第18話 グッパイ・炎上系・ハローお嬢様
「ねぇねぇ、知ってる?」
「今日、転校生が来るらしいよ!」
「ちっこくて、可愛い女の子らしいよ!」
ここは、東京新宿にある白峰魔導女子中学高等学校。日本で三本の指に入る超お嬢様系の魔法学校。
新宿御苑全体が、このお嬢様学校となっている。
「本日は新しいお友達が増えます」
「本日から転校してきました、赤星レイです宜しくお願い致します。」
朱いショートヘア、エメラルドグリーンの瞳、白い制服を着た美少女が挨拶をする。
「レイさんは、家の都合で急遽こちらに入学することになりました」
「入学したばかりで、右も左も分かりませんがよろしくお願いいたします」
「レイさんは小さいので前の方に座って貰おうと思います、皆さん一列づつ移動してくださいね!」
生徒たちは一人づつ後ろに下がっていく。レイが座るとワッと生徒たちが集まっていく。
「赤星って珍しい苗字、ひょとして熊本生まれ!?」
「綺麗な朱い髪ってことは、炎の魔法を使える?」
ワチャワチャと触りながら生徒たちが質問をしてくる。それをレイは笑顔で、答えようとする。
「皆さん、淑女らしくしなさい!レイさんも今は授業です!」
「先生のケチー」
「ちょっと位、よいじゃないですか!」
文句を言いながら自分の席に座る。
(ああ、どうして、炎上メスガキ系の私がこんなお嬢様学校に!)
思わず両手で頭を押さえる。
そう、時は前後する。
火事の現場から炎上円禍を回収し、ルミは自分の家に帰った。
帰宅後、ルミは円禍の為に、火事現場で回収した貴重品を並べていた。
その中で、円禍の本名とレイの今までの人生の中での思いを書いたポエム集と大切そうに仕舞われたギターを見てしまった。
ポエム集に書かれた中身は、レイ自身の心の内。中身は、レイが再度見れば身悶えするような事が赤裸裸に書かれていた。
だが、ルミからしてみれば、レイがギターの為に書いた新鮮な歌詞に見えた。
ルミはオンライン会議中に知り合いの作曲家にこれらの内容を歌詞として見せ、作曲家がノリノリで曲を書き、ルミが子役時代に勉強したギターで弾いたら良い感じの内容になったのだ!
レイが目を覚ますと、自分のポエム集をノリノリで歌うルミと「これは行けるぞ!」と画面内で言っている偉そうな人達。
目を覚ましたレイに気が付き、ルミが言った一言。
『レイさん私と歌いませんか?』
「ええ、ええええっ!?」
歴戦のスタープロの偉い人達の前では、炎上系も借りて来た猫。最初は断っていたが、好条件を色々付けられ、首を縦に振ることになる。
で、なんでお嬢様学校に居るかというと……。ルミパパのせいで、炎上円禍は全国のルミパパファンに狙われている。
今まで通っている学校も全て特定され、ルミパパファンや野次馬が連日押し掛け、学校から放校処分となったのだ。
流石に同じ事務所のルミパパのせいで同じ事務所の子が中学中退というのは、世間体があるということで、芸能活動に理解があるルミと同じ中学校に編入することになった。
(だからと言って金に物言わせて、超お嬢様学校かよ……入学金だけで5億、授業料が年間10億で65億を全額前払いとかぶっ飛んでやがる。これが上級国民……)
普通は、此処までスタープロではやらない……ここでは紹介しないがレイの出生には秘密がある……。
長いツインテールを肩までに揃えて切り、化粧をバッチリキメ、白峰女子の制服を着た今のレイにメスガキ系の炎上円禍の面影は無く、深窓の令嬢に文字通り生まれ変わったのだ。
 




