第1話 ゴスロリ暗黒卿、少女と邂逅す
「助けてー誰かー」
ダンジョンの中を一人の少女が声を上げながら逃げている。
〝これはやべぇ……〝
〝にゃむこ逃げて!〝
〝これは、もう怪異やろ〝
少女は目撃してしまった。
いつもの様に、猫民に挨拶しDチューブを起動し、中継用のドローンで1層の草原に来た時だった。
本来なら、草木とスライムが生えているだけの空間で人々が血まみれで倒れていたのだ。その中には、国内最強と名高いホワイトナイツの団員も倒れていた。
屍累々の中で、ぽっつんと立っている人影がいたので、思わずにゃむこは「大丈夫ですか?こんにちにゃー」と挨拶をしてしまった。
その人影が振り返ると誰もが知る暗黒卿のヘルメットとゴスロリ服という異質な存在が姿を見せたのだ。もちろん、右手には、みんな大好き赤い棒を持っている。
にゃむこの脳内には、コーホっという音と暗黒卿のテーマソング曲が流れだす。
はい、にゃむこは、全力で回れ右をして逃走を始めました。
『違うこれは、ちょっとまって』と言われた気がするが、にゃむこは逃げる。
「猫民誰か?にゃむこを助ける王子様は居ないのにゃ?今は池袋ダンジョンにゃ」
〝くっ助けに行きたいが、服が無い〝
〝急に元気なカーちゃんが危篤になった〝
〝唐突なオフ会キャンセル民酷いww〝
「誰も助けに来てくれないにゃ、なら仕方が無い、必殺技を使うしかないにゃ」
〝最初からそれを使えよ〝
「必殺、猫の騙し」
何とにゃむこが分裂をした多数のにゃむこが姿を見せる。
「にゃむこ達よ、私がダンジョンの外に出る時間を稼ぐにゃ」
にゃむこの指示を受けたにゃむこ達は、暗黒卿(ゴスロリ服)に戦いを挑む。
だが、最初は多勢に無勢で何とかなるかと思いきやまた1人と殺られていく。
〝えっぐ、念能力みたいので上に上げて腹を切ったよ〝
〝こっちは、首を絞められて倒れている〝
〝もう、にゃむこは反乱軍やろww〝
あっという間に、分身のにゃむこは倒され、本体のにゃむこは1層の岩場のステージに隠れている。
歩く音がするとにゃむこは、急いで別な岩に隠れる。
〝ここで暗黒卿なら、お前には妹がいたなと言うんだよな〝
〝そこで、にゃむこが切れて、暗黒卿に攻撃を、はっ!?〝
視聴者が驚いたのも仕方が無い、にゃむこがまた逃げたかと思いきや、暗黒卿が突然にゃむこの前に現れたのだ。
「にゃ、にゃ、にゃーーー」
絶叫を上げへたり込むが、逞しく這いずりながら、逃げようとする、にゃむこ。
しかし、逃げようとすると躰が軽くなり宙に浮き始める。
「にゃ、にゃ、浮いている、ひぇ、ドアップ暗黒卿にゃ」
にゃむこの前には、暗黒卿。
暗黒卿は考える素振りをするとにゃむこを連れて行くのであった。