第20話 お嬢様の皮を被った元炎上系から見る世間②
レイが見上げている巨大なテレビには、スタープロが公開した新ユニット名とメンバーの姿と名前がカットインされる。
サトウは某宇宙世紀の朱い彗星の人に似た仮面を被り、シオは紫マスクのオバサンに似た仮面と紫マスクを被り誰だが分からない様になっている。
両者とも歌とギター裁きが超絶上手く、両方のギターが歌っているのだ。
ユニット名はソルト・安堵・シュガー。
二人はサトウとシオで出身がキッチン公国。被っている兜のトゲトゲはホークになっている。
「先ほどルミちゃん分析調査研究所、通称ルミ研はどちらもルミさんでないと発表」
「つまり、スタープロに大物新人二人が入ったという事ですね!」
「何処からこんな歌とギター弾ける逸材拾った来たんですかね?」
「いやぁ、名前がサトウとシオで出身がキッチン公国という事しか不明です」
「ユニット名もソルト・安堵・シュガーって変な名前ですよね?」
街中のテレビから流れて来る声を聞きながら、思わずレイは吹き出す。
さらに、SNSでサトウとシオの名前と姿に考察を入れている暇人達の投稿を見て笑顔になる。
「それにしても、共感性羞恥ってこんな事いうのかぁ」
自分の書いた詩で自分が歌っているのを見て、レイ自身にも鳥肌が立っている。
公開された曲は何れも【歌いたいけど歌痛い】とネタにされている。ただ、中高大生には共通の痛い話題が出来たと人気だ。
特に「ダンジョンも、女子高も芸能界もモンスターばかり、まだ、女子高よりもゴブリンの方が殺意が高いだけまし、女子高は笑顔で背後から刺してくる、芸能界はオークやゴブリンよりも性欲モンスターの集落」というフレーズは何故かバズっている。
他にも「政治家の派閥争いに密室会議が話題になっているけどさぁ、女の子は多数の派閥で、みんなが二重三重スパイ、学級会前にトイレの密室政治で全ては決まっているんだよ、女の子は実は政治家より政治家ー」っというセリフも話題になっている。
「今度、単独ライブが数回あり、2か月後には武道館でライブがあるそうですね」
「ええ、関係者の情報では数回の公演とダンジョン配信が複数回あるそうです」
「今、ダンジョン配信って言いました?」
「ハイ、本日の夕方からダンジョン内で配信がされるそうです」
「っという事は、方向性としてはアイドル兼冒険者ということでしょうか?」
「これも、関係者からの情報でDアイドルという新しいアイドルの形態との事です」
これは元炎上系のレイの提案した内容だ。今の配信業界は、今は地上ではコンテンツが飽和し新鮮さが無い。
しかし、危険なダンジョンで配信する人はごく僅か。だからこそ、このタイミングでDアイドルを売り込めば競争相手が少ない。
レイの提案に上層部は「レイはダンジョンの事は全く知らないがダンジョン歴が長いルミと組んでダンジョン攻略をさせれば、劇的な化学反応が起きるのではないか?後、新規のスター芸能やダンジョンに興味を持つ人材が増えるのでは?」と思いGoサインを出したのだ。
だが、初回配信が世界を劇的に変革するとは誰も思わなかったのだ。