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翼の救済、枢機卿の決断

 天幕の隙間から溢れ出した光は、煙と灰に覆われた昼の空を、一瞬にして、影のない、静謐な白昼へと変えた。


 その光は、砦の土を敷き詰める薄灰の上に降り積もり、触れた場所から、汚れだけをそっと消し去っていく。

 兵たちの瞳に、その現実離れした輝きが映り込む。彼らの心を縛り付けていた虚無への恐怖が、あまりにも清らかな美しさの前に、一度に洗い流されていく。

 刹那の神聖な静寂が、そっと、舞い降りた。


「なっ、これは……!」


 幕舎の兵たちが息を呑む。


 初めて見る白銀のルミナ・ペンナの圧倒的な光彩に、人々は声を失った。金銀の雪片が舞い降りるたび、重く淀んでいた砦の空気がわずかに膨らみ、胸郭の深いところに澄んだ鈴音が満ちていくようだ。


「……神の翼……?」


 若い槍兵が呟く。司祭見習いの従軍僧が十字を切ろうとして途中で手を止めた。

 あまりに真近に現れた“聖なるもの”に、定められた祈りの型さえ追いつかない。代わりに僧は兜を脱ぎ、震える声で聖句を唱える。――祈りは言語ではなく、たった一つの震源から広がる波紋だと初めて理解したかのように。


 さらに後方、崩れた胸壁のそばでは、幼い頃から枢機卿に従ってきた老従者が膝を折り、震える両手を胸に当てていた。

 彼は目を閉じ、白い眉の奥から静かに涙をこぼす。尊いものを目の当たりにした喜びと、長く背負ってきた罪科が一瞬で赦されたかのような解放感が交差し、嗚咽のような短い祈りとなって漏れた。


 誰もが立場も身分も忘れ、ただ息を合わせる。砦全体が一つの巨大な心臓となり、翼の脈動に同調して鼓動を打っている――そんな錯覚さえ生まれた。その共鳴は、荒んでいた兵士の眼差しを瞬時に澄ませ、震えを伴った希望という名の熱を胸へ送り込む。


 しかし――奇跡は永遠を約束しない。


 翼を包む光が、わたしの不安定な鼓動と呼応するように、不規則に揺らめいた。一番外側の羽根の先が、ぱきり、と微かな音を立てて砕け散る。

 その刹那、胸骨が「ギィ」と高く哭き、次いで腹の深層で「ゴン」と鈍い鎚音が鳴った。心臓を貫く激痛。そして、わたしだけのものではない聖域で、細い命の糸が悲鳴を上げてきつく張り詰める。


 視界が、ちか、と黒く明滅した。


《供給量 マイナス二一パーセント、臨界値まで残り九》


 脳裏に響くレシュトルの無機質な警告が、錐のように鼓膜を震わせる。肺が、誰かに強く締め上げられたように収縮し、呼吸の仕方を忘れてしまった。


「――っ!」


 声にならない喘ぎが漏れる。がくり、と膝がわたしを裏切るより早く、鋼の腕が強く腰を支えた。

 ヴォルフ。背中に当たる甲冑の冷たさに息を呑む。けれど、その硬質な感触の奥から、揺るぎない彼の強さが伝わり、わたしの震えは、まるで彼の覚悟という名の鎧へ、そっと吸い込まれていくようだった。


「無理はするな」


 耳元で響いた低い囁きは、凍える夜の焚き火の残り火のように、温かい。


「……大丈夫」


 か細い糸のような声で答え、わたしは彼の腕に一度だけ体重を預け、すぐに自らの足でしっかりと大地を踏みしめた。そして意志の力で、光の奔流を自身へと引き戻す。

 翼をひとひら、またひとひらと、心の中へ折り畳んでいく。まばゆい羽片は光量を失い、砦に落ちていた奇跡の白昼を、ゆっくりと元の色へと返していった。地面に落ちていた影が、再びその輪郭を取り戻していく。

