第44話 寝る前の一仕事
『シオちゃん、何しているの?』
「寝る前の作詞作曲」
シオちゃんは右手で歌詞を書きながら、左手で楽譜で作曲をしている。
普通の人は出来ないが、新人類だから出来るのである。
『シオちゃんは一日、どの位作っているの?私は忙しいから1から2曲かな?』
「えーと、朝起きてシャワー浴びた時に調子が良くて5-6曲で、寝る前に色んなイベントがあったりすると7-8曲位作っているね!」
『ワ~凄いね、作詞・作曲家の人達みたいだね!』
〝全国の作詞作曲家が戦慄……〝
〝そんなに作れないってばww〝
〝ソルト・安堵・シュガーの新曲が毎週出るのって……〝
シオちゃんは毎日多くて10曲位作っていて30日で300曲位作っている。本人としては、日記替わりに歌詞と作曲をしている感じである。
ちなみに、この世界では旧人類の作詞・作曲家は頑張っても1週間で5曲位しか作れていない。いかに、シオちゃんことレイが人並み外れて居るかが分かる。
『でも、どうして右手と左手で作っているの?別々でもよくない?』
「だって、一緒にやった方が今のトレンドの時短とかタイパ感あるじゃん!後、歌詞作りながら、音楽作った方が曲が歌詞に嵌るから好き」
『なるほど、そうですわね!今度私もやってみようからしら?』
〝オラ!全国の作詞作曲家は右手で作詞して左手で作曲しろww〝
〝作詞作曲家からしたら、シオちゃんは音楽の悪魔やなw〝
〝ワイ、作詞作曲家、シオちゃんの凄さにドン引き〝
ところで、作った300曲のうち、毎週リリースされるのは数曲である。
残りの曲は、「今の流行」や「内容が生々し過ぎてヤバい」という理由で弾かれてる物も多い。内容が生々しいというのは、芸能活動中で知った芸能人のあんな事やこんな事を炎上系のノリで歌詞にしている感じである。
分かる人が聞けばわかる内容で、芸能界の闇を歌った曲が多い為、会社より封印指定されて金庫に厳重に保管されている。
「ちなみに、会社から依頼されてトルソーっていう別名でも作詞作曲してる。業界の人達なら皆が知って居るし、守秘義務でも何でもないけどね」
『ソルトを入れ替えているだけですわね』
「まぁ、自分が歌わないし、指定された内容でマイルドな歌詞で書いているけど、面白くないから仕事は余り受けないようにしている」
シオちゃんは自分用の痛い内容の作詞作曲を多数作成しているが、スタープロはそんなに多くの曲をリリース出来ない。
その為、他社から作詞作曲依頼を引き受け、シオちゃんに色々と指定条件を付けて作詞作曲を依頼し、シオちゃんの作詞作曲スピードを落とそうと考えた。
最初は、少し作成ペースが落ちたが、新人類は直ぐに順応した為、相変わらず変わらない速さで作詞作曲をするに至っている。
〝ふぁ!人気映画とかアニメ・ドラマの主題歌が作詞作曲トルソーやんけww〝
〝ワイ、反シオ派でトルソーの歌詞と曲が好きなのどうすれば良いんや?〝
〝スタープロの偉い人達「反シオ派を取り込むには、別名義でトルソーで活動させてアンチを取り込めるよね?ニチャァ」って考えてそう〝
「書き終わった!マネージャーさんにスキャンデータ送れば完了だよ!」
『ホテルにスキャン装置なんて合ったかしら?』
「ちゃんと持ってきているから大丈夫!」
保管庫からポータブルスキャナーを取り出し、作詞作曲した紙をスキャンしデータをスマホに移動させ送信すると、紙とスキャナーを保管庫に投げ入れる。
〝保管庫便利すぎる〝
〝一層の金スライム倒しても、中々でて来ないらしい〝
〝どうやら、業値が高くないとスキル石は出てこないらしい〝
「サトちゃん、もう眠くなった……」
『今日も頑張ったからね……おやすみなさい、シオちゃん」
「おやすみ~」
シオちゃんはフワフワな布団に飛び込むとスヤスヤと眠り始めた。どうやら、シオちゃんは布団に入ると直ぐに眠るタイプの様だ。




