第11話 炎上ガール・ミーツ・ガール②
円禍がルミと背の高い女性を追いかけていくと、二人は高級そうな料理店に入りテラス席に座った。
その高級料理店のテラス席は、お台場が一望できる素晴らしい空間である。
「これは、女性とのデートなのか?これは美味しい展開!」
〝SNSで拡散しておいた〝
〝一気に視聴者増えていて草ww〝
〝暇人しか居ないのか?〝
ルミは各界隈で話題沸騰中の人物。
その人物が、謎の女性とお忍びでデートか!?とSNSで流れればあっという間に円禍の視聴者は増えていく。
「どこから入ろうか?旨そうな食事してていいな、私なんてずっと安いスーパーのパンとオニギリと唐揚げしか食べていないぞ」
高級料理店だけあって客のプライバシーに配慮し外部から見えない様になっている。
そのまま店に入っても、このメスガキ姿の為、客扱いをされず追い出される可能性もある。
周りを観察すると円禍は柵の一部に、小学生位なら入れそうな穴が開いているのを見つけ、配信用ドローンを抱えながら柵を超えるとルミの方へ向かう。
「お久しぶり、ルミさん」
『あ、貴女は?えと、炎上円禍さんですねお久しぶりですね』
「ルミの知り合いの子!?」
『ウン、この間の番組で知り合った子だよ!』
「うぁ、小さくて可愛いな!!」
サングラスを掛けた長い髪の女性は椅子から立ち上がり、円禍をナデナデして持ち上げる。まるで、小学生を扱っているような感じである。
ナデナデされている円禍も何か気持ちが良くなっている。
〝円禍の顔、実家でナデナデされて、あへっている猫みたいやんけ〝
〝たかーい、たかーいで喜ぶ小学生かな?〝
〝スクショ取って拡散しました、炎上するのか?これ?〝
「ルミさん、ところでこの方は?」
『パパだよ!今日はお仕事前に一緒に遊べたの!』
「どうも、女形芸人の十三です」
「噓でしょ、どうみても高校生の女の子じゃないですか!」
〝噓でしょ、JKよりJKレベルが高いルミパパ〝
〝ルミパパはちなみにアラフォー〝
〝関西だと歩いているだけで歌劇団にスカウトされるらしい〝
サングラスを外すとルミと同じ琥珀色の宝石の様な瞳が現れる。
ルミのパパは十三という渋い名前であるが、身長170cmの女性みたいな姿と声でメチャクチャ女性陣にモテる。何なら、最新の流行の機敏は新宿・渋谷のJKよりも早く、JK向けの流行発信番組をレギュラーで持っている。
「JKの恰好って一番、都会に溶け込めて良いですね!後、今日はパパがルミの為に活動する日で、略して【パパ活日】ってスケジュールに略して書いてたらマネージャーに怒られましたね。ちゃんと、一般的なパパ活と家庭的なパパ活は分かって居るのに酷くないですか?」
『パパ、前はルミや皆とティーを飲む日で【イルミナティの日】って書いてマネージャーさんに怒られていたよね?』
「そうなんだ、面白いお父さまですね」
〝JKよりJKのパパの中学生の娘の為のパパ活というパワーワード〝
〝イルミナティは【ルミちゃんと皆でティーを飲む組織だったのか?】入団します〝
〝円禍がもうお前、炎上から降りろ、こっちの方が面白い!〝
「おっと次の番組の収録に行かないと!ちょうど迎えが来たようだ」
「へっつ!?えええっつ」
パラパラとヘリの音がして、上空でホバリングし梯子を下ろす。
ルミパパはルミの頬にキスをして、円禍の顎をクィっとし、頬にキスをし何かを呟く。
「子ネコちゃんたち、また会おう」
『パパまたねー!』
「……(頬を紅潮させ上の空)」
梯子に脚を掛けて合図をするとヘリは上空に上がっていく。富裕層向けのお店なのでよくある事なので、誰も気にしていない。
〝円禍!!お前自身が炎上してるぞ〝
〝全国の十三追いかけ女子の嫉妬の炎がやべぇ〝
〝顎クィ、頬にキス、謎の呟き、手慣れた無駄のない動きに惚れる〝
〝子ネコちゃん達、また会おうでヘリで去ってく、カッコよすぎ〝
炎上系配信者の炎上円禍はコメントを見ても上の空で瞳をトロンとさせ、別の世界に飛び立っている。
彼女が現実の戻ってくるのは時間が掛かりそうである。
ただ、戻ってきたら、地獄を経験することになる……。