第111話 十三層攻略③
ギョエエエっと断末魔とともに、炎上変色龍が塵になり、魔石とDコインがドロップする。
ミニスカートに鎧、兜を着て、妖刀の血塗れ伯爵夫人を持つのはシオちゃんだ。
〝妖刀、血塗れ伯爵夫人が奇麗に輝いている〝
〝美人の年頃の娘でなく、カメレオンを血の浴びる夫人に見えて来た〝
〝いつの間にか「カメレオンの血を浴びる夫人」に歴史修正されてそうww〝
「これで、全部だね」
『そうですわね、全部で30匹位いましたね』
「でも、殴るの気持ちよかった!良いストレス発散になりそう」
『シオちゃんも日々、お仕事頑張ってますもんね!』
〝ワイもシオちゃんに殴られて気持ち良くなりたい……〝
〝↑おは、カメレオン〝
〝こう何というか、舌で腕に絡みついて殴って貰いたんだよね〝
何故、視聴者はこんな事を思ってしまったか?ダンジョンさんが繰り返し、30匹分の炎上変色龍が殴られるシーンを映していたからであろうか?
答えは否。
実はダンジョンさんは、所々に1フレームだけ殴られてバカ顔を晒す炎上変色龍と嬉しそうな顔しながら殴るシオちゃんの顔をサブリミナル効果で差し込んでいるのだ。
それを見た、視聴者は炎上変色龍みたいにバカ顔を晒してシオちゃんに殴られたいという風に思ってしまったのだ。
また同時に、炎上変色龍を殴ってバカ顔を晒させたいという強い思いの人間も生み出した。
現在、視聴者数、3億人。
ダンジョンさんの狙い通りに、人類はドンドンとダンジョンに引き寄せられる。
「カメレオンの次は何だろうね?」
呟きながら、周りを見渡すが何も出てこない。見渡していると、また変なものを見つけた。
朱くて細い葉っぱと先端に白い花が密集している植物が生えている場所があった。
「サトちゃん、変な植物を見つけたよ!」
『あ、これは松永玉葱ですわ』
「爆発するの?」
近寄りかけたシオちゃんが、思わず後ずさる。
『ちゃんと解除すれば、大丈夫ですわ』
サトちゃんは、松永玉葱を引っこ抜く。
引っこ抜かれた玉葱からは、ピッピッっと電子音が鳴り始める。
『この青い根っこを引けば、カウントは止まりますわ』
玉葱からは赤と青の二本の根っこが出ており、青を引くと電子音が止まる。よく爆発物系映画の最後に赤と青、どちらを切るというのと同じである。
『ただ、これを解除するとアレが来ます』
ギィー・ギィーっと声がし、何処からともなく虫が飛んでくる。
サトちゃんが、玉葱を投げるとそれは玉葱に飛び掛かる。それの大きさは、2m位で、バッタみたいな姿をしていた。
『これはその火暮らし虫です。自分では何もしない虫で玉葱を掘り返すと襲ってきて、玉葱を奪おうとします』
〝その火暮らし虫で、ファイアキリギリスwww〝
〝松永玉葱が文字通り爆弾で草ww〝
〝ダンジョンさん日本文化に馴染みすぎでしょww〝
『で、その火暮らし虫の倒し方だけど、シオちゃん松永玉葱を引っこ抜いて、解除しないでその火暮らし虫に投げてね!そしたら、ダッシュで岩場に逃げるよ』
「わ、わかった」
恐る恐る、松永玉葱に近づき引っこ抜くと電子音が鳴り始めカウントが始まる。
それをシオちゃんは、玉葱をその火暮らし虫に投げると二人は岩場に退避する。
ちょうど、最初の玉葱を食べ終えたその火暮らし虫は飛んできた玉葱を器用に口に咥えた瞬間、ピッピピピピピっと音が鳴り終わった。
チュードドドンっと音がし、爆風が辺り一帯を襲う。
その火暮らし虫が居た所には、Dコインと靴がドロップする。
『あら、今回は靴がレアドロップしましたね』
「何時もは、違うの?」
『いつもは、ヴァイオリンがドロップします、折角なので靴を履いてみて』
〝寓話の通り、ヴァイオリンドロップなのか〝
〝与えられた爆弾すら食べる辺りが、救いようのない愚かさを感じる〝
〝貧すれば鈍するの極み感あるね〝
ステータスの【装備欄】から【着替え項目】に【風来坊】という靴を入れる。靴を履いてみてジャンプをすると2-3m飛び、移動すると速度が3倍位になる。
「靴の名前は【風来坊】で特性はジャンプが2倍、移動速度が3倍になるみたい」
『良い靴ですね、当分の間はそれを使うと良いですわ』
〝文字通り、一点に定まれない高速移動仕様ww〝
〝でも、シオちゃんの武器とかを見ると良い組み合わせかも?〝
〝ミニスカート、鎧、兜、妖刀の血塗れ伯爵夫人、靴が【風来坊】〝
〝もはや意味が分からない組み合わせで草ww〝
『さて、次は十三層のボス戦です』
「頑張って倒そうね、その前に松永玉葱を回収しよう」
2人は、残りの松永玉葱を解除し回収する。そして、ボスモンスターが待っている方へ歩き始める。
次回 十三層ボス戦




