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第138話 武台少女、第二回公開オーディション⑤


 猫田こと、にゃむこのダンジョンでの配信者の人生は、暗黒卿の恰好をしていたルミちゃんを世間に公開した時に終わりを迎えた。


 日本のダンジョン配信者界隈は、複雑怪奇なルールがある。


 例えば、以下のような事例が挙げられる。


・冒険者同士で飲料を渡す時は「つまらないものですが」と言い渡す

・受け取る側は「いえ、結構です悪いデス」と言い返す

・渡す側はさらに「そうオッシャラらず」と再度推す

・一度断り奥ゆかしさをアピールし、手元で飲料を二回廻し食べ飲む。そして、全部を食べずに会話の最後まで少しを残しておく

・そして使った食器は、机から箸や串を使い三度傾けて置くのが美徳とされる


 さもなくば、配信者業界から追放ムラハチである。


 にゃむこは、配信者業界では、勝手に仮面に外すという禁忌を犯した。

 業界ルールでは、仮面の中がおっさんだったり、ブサイクの場合は外した者は許される。

 しかし、仮面の中が美少女だったり、イケメンの場合で有名人な場合は許されず追放ムラハチである。


 にゃむこは禁忌を犯したために、所属する動物配信組会(ビーストギルト)から追放(ムラハチ)にされ、色々とあり現在はお色気兼フィジカルエリート芸能人として活躍していた。


〝猫田wwおまえwwにゃむこだったのかww〝

〝髪色も髪型も変わって分からなかったww〝

〝にゃむこ自伝出せww例えば、【暗黒卿の仮面を外したら、追放(ムラハチ)されて芸能人になったら殺戮人形(マーダードール)に殺されかけ走馬灯が流れている件】〝

〝↑嫌なタイトルのノンフィクション小説で草ww〝


「にゃむこさん、ずいぶんあの子を気に行っているようですね」

「あの子は、グラナダプロの虎の子だから、アンタなんかに殺させないさ!」

「素晴らしい、他者への愛、感涙の涙を流しそうですわ」

「顔とセリフがあってないにゃ、ろくでもない事考えているにゃ」


 殺戮人形(マーダードール)のレイの顔は口角が吊り上がり、瞳がらんらんと輝きサイコパスの殺人者が悪意を持って何かを企んでいる様に見える。


〝レイちゃん、いやレイさん顔コヮ……〝

〝ヮァ、オジサン思わず、漏らしちゃたよ〝

〝ろくでもない事考えている顔だよこれww〝


「そういえば、一回やってみたい技があるんだよね! この間、とある漫画を見て思ったんだよ、冒険者なら頑丈だから大丈夫だよね?」

「どんな技なんにゃ……」


 レイは【保管庫】にレイピアと斧を戻し日本刀を出し構える。

 腰を深く落とし左手で日本刀を構え、右手を前に突き出し刀にやや重なるような位置に置く。

 放映当時は、小中学生が良く傘で技を真似てPTAが禁止措置を出した技。


「GA☆TO☆TSU」


 一瞬でにゃむこに迫り、腹に突き刺すと壁を突き破り階下に落ちていく。


 そのころ、にゃむこの分身に抱きかかえられ、雪子は20階から13階まで降りていた。


 が、突如として分身のにゃむこ達の動きが止まる。


「雪子ちゃん、ごめん、本体が……」


 ふっと、分身が姿を消し、雪子ちゃんが床に投げ出される。同時に天井が破壊され、周囲を煙が立ち込める。


 立ち込めた煙が晴れた先には、日本刀で腹を貫かれたにゃむこが床に刺さっている。


「みーつけた!きゃは!」

「雪子ちゃん、逃げて!こいつは貴女では勝てない」

「貴女はそこで大切な子が死ぬところを、この特別席で見せてあげる」


 にゃむこを日本刀で刺したまま、床から抜くとそのまま壁に突き刺す。

 壁に宙ぶらりんの状態で、刺されたにゃむこは自重による刃物が自分の躰を割く激痛に耐えながら雪子ちゃんを見る事になる。


 刀の替わりに、レイは【保管庫】から斧を取り出し、右手で構える。


殺戮人形(マーダードール)!!!」


 雪子は、激怒した。

 必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)殺戮人形(マーダードール)を除かなければならぬと決意した。

 雪子には、芸能界も冒険者の事も良くわからぬ。

 剣術指南役の家に生まれて、物心ついた時から木刀を持ち、門下生と剣を持ち武を嗜み高みを目指していた。


 それ故に、邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。姉のように慕っていた人を傷つけられ、肌で感じる邪悪性、もはやここでこの身に替えても排除しなくてはならないと雪子は決意した。


〝雪子ちゃんの怒った顔、最高にカワイイ〝

〝ウァ、レイさんの顔よwww〝

〝レイさんww計画通りみたいなwwアイドルがしちゃいけない顔しているww〝


 雪子が怒りのまま、刀を振り下ろすがレイは避け、雪子ちゃんの左腕を斧で切り落とす。

 雪子は最初は何が起きたが分らなかったが、腕を切られた事に気が付き絶叫を上げる。

 雪子は練習(あそび)の剣術はしていたが、実践(ダンジョン)剣術はしたことは無く、このような痛みは未だに経験をしたことがなかったのだ。


「そんなんで痛がっている様じゃだめだね、足元がお留守だよ」


 ついでとばかりに両脚を斧で切り落とす。先ほどまで、剣術により鍛えられた白くて筋肉質の美しい脚が宙を舞う。

 バランスを崩した雪子は地面に仰向けに投げ出され、右手に持っていた日本刀はレイによって蹴り飛ばされる。


「さて、素晴らしき友情に敬意を表し最後ぐらいは仲良死にさせてあげる!!」


 壁に刺さったにゃむこを日本刀ごと引き抜き、そのまま雪子ちゃんに刺す。


「ぎゃあああああぁああ!!!」

「うんうん、良い悲鳴、最初で最後の悲鳴って感じで良いね!じゃあね!」


 雪子の悲鳴とにゃむこの呻き声をBGMに、日本刀をビルの吹き抜けに持っていき刀を抜く。

 2人の少女達は、1階に落ちていく。


「さて、残りは2人かぁ……頑張って狩ろう」


 日本刀を仕舞うとレイは、次の被害者(ターゲット)を探し始める。

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