第124話 2ndライブ② (観客視点)
「絵里ちゃーん、当選おめー」
「理恵ちゃーん、当選おめー」
「恵美ちゃーん、当選おめー」
3人のギャルが、互いに手を取り合って喜んでいる。彼女達こそ、ギャル界の神こと渋谷ギャルズ。
1stライブに続き、幸運にも2ndライブにも当選した様だ。
3人のギャル達のダンジョン配信により、多くの女子達がダンジョンに挑む様になり業値は上昇。
ダンジョンさんは、若い女の子が自宅に攻め込むに大歓迎なのだ。
更に貧しい子達への支援を行うことで、ギャル達の業値は爆上がりしている為、当選は当然の結果である。
「それにしても、皆、知っている人たちが多いね」
「ダンジョンの中でも、結構あっている子が多いもんね」
「ライブでは初めて出会っても、ダンジョンの中ではよく会うもんね」
今日の2ndライブに来ている少年少女達は、ほぼダンジョンで出会っている。
現在の日本では、ソルシュガの配信により10代のダンジョンでの活動率が高い。
活動時間は、ダンジョン攻略専門の自衛官やギルドよりも多いかもしれない。
今までは、攻略方法が分からず二の足を踏んでいたり、時間が無かったりしていた10代が続々と参戦をしている。
彼らの多くはダンジョンに潜って先ずは学校の宿題や勉強を行い、その足でダンジョン攻略する事が、日常になっている。
これは、ダンジョンの中で24時間過ごしても外の時間では1時間しか経って居ないという世界のアップデートによる事がかなり影響している。
10代の疲れを知らない躰と常に新しい刺激を求める感性が、多くの10代をダンジョンに誘っている。
そして、今の所は10代の冒険者の死亡者数はゼロである。
決して、隠蔽している訳ではない。
10代のダンジョン攻略のネットワークにより効率よりダンジョンを攻略する方法がネットの集合知により纏められ、無料で公開され、死ににくい状態になっている。
「今日のソルシュガの曲は全部で16曲、メチャクチャ多くね」
「でも、1時間30分の講演ならちょうどの時間やね」
「よく、これだけの曲を作れるね、スゲーよ」
普通の音楽バンドの場合はMCとか歌い手の休憩時間を挟んで、多くても8曲位が妥当な所。だが、ソルシュガのライブは歌い手の休憩時間を挟まずにぶっ通しで歌うために曲数も多い。
シオちゃんことレイとサトちゃんことルミちゃんが、ダンジョンの各層を攻略するたびに得たインスピレーションから新しい曲を泊っている宿で作るため、作った曲も多い。
「今回の曲は大体こんな感じなんだね」
6層から14層の詳細が書かれた入場者特典には、今日のタイトルが書かれている。
1.ダンジョンGo ver???
2.Slay or Slip(斬るか滑るか)
3.Cold Blooded, Hot Headed
(冷血、でも頭は熱いぜ)
4.Sub-Zero Showdown(氷点下の決闘)
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13.Chandelier Guillotine
– 炎に揺れる処刑灯 –
(燃えるシャンデリアが裁きを下す)
14.Infernal Peacock Parade
(地獄のヒクイドリ行進曲)
15.NAPALM SERENADE
(ナパームの子守唄)
16.栄光の灯 (Glory Light) ver???
いずれも、厨二病全開のボス戦とか温泉回とかソルシュガの2人に、記憶に残っている時の事を歌にした内容になっている。
今は良いけれど、間違えなく大人になった時に悶絶する位に痛いパンクロックの歌詞になっている。
「歌いたいけど、歌痛い!」
「一人だと、歌うの恥ずかしいけれど、仲間が居れば恥ずかしくないね!」
「みんなと、ソルシュガの歌を歌うと皆と仲良くなれるよね」
ソルシュガの歌は女子や男子中学・高校生の間では友情を育むツールになっている。
互いに歌い、互いに羞恥心を曝け出すことで、人間関係をより深くしているのだ。
「大変、お待たせいたしました!ただいまより、ソルシュガのライブを始めます」
アナウンスと同時に、舞台のライトが1か所に集まり始め幕が上がる。
次回 2nd ライブ③-舞台は上がる(表)




