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第十話 魔王様!お姫様に魔の手が迫ります!

ー魔都 ルーデウスー


魔王ルーデルが週に一回休むことは、

魔王軍でも問題になってきていた。


戦線が膠着し、ヒューム絶滅まであと一歩だったアルデンヌ攻略戦などは、

もう遠い日のことの様であった。


いろいろな不穏な噂も流れる中、

「いっそのこと、アルフォルトを排除すべきでは?」

と、ついにアルフォルトの抹殺計画が実行に移されようとしていた──。


アルフォルト抹殺計画の首謀者は、表向きにはわからないようになっていたが、情報収集や暗殺者を招集できるということは、この計画に魔王軍の幹部クラスの関与があることを物語っていた。


凱旋パーリィの終了後である。

会場からの回廊(かいろう)で、アルフォルトの後ろから迫る影があった。

後ろからの奇襲攻撃に、アルフォルトは気が付かない。

陰からのびるその鎌がアルフォルトに降りかかる!


_____________


ガキィンッ!

金属がすり合う音がひびく!


アルフォルトが振り返ると、

そこには鎌を弾き飛ばした魔王ルーデルの姿があった。


魔王ルーデルはドラゴンナイトであり、タンク役のブラックナイトでもある。

アルフォルトへはガード魔法を常に展開していた。


アルフォルト以外に、スイーツの呪いを解除するものがいないため、

ルーデルにとっては、アルフォルトを守ることは、

至上命題なのである!


「アルフォルトを守ることが、我が軍の安定に繋がる……

それを理解できない者には容赦はせん。」

静かに、そう告げると、ルーデルは暗殺者たちに一瞥をくれ、

力強く剣を振りかざした。


アルフォルトは、予期せぬルーデルの行動に驚きながらも、

胸が少し温かくなるのを感じていた。


暗殺に失敗し、逃げ始める暗殺者たち。


ルーデルは、アルフォルトを守るためここを離れられない。

ここは逃亡を許すほかなかった。


________________


回廊に静寂が戻り、アルフォルトは安堵と驚きが入り混じった表情でルーデルを見つめた。

「ルーデル様……ありがとうございます。」


ルーデルは少し気まずそうに目をそらし、照れ隠しに咳払いをする。

「……気にするな。お前が倒れれば、私が困るだけだ。」


その言葉の裏に、ほんの僅かな優しさを感じ取ったアルフォルトは、

ふっと微笑んだ。


魔王ルーデルの「ガード魔法」がかかっている状態では、うかつにアルフォルトへの干渉は困難なことが判明した。


その後アルフォルトは警戒し、転移魔法を移動で使用するようになり、常にアルフォルトを視界におく魔王ルーデルの前には、暗殺はもはや不可能になっていた。


ただ、闇の中でこの計画をじっと見ていた2つの赤い目は、

(たぎ)る怒りに燃えていたのである。


________________


翌朝、アルフォルトはさっそく魔王様に「スイーツ」を届けるべく、

特製のチョコレートバタークッキーを手にして現れた。


ふわりとしたチョコレートに濃厚なバタークッキーを張り付け、チョコレートに優雅な「船など」の紋様を彫刻した異世界のお菓子を改変した「危険な」お菓子である!


「さぁ、魔王様、今日のスイーツタイムです♪」


差し出されたスイーツを一口頬張ったルーデルは、バタークッキーの甘さと、ビターなチョコレートのハーモニーに一瞬気を緩めるが、

次の瞬間、意識がふっと遠のき──


今週もまた、魔王ルーデルはこのスイーツにより、

見事に失神したのであった。


ルーデルも自信は意識はしていなかったが、

スイーツを堪能できるようにはなってきたようだった。


「ふふっ、魔王様、いつもお疲れ様です♪」


微笑むアルフォルトは、静かに彼の傍を見守った。

今日も丸一日は一緒にいられることに安心しながら。

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