第135話 武台少女、第二回公開オーディション②
1人目の少女が斧で頭をカチ割られ、そのまま華奢な躰も真っ二つになる。
「だめですね、ありきたりな死にかたすぎますね」
〝え……〝
〝先生何を言っているですか!人が死んでいるですよ!〝
〝これネットに無修正で流れるけど、ええんかい?〝
配信中のコメント欄は、阿鼻叫喚で大混乱。
「美しい少女達が儚く残酷に死んでいく、この死の舞台こそ武台少女に相応しいと思いませんかね?さぁ、残りの20人の子達よ、足掻いて足掻いて、素晴らしい死にざまを見せて!」
原作者の西宮が声を高らかに上げ宣言をする。残り20人の少女達は、蜘蛛の子を散らす様に、悲鳴を上げならあっという間にこの場から逃げていく。
「はぁ……中々、こういうのは人間にはやりたくないな」
レイが持っていた斧から魔力を抜くと、死体になっていた少女達が復活する。
〝は!?死んだ子達が復活した〝
〝意味が分からないwww〝
〝完成したのか?賢者の石……レイちゃん教えて!〝
「あーこれは、面白武器 で、ダンジョン産の武器で魔力を通していない時は攻撃力が無い武器です。魔力を通すと人や物を傷つける事が出来ますが、魔力を抜くと傷つけられた人や物は復活する仕様ですよね?西宮先生?」
面白武器 はダンジョンの低層でドロップする武器。
この武器は、普通の状態では豆腐すら切れない仕様だが、魔力を通すことで攻撃が出来る様になり、豆腐も切れる。
ただ、魔力を抜くと攻撃した事実は存在しなくなり、切られた豆腐は元に戻る。
この面白武器 は、躰に傷が付かない為、使いようによっては、拷問に使い悪用することが出来る。
その為、持ち主は国家より年一回の精神調査試験が行われ、所持の許可が厳しく制限されている。
「ええ、その通りです。面白武器 は魔力が使われ始めて人を傷つける事が出来て、魔力を抜くと傷つけられた前の姿に戻ります」
「なんでよ、なんで、私が選ばれたのよ!?確か、前に元カレから聞いたけどこういう武器って所持が厳しくされているでしょ!犯罪よ!犯罪!」
「こーれなーんだ?」
わめく元人気アイドルのXXの前に、ペラっと西宮先生が紙を見せ、書いている所がアップされる。
【面白武器 使用許可】
・今回、特例的に面白武器 の使用をオーディションにて使用を許可する
・特例というのは、元人気アイドルのXXが与えた社会的影響を鑑み、尚且つ次世代のアイドル達が同じような事を起こさない為に、該当件を社会的一罰百戒とする事を特例的に認める
2025/4/20 ダンジョン庁大臣
厚生労働大臣
警視庁国家公安委員会
【連盟捺印日 吉日】
「なんでよ、なんで私ばかり!?」
「え、君の不倫相手って誰だっけ?」
「たしか政府のお偉いさんで、婿入りで退屈していたボンボン達だったわ」
「その1人に、西宮幸一って人居なかったかな?」
「確か、居たわよ!確かダンジョン庁勤務って言ってたわ、それがどうしたのよ!」
「私の妹の旦那なんだよね……そして、私の祖父はダンジョン庁大臣の西宮堅持」
これは、全て復讐の為に練られた舞台。
ダンジョン庁大臣の西宮堅持には2人の孫娘がおり、溺愛していた。
姉は、小説家になり、妹は優秀な官僚としてダンジョン庁に入庁した。孫娘のダンジョン庁に入庁を喜んだ彼は庁内で妹の結婚相手を見繕い、結婚まで誘導し曾孫も得て、幸せの絶頂を掴んでいた。
もう、それは過去の話……。
妹は信頼していた夫の裏切りに合い、風呂場でリストカットし死にかけた。
現在、妹は、何とか復帰している。
そして、自ら次世代の星と期待していた、男に裏切られたダンジョン庁大臣の西宮堅持は堅物で知られており、この騒動で辞任をしようと考えていた。
しかし、与野党から留意されてダンジョン庁大臣を続投している。続投にあたり、条件が一つあり、妹の不倫相手の女に復讐することだった。
「なんだよ!お偉いさんの復讐かよ!そんな事が許さるのかよ!」
「君は合計で50人以上の政治家の子弟と交わり、ある人は性病まで移されていた」
「だから、どうしたんだよ、キャッ」
元人気アイドルのXXの膝に、今度は矢が刺さる。膝を抑え仰向けに倒れたXXの股間をシオちゃんが槍で穿つ。
「ぎぇえええああああ、ぎえええ」
絶叫が響き渡る。
槍はその場に立てられ、串刺し状態のXXが配信に映る。
「ご協力いただいた、各関係者の皆さんにおかれましては、別チャンネルでXXの串刺し配信を見る事ができるようになります。これにて、溜飲を下げて下さいません」
頭を下げながら告知するのは、西宮先生だ。今回のこのイベントは、面白武器 の提供を含め、各界隈の人間が多数協力している。
「たすけて、ごめんなさい、ゆりゅして……」
「うん、このオーディションが終わったら、許してあげる。後、5時間位そのままだけど頑張ってね」
ゴミを見る瞳で西宮先生は、元アイドルのXXへ残酷な宣告をする。
「じゃ、先生、狩って来るね!」
「いってらっしゃい、そしてありがとう……」
串刺し状態のXXから踵を返し、オーディションを進めるレイは、選抜を始める。
次回 武台少女、第二回公開オーディション③




