオちゃん)

寝ぼけて ぎゅっと 腕を掴む

「パンケーキ…」とか言うの ズルすぎる

この夜が 終わらなければ

俺 もう何も 考えられねぇ!


(サトシオ混声)

これは試練か!?

神のいたずら!?

ダンジョンより

攻略ムズい!!

でも このぬくもり 守りたくなる

……ってマジで俺どうかしてる!?


(サトシオ混声)

SLEEPLESS NIGHT!

眠れるわけがねぇ!

MIDNIGHT BREATH!

静かすぎる吐息

SLEEPLESS NIGHT!

でも動けないまま

この夜が 終わらなければいい!?


(シオちゃん)

心臓がうるさすぎて

(シオちゃん)

朝が来るのが怖い


(サトシオ混声)

SLEEPLESS NIGHT!

もう寝るなんて無理!

MIDNIGHT BREATH!

そっと揺れる空気

SLEEPLESS NIGHT!

こんなのズルいだろ

夜明けまで 耐えられるのか!?

ダンジョン攻略より難易度高い「間違えて布団イン事件」


 歌と共に配信では、公開されていなかった、映像がディスプレイに流れる。


 トイレから戻ってきたサトちゃんが、シオちゃんの布団に間違えて入るのが映し出される。いずれのシーンでも、互いに顔は映さず口元までしか映っていない。


 顔が見えないからこそ、はだけた浴衣のエロさが際立つ。我々、日本人は顔が見えるよりもギリギリ見えない方が興奮する変態民族。

 多くの観客は両手で目を覆いながら、指先を開いてつい見入ってしまう。


 そして、歌詞の中にあったように、サトちゃんは『パンケーキ』と言ってシオちゃんの首筋に噛みついて、そのまま寝てしまった。


 丁度、ここで二人の歌の最後が終わる。


 だが、まだディスプレイの映像が終わっていない。噛みついたまま、朝が明けるとサトちゃんは目を覚まして起き上がり『アレ、シオちゃん私の布団に入ってたの?え、一晩中起きてたの?道理で目の下が酷い隈だよ』っという字幕入り音声が流れ、映像が終わる。


 このサトちゃんのセリフを聞いて、観客席からは変な笑いが起きる。


『いやぁ、私が間違えてサトちゃんの布団に入るなんて思わなかったよ!』

「そんなに私って良い匂いしていた?」

『うん!甘くて暖かくて、シェフさんが作ってくれるパンケーキだよ!』

「何も香水とか使っていないんだなぁ……」


 シオちゃんは、十代の女の子特有の甘くて良い匂いをさせている。しかも、ダンジョンを攻略していく中でシオちゃんの色々なレベルが上がり、人を虜にする魔性の女の様なフェロモンが後天的に無自覚に発生している。


 シオちゃんよりレベルが高いサトちゃんでさえ、虜にするのだから、それ以外の人間はもっとメロメロになってしまう。


 今の時点で7曲も必死に歌い汗が出ており、シオちゃんの匂いが段々とステージに拡散され、観客はシオちゃんにメロメロの状態である。


そんな中で、


「皆!残り三曲!行くぜ!上げていくぜ!」


 そんな事を言うから、ステージの観客はもう立ち上がり熱狂の渦に包まれる。


「次の曲は、俺の苦しい過去を歌にしたものだぜ」

『「「3 YEARS MONSTER」」』


 これはレイにとっては封印したい記憶、でも過去は消えないし消せない。だからこそ、それを歌詞にして曲を書き同じ病気の人達への歌とした。


次回、勝ち取った30分③

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