 金と銀の雪片だけが、美しい記憶の名残のように舞い、崩れた石畳の上で淡い光を放ちながら溶けていく。


 薄闇が戻るや否や、灰に染まった兵士たちの唇から、堪えきれない、ひとつの大きな息が一斉に漏れた。

 神々しいものへの怯え。理解を超えた奇跡への畏れ。そして、胸の奥深くから、熱い塊となって湧き上がる、敬慕の念――それらの混じり合った感情が、この砦に満ちる絶望の冷気を、ほんの少しだけ、温めた気がした。


「わたくしは、この翼で山を飛び越えます。国も王冠も関係ありません」


 その声は、静かだったけれど、幕舎の空気を震わせるほどの、揺るぎない意志を宿していた。わたしは、一呼吸おいて、続ける。


「ただ――民を守りたい。それだけが、わたくしの願いなのです」


 宣言を終え、わたしは静かにアウレリオ枢機卿を見据えた。

 遠い空で紫電がかすめ、彼の外套の肩章に触れた羽片が、淡い光を残して溶けていく。

 その瞳が、問いかけていた。今、自分は、奇跡を目撃したのか、と。風雨と硝煙に鍛え上げられたはずのその眼差しに、今まで見たこともない、戸惑いの震えが灯っていた。


「……あなたは、そこまで……。一体、どうして……」


 彼の声は、乾いた砂が指の間からこぼれ落ちるように、ほとんど音にならなかった。

 その痛々しいほどの揺らぎを、壊さぬように。わたしは、そっと息を吸い込んだ。


「わたくしは女王である前に、精霊の巫女です。そして……」


 言葉を切り、震えそうになる指先で、そっと自身の腹部へ手を添える。冷たい外套の布地越しに、確かな、そして温かい命の重みを感じながら。

 ふわり、と最後の光の粒子が、わたしの手甲に触れて、淡く溶けた。


「ささやかな幸せと明日を願う、ただの一人の人間です」


「……なんという、方だ……」


 アウレリオの唇から、嘆息とも、祈りともつかぬ、乾いた息が漏れた。

 強張っていた彼の肩から、ふ、と力が抜ける。まるで、長年背負い続けてきた重い鎧を、一枚、また一枚と、静かに降ろしていくかのように。

 もう、その瞳に戸惑いの色はない。ただ、深い深い敬意と、そして、守るべきものを見出した男の、静かな光だけが宿っていた。


 ふと、何かに思い当たったように、彼はまるで何かに憑かれたように地図卓へ駆け寄ると、震える指で、首都の区画を必死になぞった。


 そして、ある一点を指し示し、かっ、と目を見開く。


「……そうか、坑道がある……! ハロエズには、古の民が遺した地下坑道が、縦横無尽に張り巡らされている……!」


 古の民。――すなわち、古代バルファ超文明の遺構ということなのだろうか。


「国はそこを非常時の退避場として使うことを想定し、市民の協力を得て整備を進めていた。ゆえに、誰もがその存在を知っている。もし、勧告が間に合っておれば……。ならば……!」


