第330話 鬼ごっこの終わりとマダムの最後
赤兎馬が、県道162号を北へ向かう。分かりやすくいうと金沢から輪島の方へ走行中だ。
「神父さん、次のカーブでドリフト!」
車の屋根の上でレイは指示を出す。
沿線ではカーチェイスの事を知ったのか、スマホを片手に撮影している人種達がいた。
「ウェーイ、レイちゃん達と暗殺者の追跡見てまーす」
「危ないから下がりナサイ」
「ワタシタチ―は知る権利を行使してるナウ」
「さーがーれ」
スマホを自撮り棒で即興的配信をしている、映えを狙いったギャル系女や他の配信者達と警官が押し問答をしてる。
彼等は現在、正常バイアスに掛かっており、異常で命の危険がある状態でも「たいしたことはない」「大丈夫だろう」と現状を過小評価し、正常なことだと判断したのだ。
〝金沢にも映え厨いて草ww〝
〝絶滅危惧種のギャルいるww〝
〝お前ら、本当に今回は死ぬぞ!〝
配信しているギャルのコメントには、否定的なコメントが多い。
「大丈夫ッショ!アーシが死ぬわけないし!」
そこをギャリギャリっとドリフトをしながら、赤兎馬が通っていく。
「今のマジ、メチャクチャ凄ッ……」
言いかけたギャルや配信者を後続の車が轢いていく。ボーリングのピンの様に跳ね飛ばされ、全員が宙に高く舞う。
宙を舞った人たちは、Ast〇nmartinの周囲に落ち車の進行を阻む。
「碍事的小日本鬼子!(邪魔な小日本人ね!)」
轢いた本人は、車の中で悪態を付いている。残りの弾の残数もミサイルの数も心もとないのだ。
しかも、転がっている相手を何とかしないといけない。
「没办法,就用这个吧!(仕方がないわ、これを使うわ!)」
車内のボタンを押すと左右から火炎放射器とチェンソーが展開される。
「痛いよ、たすけ、アツい、あ、いたいよ……誰か……」
轢かれて転がっていたギャルが火炎放射器で、焼死体にジョブチェンジし、チェンソーで躰を刻まれていく。
Ast〇nmartinが県道に戻った後には、轢かれ燃され、切り刻まれた凄惨な死体達が転がっていた。
〝うぁ……これは、酷い……〝
〝まさに屍累々やね……〝
〝危険な状況では、逃げる事の重要性を学んだね〝
ギャルが使っていた自撮り棒は轢かれた際に、Ast〇nmartinに引っかかり、俯瞰映像で即興的配信中だ。
そんな事は知らないというか、Tiffany & C〇のアンリミテッドルミナスモデル以外には興味を持たない暗殺者は気がついていない。
〝あれ、車に自撮り棒が引っかった?〝
〝そうみたいだね……レイちゃんが見える〝
〝レイちゃんと同じ目線だけどメチャクチャ高速やな……〝
引っかった自撮り棒が丁度よい仕事をしており、レイちゃんと向き合っている様な感じで配信されているのだ。
「あ、この橋、この間、話題になってた橋だよね」
冒険者になって、視力が強化されたレイの瞳には、白鳥と冬に樹木の枝が積雪で折れない様に枝を縄で引っ張る雪吊をイメージして作られた橋が映る。
「通称、サンセットブリッジ内灘で近くの公園には、美しい夕日をカップルで見れるぜ!どうして、知って居るかって?この間、ネットで地元学生が作ったここに来たカップルがサメに襲われるB級映画が公開されたのを見て知った」
暗殺に追いかけられながらも、配信中の動画内にリンク先を添付する視聴者に張る。視聴者達は、さっきのあんまりな映像をみてリンク先に飛びつく。
〝草ww最高に笑ったww〝
〝どうして、さめがチェンソーもって襲ってくんだよ!〝
〝しかも、カップルが宇宙科学博物館コスモアイル羽咋でバイトをする宇宙人カップルww〝
〝最後は、サメが幸せなキスをするカップルを見ながら溶鉱炉に入るとか意味不明〝
流石、B級映画。
何もかも、ハチャメチャであるが、そのハチャメチャさに人々が熱狂、レイにリンクを貼られたことで、日の再生数が10回ととかだったのが1億にいきなり飛ぶ。
この映画を作った彼は、後に才能を見出され日本の映画界を支える監督兼脚本家になるが、別な時に取り上げたいと思う。
「桥上!无处可逃!去死吧!(橋の上では!逃げ場はない!死ね!)」
丁度、そのサンセットブリッジ内灘を通る時に、Ast〇nmartinからミサイルが発射され橋が崩落する。
「神父さん、アクセル全開で飛んで!あと、合図したらバッグドアあけて!」
「全員、シートベルトは着けているな!行くぞ!」
アクセルを再度べた踏みすると赤兎馬はエンジン音を高くならし、崩落した橋を飛ぶ。
「神父さん、今!」
バックドアが開く直前、レイは15層で拾っていた手榴弾の葉を引き投げていた。ピッピピッとカウントはすでに始まっており、ピピピピピピッっと音が早まった後、大爆発を起こす。
バッグドアは大爆発の風圧を受け、真っ赤な黄色に黒馬の模様のエンブレムが着いた超高級スポーツカーはエンブレムの通りに飛ぶ。
「啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊(うあぁああああ、あああああ)」
同時に、ジェットエンジンで飛び後方のマダムは大爆発に巻き込まれ、海にAst〇nmartinと共に突っ込んでいき水飛沫を上げ着水する。
どうやら、このAst〇nmartinには潜水機能は無く、マダムは気絶をしているようで海にプカプカと浮いている。
「よっしゃ!撃破!神父さん、このまま高速に行って道の駅で休憩しよう!」
「そうじゃの!ここで車を止めたら動かなくなりそうで怖いからのぉ……」
金の公爵令嬢と銀の公爵令嬢とレイ、ルミちゃん、テルちゃんを乗せた車は道の駅を目指し進む。
彼女達の向かう先は、何処なのか?
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