第109話 十三層攻略①
『「ソルシュガだよ!配信始めるよ!」』
〝2人が寝ている間に世界が激変してて草〝
〝米国でね、市民戦争が起きちゃった〝
〝ダンジョンの24時間はこっちの1時間が逆に悪い方に働いちゃった〝
「そんな事より、ダンジョン攻略するぜ!」
『他所は他所、私たちはダンジョンを攻略しますわ』
〝強い(確信)……〝
〝日経平均の先物と米国株価が瞬時に下落から上昇に転じて草ww〝
〝「そんな事」で世界同時株安を止めるJCww〝
「サトちゃん、また入り口にへんな物があるよ」
シオちゃんが指を指す先には木が生えている。ただし、木の部分は朱く、葉の部分が燃えてている。
『これは、燃え楓です。シオちゃん、この金属棒を樹に刺して瓶に樹液を入れて下さい』
「やってみるね!」
金属棒を受け取り、樹に刺し、金属棒の先端を瓶に差し込む。出て来たのは、甘い匂いがする黒色の液体。
「あれ?この甘い匂いって何だろう?ガソリンみたいな匂いする」
『その通りですわ、燃え楓は原油が取れます』
燃え楓はダンジョンの十三層に生えている木。
攻撃もせず、ただ生えて燃えている木でありモンスターでない。そのため、誰も攻撃せず鑑賞するだけの存在。
〝ふぁ!木から原油が取れるって……ヤバない?〝
〝ヤバですわ、しかも甘くて匂いがするって、スイート原油やんけ〝
〝先進国でガソリン用に使われる、重要資源やんけ!〝
日本や各国で購入している原油の全ては、中東に依存している。
その中で、少量の硫化水素と二酸化炭素しか含まない原油はスイート原油と呼ばれ、日本や先進国では重宝されている。
特に、日本が購入時する時は足元を見られているため、日本限定価格と呼ばれる高額で購入させられている。
もし、それがダンジョン内で確保できるようになればどうなるか?世界中の産油国が大ダメージを受けることになる。
〝原油先物が暴落ww〝
〝同時に産油国の株価も暴落してて草ww〝
〝中東はもうオシマイ……〝
『シオちゃん、瓶に満杯にしたら少しは離れましょう、モンスターが来ます』
「お、あっという間に貯まった。あ、何か来た!」
ブーンっという音と共に、1m位の巨大な虫が飛んできた。シオちゃんが避けると同時に、その虫は燃え楓に取り付く。
そして、ガムシャラに樹液を吸い始める。
『これは、十三層の火兜虫、メチャクチャ硬いデス』
「どの位硬いの?」
『取り合えず、クリスタルの灰皿で殴って見てください』
保管庫からクリスタルの灰皿を取り出し、シオちゃんは火兜虫の頭の部分を殴る。
カーンと良い音がし、クリスタルの灰皿が砕け散りクリスタルが美しく舞う。
火兜虫は何も感じ無かったのか、樹液を吸い続けている。
「クリスタルの灰皿が効かない……どうすれば」
『先ほど、回収した樹液を火兜虫の頭にかけて、マグマから火を取るように導線を引いてください』
まずは、火兜虫の頭に樹液をかける、火兜虫は樹液に反応したのか手前の足で頭を撫で、樹液を口に入れ始める。
そして、シオちゃんは残った樹液をマグマまで持っていき入れる。垂らした樹液が一瞬にして、導火線となり、その先端の火兜虫を燃やす。
ボンっと火兜虫から音がしたかと思いきや、火兜虫の腹の部分が爆散する。
『火兜虫は樹液をかけられ、舐めている時にマグマからの火が入ると体内に貯めていた樹液が反応して、爆発します』
「うぁ、エグイ」
頭の所だけ残った火兜虫は塵となって消え、Dコインと兜着きの鎧が一式ドロップする。
『せっかくなので、シオちゃん、魔導服を脱いで鎧を着て見ましょう。【装備欄】から【着替え項目】にこのアイテムを入れましょう!』
「魔導服を脱いだら熱くない?」
『この甲冑は魔導服と同じ耐熱仕様なので大丈夫です』
パッと光り魔導服から、ミニスカートと朱と緑を基調とした鎧着て兜を被っているシオちゃんが姿を見せる。
〝これは、性癖に刺さる〝
〝ミニスカートに鎧、兜、パーフェクトだダンジョン〝
〝↑どこぞの吸血漫画のアー〇ード先輩いて草ww〝
『カワイイですね、そのまま攻略していきましょう!』
「魔導服より着心地が良くて、戦い易いし此れで行こう」
少女達の13層攻略は始まった。




