第110話 十三層攻略②
ミニスカートに鎧、兜、を着たシオちゃんと蒼いコートの新型の魔導服を着たサトちゃんが燃え楓の森を歩いている。
ヒュッっと音がし、石が飛んでくる。
飛んできた方向を見るが、何にも居ない。これが、ずっと先ほどから繰り返される。
「サトちゃん、何か変なのが居るね」
『恐らく、炎上変色龍が居ますね』
「どんな、生き物なの」
『それは……』
言いかけた所でヒュッと石が飛んでくる音に、シオちゃんが振り返ると左手に何かが巻き付き、シオちゃんを強制的に引っ張る。
「なんだこれ?」
『炎上変色龍の舌ですね』
現れたのは、朱く燃える紐の様な物。
それが、シオちゃんの腕に巻き付いている。
『鎧の籠手が有って助かりましたね、無いと焼けてましたね。炎上変色龍は、石を何回も投げて相手を注意散漫にさせ、舌を巻きつけて焼いて千切ってそのまま食べます』
「乙女の柔肌を焼いて食べようとするなんて!この、変態!」
〝はぁ、はぁ、(*´Д`)、罵倒ASMR助かる〝
〝60分耐久罵倒ASMR作らないと(使命感)〝
〝↑ヤベー奴らが湧いてて草ww〝
「よく、漫画だとこんな感じの事してたな……」
シオちゃんは、舌が巻き付いた左腕を強く引っ張るとグェ―っと変な声がし、3mほどの赤いカメレオンが引っ張られ宙を舞う。
どうやら、引っ張られる事は考えていなかった様だ。
「漫画の主人公は、こんな感じで、飛んできた相手を殴ってたっけ?」
宙を舞い、シオちゃんの方へ飛んできた炎上変色龍の顔を右手の手甲でぶん殴る。
殴られた炎上変色龍は、クロスカウンターを受け燃え楓に激突する。
激突はしたが、まだ生きているようだ。
プギ、グェっと瀕死の声を出しながら、身体中から紫色の体液を流しながら逃げる。
「まったく、往生際が悪いですね」
〝これも良いASMR、追い詰められた時に無限リピーター出来そうw〝
〝↑どういう状況だよwww〝
〝↑同人誌の脱稿ギリギリの時とか?〝
〝↑落したら、鎧着て同人待っている人たちにグーパンされてどうぞ〝
〝コミケに微妙に居そうな感じのコスプレ集団で草ww〝
保管庫から、妖刀の血塗れ伯爵夫人を取り出し炎上変色龍の背中に突き刺す。
炎上変色龍はビクンっとのけ反り、あっという間に干からびる。
干からびた炎上変色龍は塵になって消え、Dコインとスキル石がドロップする。
「スキルは、足裏弱接着?足裏が弱く接着出来るスキル」
〝どういうスキルなんだろう?〝
〝微妙なスキルで草ww〝
「ちょっとやってみよう!」
燃え楓の方へ歩いて行き、太い樹に足を乗せると歩けたのだ。
そのまま、樹の上を歩いて行き、燃え楓の頂上に辿り着いた。
帰りは樹の上を歩きながら、横の燃え楓にジャンプすると立体的に移動できるようになった。
「凄い便利だね、漫画みたいに逆さまに幹に止まれるようになったけど、幹に逆さ様に止まる意味ってあるのかな?世界が逆さまに見えちゃうけど……」
良く漫画で強いキャラが、主人公を逆さまに見つめるシーンがあったりするがそれをシオちゃんは再現してみたのだ。
〝「逆さまに幹に止まる意味ある?」の言葉と映像との破壊力〝
〝全漫画家さんは、シオちゃんに意味を説明してどうぞ〝
〝それにしても。スカートが逆さまでもパンツが見えないけどどうして?〝
〝↑お前、また病院から抜け出したのか!早く戻るんだ!〝
「あ、スカートが捲れない理由を知りたい?このスカートは魔鉱石で作った魔導スカートで形状記憶仕様なんだよ!トヨハラグループさんとUNIQL〇さんとTOYOHARA-☆-USAが全国のダンジョン攻略する女の子向けに共同で作ってくれたんだよ!」
そう、このスカートは魔鉱石を練り込んだ特殊な布で出来ている。
魔力が流れ続ける限り、最初に記憶された形以外に変化をしない。スカートは履きたいたけど、捲れるのは嫌というダンジョンを攻略する女の子達向けに作られたのだ。
ちなみに、お値段、一着1万円で洗濯可能である。
〝日米の超巨大企業による、鉄のカーテンが生まれて草ww〝
〝↑絶対に捲れたスカートの中を見たい男と捲れるのが嫌な女の子の戦い〝
〝↑これが新時代の冷戦ちゃんですか?イヤ性戦やろww〝
「発売は、明日から全国のUNIQL〇さんで一着1万円なので買いに行こうね!」
言いながら、シオちゃんは幹から飛び降り、樹と樹の間を飛び激しく動く。
普通ならこれほど激しく動いたら、見えそうなミニスカートであるが見えない。
常に、スカートが形状を記憶した通りに仕事をしているためである。
そして、地面に降り立つ。
『シオちゃん、炎上変色龍が集まって来たみたいですね』
「そうだね!ここは同じモンスターだけみたいだね」
ヒュっと音がし、少女達に石が降りそそぐ。その石を縫う様に避けながら、少女達は迎え撃つ。
次回 十三層攻略③




