第103話 第十二層攻略②
ノコギリで木を切る様な、低く不気味な鳴き声が響く。声の元には、先ほど倒したDヒクイドリと同じような個体が闊歩している。
今、ソルシュガの2人は岩場に隠れている。
「サトちゃん、火の鳥が来ないね?」
『そうですね、はぐれの可能性がありますね』
通常、Dヒクイドリと火の鳥は支配領域が一緒。だからこそ、常に喧嘩している二羽から漁夫の利を得る事ができる。
どうやら、今回のDヒクイドリは、はぐれの様だ。人間でいうと俺一人カッケー系または一匹狼ともいう。
『そういう時は、火焔茸からドロップした朱い玉を使います』
「これ?」
保管庫からガラス瓶を出し、詰まった朱い玉を揺らす。
『まず、朱い玉を2,3個、Dヒクイドリに投げてください』
「わかった、やるね」
割り箸で朱い玉を瓶から出し、背を向けているDヒクイドリに投げる。音にビックリし、顔を向け音の正体を探ろうと周りを見る。
何も無いのかと顔を戻そうとした瞬間、落ちていた物を二度見する。
それは、火焔茸からドロップした朱い玉。
Dヒクイドリは名前の通り、マグマを食べている。でも、この朱い玉はもっと大好き。実は朱い玉の正体は、マグマを凝縮し封じ込めた物。
迷わず、落ちている朱い玉を3個食べる。さらに周りを探すが、残念ながら見つからなかった様だ。
暫くして、Dヒクイドリはフラフラと躰を動かし眠そうにする。まるで、熟しすぎた果実を食べてワルシャワの路上で酔い潰れてる鳥達。
躰を引きづながら、自分の寝床に戻ろうとするが途中で眠ってしまう。
『これが、急激な魔力による魔力酔いです』
「まるで、酔いつぶれたオッサンやね」
『では、朱いナイフでヤッチャッテネ』
両手で朱いナイフを構え、Dヒクイドリの頭に刺す。ビクッと躰を震わせ目をカッと開くがもう遅い。
命の火が消え、朱い魔石、Dコインがドロップする。
〝ワイ、深酔いの危険性を感じる〝
〝酔いつぶれても刺されない日本社会に感謝やな〝
〝↑全国の吞兵衛が同じこと思ってそうww〝
『朱いナイフは炎系統のモンスターを殺す程、切れ味が良くなります』
「なんだっけ、そういう刀があったような……」
『妖刀村正みたいな感じですね』
「温泉のコメントから妖刀、血塗れ伯爵夫人でどうかな?」
〝確かに、温泉で血の伯爵夫人言ったけど……〝
〝↑確かにログ見たらこいつが言ってた!〝
〝↑もう、こいつを血祭にするしかないな!〝
そんなコメントで流れているが、シオちゃんは次のモンスターを見つけ狩る。Dヒクイドリに火の鳥を血祭にあげる。
倒せば、倒すほど、妖刀、血塗れ伯爵夫人は怪しく朱く輝く。
暫く歩いていると、「ピチィッ,ピチィッ」と鳴き声が響く。よく見ると、岩場に巣を作っている燕の様な生き物が鳴いている。
燕は巣からつぶらな瞳を覗かせ、侵入者を監視している。道順で行くとこの岩場を登った所にどうやらボスの層がある様だ。
『これは、炎燕です』
「倒さないと、進めないよね?どうするの?」
『うーん朱い玉を使って酔わして倒しても良いです。でもシオちゃんは妖刀、血塗れ伯爵夫人で戦いたいでしょ?』
「ウン……何か刀が使えと言ってる……」
何かに憑かれた様にフラリと妖刀、血塗れ伯爵夫人を右手で構えながら進んでいく。
炎燕達は、侵入者へ33匹が4方向から迎撃してくる。
ん?33-4、なんでや!阪神もスワローズも関係ないやろって思った人は正しい。
関係ないやで!偶々、33匹が4方向から迎撃しただけや!
「ちょこまかと!」
炎燕たちは朱い刃物がついた翼でレイを切りつけるが、新人類であるレイは動体視力が良いため、全てを回避する。
「間合いが読まれている!どうしたら……」
持っている妖刀、血塗れ伯爵夫人が怪しく輝き1m30cm位まで伸びる。
そして、シオちゃんの瞳から輝きが消え、伸びた刀で踊るように振り回すと一瞬にて、炎燕は細切れになり塵となって消える。
「ふふ、この躰は素晴らしい……流石、今世の巫女……」
「ん、俺どうかした?アレ、炎燕が全滅している!?」
輝きが戻り、突然変わった状況にシオちゃんは慌てる。
『まぁ、シオちゃん魅入られた様ですね』
「どういうこと?」
『後でお話ししますわ、取り合えず、この岩場を登りましょう』
ドロップした燕の子安貝を拾い、少女達は岩場を登っていく。
次回 第十二層③




