第146話 3人目の大聖霊契約①
いつもは、予告なく配信を始めるソルシュガが配信の予告をしている。それだけで、配信界隈、テレビと様々な番組が特番を組んで予想をしていた。
予想の中には、「今後のライブの予定変更」、「ソルシュガが素顔を見せる」、「魔導システムを誰もが使えるように技術を公開する」っといった現実的な物から荒唐無稽や願望が入った物まで様々であった。
その予想は、どれもが外れた。
『はーい、今日は皆に新しいバンドメンバーを紹介するよ!』
「この子の名前はビネガーちゃんっていうの!」
「皆さんビネガーです、スーちゃんって呼んでね!宜しくね!」
『はーい、今日は、スーちゃんの大聖霊の契約を十四層の契約の神殿で行います』
〝はっ!?シレっとトンデモナイ事言っているだけど!〝
〝おい、どういうことだ!3人目の大聖霊契約って!〝
〝その前に、その鉄仮面w、どうみてもカ〇ッゾ・ロナやんけww〝
そう、ビネガーちゃんが被っているのは、認識阻害が付いた頭部を覆う仮面。
カロッゾ・〇ナの仮面に似ているが、キッチン公国出身の為、先端にはバタースプーンが着いている。この仮面もサトちゃんことルミちゃんが、ダンジョン内でドロップさせ回収したアイテム。
こんな物をドロップさせる、ダンジョンさんが何もかも悪い。
そして、ビネガーちゃんことスーちゃんが着ている服は紫色をベースにした軍服。
下はミニスカートで白い太腿と紫色のニーハイソックスの絶対領域と上は脇と腰が見えるエロい軍服になっている。
『それにしても、スーちゃんの戦闘服って可愛いね』
「ありがとう、サトちゃん、10層のスケート選手の人達と勝負した時に、ダンジョンさんがくれたの……それまでは、スポーツウェアだったから……」
「あー分かるわ、毎回服を洗うの面倒だもんね、でもダンジョンさんがくれた服は洗濯しなくても自動的に洗浄してくれる機能があるから好き」
〝こんな、エロいボスなら、地球政府打倒に参加しますわ……〝
〝エロいというよりは、エレガンス……ふぅ〝
〝ダンジョンさんの趣味よwww〝
「そういえば、皆さんに私の見せられるステータスをお見せしますね」
【スーちゃんのステータス】
固有スキルと称号:適合者:LV.45
精霊の愛し子(水):LV.20
弓使い:LV.50
業値:70万
スキル:【保管庫】【魔力圧縮】【衝撃破】【居合い】【ジャイアントキリング】【威圧】【流体操作】【アイスランス】、【アイスジャベリン】、【アイスボールレイン】【防壁】【足裏弱接着】【馬召喚】【裁縫】
主な所持品:八卦炉:首に掛けるペンダント型
「サトちゃん、適合者ってあるよ?これってなぁに?」
『ああ、これは、第四層でDキャットに首を切られ、死にかけてそれを超えた人間が新人類と同格の能力を持つ人間に覚醒したいう意味ですわ』
「そうなんだ、スーちゃん!私たち新人類と一緒だね」
紫マスク仮面のシオちゃんが、鉄仮面のスーちゃんに抱き着く。
スーちゃんの脳内には、シオちゃんの「友達が増えて嬉しい、嬉しい」という脳波が伝わりスーちゃんも脳内が幸せになる。
〝四層のDキャットに首を切られて死にかけるだと……〝
〝つまり、死に掛けると新人類と同じ適合者になれると……どうして、もっと早く教えてくれなかたったの?〝
〝サトちゃん、どうして?もっと早く教えてくれれば良かったの……〝
『だって、簡単に新人類と同格になれると知ったら、皆さんDキャットに殺されて、教えた私の責任にしますよね?だから、黙っていたんですわ!でも今は、Dキャットはアボガドとコンニャクと葛モチで攻略出来て、Dキャット戦で国内の死亡率が激減しました。そんな中で死ぬのは、よっぽどのアレと思われる風潮になりましたので、公開したのですわ』
そう、サトちゃんことルミちゃんは、第四層のDキャットに殺されかけ死を超えられれば、覚醒し新人類と同じ能力を持つ適合者になれることは知っていた。
同時に、この情報を流せば適合者になりたがる人間がDキャットに生身で挑み、死者が量産され、この方法を紹介したサトちゃんが非難され、配信活動に支障が出る事は分かり切っていた。
そのため、学友達にはこの方法を伝えるのみで、情報を封鎖していたのだ。
Dキャットの攻略情報を公開してからほぼ一カ月、日本ではDキャット戦で死ぬのはよっぽどの馬鹿という風潮が出来たために、本日をもって適合者になれる情報を公開したのだ。
「私の場合は、サトちゃんさんが三層まで情報を公開された後で、一足早めに四層を少し見てみようと思ったら、Dキャットさんに首を切られました。その時は、何とか私の固有スキルの【流体操作】で血の流れを止めて一命を取り留めました。皆さんもくれぐれも無理をしないでくださいね!」
無機質な鉄仮面の顔から出る少女の声と服のエロさが奇跡的なコンビを生み出し、多くの視聴者に冷静になる様に訴える。
〝たしかに、そうやね……〝
〝もう少し、自分の死を超える覚悟が必要やね〝
〝すぐ人死にが出ると、その人の責任でも他責にする今の日本の風潮よ……〝
コメントもどうやら、少しづつ冷静さを取り戻した様だ。
『さぁ、スーちゃん、契約に向かおうね』
「よろしくお願いしますわ!」
3人は、契約の神殿の扉を開ける。
次回 3人目の大聖霊契約②




