第32話 第三層攻略配信②
「そういえば、サトちゃん、どうしてDドックは倒れたの?」
『前にテレビでワンちゃんが玉ねぎを食べて死にそうになったって話題になっていて思いついたの!』
〝犬は食べると玉ねぎ中毒になる〝
〝有機チオ硫酸化合物というやつが影響している〝
犬が玉ねぎを食べると体内で、有機チオ硫酸化合物という物が赤血球に含まれるヘモグロビンを酸化させ、最終的に貧血に至らしめる。
『だから、Dドックもなるのかな?って思ったら簡単に倒せたの!』
「そうなんだ!あと、この犬のカチューシャって何に役立つの?」
『Dドッグが仲間だと思って、攻撃して来ないんだよ!』
サトちゃんが物陰から飛び出し、Dドッグの方に歩いて行く。Dドッグはサトちゃんに敵意を向けることなく、スタスタと歩いていく。
『シオちゃん、このワンちゃんにも餌あげて、締めてあげて』
「あ、うん」
シオちゃんが覇味の香辛料を掛けて、Dドッグの前に転がすとDドッグは迷わず食べてそのまま倒れ、シオちゃんに止めを刺される。
「サトちゃんこの覇味の香辛料は何の役にたっているの?」
『玉ねぎって、匂いがするじゃない?それを消すためにを覇味を使ったの!あと、これを使うとDドッグは必ず食べるみたいなの』
〝あんな面倒なDドッグさんが、イチコロかよ〝
〝全国から玉ねぎと挽肉と覇味が無くなりそうやなぁ……〝
覇味の元は豚骨や鶏ガラをベースに作られており、その匂いは鈍感な鼻の人間でも堪らない匂いがする。
人一倍、匂いに敏感なDドッグがその匂いを嗅いだらどうなるか?もう、何も考えられない位に脳が破壊され、食べてしまうのだ。
「この犬のカチューシャ、自衛隊の人達も着けるのかな?」
『シオちゃんどうしてそう思ったの?』
「この間のダンジョンインタビューで、自衛隊の人達が3層のDドッグを掃討してから行くからダンジョン攻略が遅々として進まないって言ってた」
Dドッグの一番の面倒な所は敵を見つけると吠えて、仲間をポップさせる点である。
そのため、自衛隊や各国軍がダンジョンを攻略する時はDドッグを3層から全滅させて進む。その為、ダンジョン攻略に非常に時間が掛かるのだ。
『自衛隊のムキムキの人達が、犬のカチューシャを着けるのかフフフ』
「凄いシュールな風景になりそうだね」
『作戦中に画面越しに笑った偉い人達は全員、タイキックされそうだね』
「蹴るなら一番強い、第一空挺師団っていう人たちになるのかな?」
〝絶対に笑ってはいけない、制服組のダンジョン攻略やめぇww〝
〝今回、制服組さんにタイキックをするのは、精鋭無比な第一空挺団の皆さんです!(覆面で登場)〝
〝絶対にノリノリで蹴りそうで草ww制服組さん壊れるw〝
SNSでは、【犬耳カチューシャムキムキ自衛隊】、【絶対に笑ってはいけない制服組】、【精鋭無比なタイキック(第一空挺師団)】等がトレンドに入りバズる事になる。
『あ、これが最後のDドッグ、マザーDドッグだね。シオちゃん宜しく』
「はーい、ポイッ」
覇味が掛けられた肉団子を投げるとマザーDドッグはパクッと食べて泡を吹いて倒れ、シオちゃんに止めを刺される。
そして、Dコインとスキル石と黄色い魔石が残り、シオちゃんはDコインと魔石を回収し、スキル石を口に入れる。
「今回は衝撃破だって、銃以外からも出せるみたい、やってみて良い?」
『いいよ、やってみて!やる前に良い動画があるから見て見て』
サトちゃんは、シオちゃんにスマホでとある動画を見せる。
それを見たシオちゃんは、誰もが子供の頃に憧れてやった両手の指先を曲げ、腰を引くカメ〇メ波のポーズをして。
「衝撃破ーッ!」
スキル名を言いながら両手を前に出すと両手の前の空間が歪み、木々をなぎ倒していく。誰もが子供の頃に憧れたカメ〇メ波をシオちゃんはやったのだ!
〝カ〇ハメ波やんけ!〝
〝ダンジョンに行けば子供の頃の夢が叶うんですね!〝
「すっごい、魔力が抜けて疲れた……」
『シオちゃん、お疲れ様。次の四層で少し休憩しましょうね』
少女たちは三層を攻略し、四層への階段を下りていく。