 それは、まさしく、絶望の淵に灯った、か細い一条の光だった。


 わたしは、その燃え尽きてしまいそうな灯火を、掌でそっと囲うように、言葉を紡いだ。声が大きすぎれば、きっとこの奇跡も、はかなく消えてしまうから。


「もし、そこに……住民の方々が避難なさっていれば……あなたのご家族も、きっと……」


 その、ほとんど吐息のような声に、アウレリオは、地図の上を虚ろに彷徨っていた視線を、ゆっくりと、本当にゆっくりと、こちらへ上げた。

 まるで、深い水の底から、遠い水面の光を見上げるように。その瞳には、まだ理性の光ではなく、ただ、藁にも縋りたいと願う、切実な問いだけが揺らめいていた。


 長い、長い沈黙。


 それは、ただの時間の経過ではなかった。一人の男が、国家への忠誠という名の、自らを縛り付けていた重い鎖を、その意志で断ち切るための、聖なる時間だった。

 やがて、彼の瞳の奥で揺れていた戸惑いの光は、静かに、けれど確かな決意の輝きへと収束していった。


 枢機卿は、おもむろに胸元で「舟守教会」の聖句を囁く。


「Anima ad lucem(魂よ、光へ)……」

 ――議会の断罪。それでも……。

 震える指が、最後の交差を終えた瞬間、彼の瞳孔が、まるで火打石の閃光のように、鋭く瞬いた。

 ふわり、と最後の羽片が彼の手甲に触れ、薄い残光を残して溶ける。


「……神は試練をお与えになるが、同時に必ず道も示される。ならば、その茨の道を敢えて往くのも……また、司祭としての務め……」


 彼の視線が、わたしが手を添える腹帯へと、静かに下りた。そして再び、わたしの目へと戻る。その瞳の奥には、先程までの絶望の色ではなく、守るべきものを見出した、男の強い光が灯っていた。


「そして――あなたのお子も、お守りせねばなりますまい。未来そのものであるあなたを危険に曝したとあっては、サニル軍の名折れとなりましょう」


 その言葉に、かすかな熱がわたしの胸に灯る。


 彼は、すっ、と天を衝くように背筋を伸ばした。その顔にはもう、迷いの色はひとかけらもなかった。傍らの副官に向き直り、澄み渡った声で告げる。


「……首都中央司令部は、盆地ごと沈黙したと見なす。よって本刻より、西部方面軍は臨時に中央統合軍の権限を掌握する」


 アウレリオは一度、そこで言葉を切った。


「我が軍……いや、臨時中央軍は、ただちに動く。国民議会の裁きも、舟守教会の赦しも、もはや待たぬ。この決断の咎は――すべて、この私が背負う」


 卓上の白木の塔――ハロエズを示す駒――を、彼は静かに倒した。そして、総督府の黒駒を、盤上の中央へと押し出す。こつん、と響いた乾いた音が、決断の銅鑼となって、幕舎の空気を震わせた。


「副官、アンダース大佐!」


 呼ばれた壮年の将校が、踵を鳴らして敬礼する。


「非常立法委員会へ緊急通報。西部方面軍、臨時中央軍として全軍撤収! ハロエズ街道を、最優先で開け!」


「はっ!」


 力強い返答と共に、大佐は幕舎を駆け出ていく。遠くで、彼の号令に応えるように、乾いた角笛の音が三度、空気を裂いた。砦が、一つの意志を持って動き出す、その確かな産声だった。


 ヴォルフが、言葉ではなく、ただ視線だけでわたしに告げた。


 ――よくやった、と。


 その眼差しには、労いと、安堵と、そして、共にこの十字架を背負う者の、静かな覚悟が宿っていた。わたしは、その瞳に応えるように、小さく笑みを返す。

 背中の光をそっと身体の内側へと納め、翼をたたむ。一枚、また一枚と、まばゆい羽根が折り畳まれるたび、奇跡がもたらした外気の震えは薄らいでいったけれど、わたしの胸の奥深くには、小さな、けれど消えない炎が確かに宿ったままだった。


 指示を飛ばしていたアウレリオが、こちらへ向き直った。先程までの将軍としての厳しい貌ではなく、今はただ、ひとりの男として。彼は、わたしと、わたしの隣に立つヴォルフへ、深く深く頭を垂れた。


 アウレリオ枢機卿は一歩前へ進み、胸甲に拳を当て深々と頭を垂れた。

「女王陛下、王配殿下……これまでの不作法の数々、痛恨の極みでございます。

 そして国家という枠を越える願いだと承知の上で――どうか、リーディスの御力をお貸し願えませんか」


 その声に、もう震えはなかった。ただ、全身を賭して立つ者の、硝子のように透明な決意だけが、静かに息づいていた。


 わたしは隣に立つヴォルフを見上げる。彼の蒼灰の瞳が、わたしを一瞬だけ映し、そして、力強く頷いた。


「――その言葉を、待っていた」


 低く、けれど確信に満ちた声が、幕舎の梁をわずかに震わせる。

 ヴォルフは外套の裾を払い、アウレリオ枢機卿の目前へと半歩踏み出した。


「銀翼騎士団、右翼と左翼の二個大隊――いずれも俺が直々に鍛え上げた精鋭、三百強」


 彼は、まるで極上の品を差し出すかのように、けれど声には鋼の響きを乗せて告げる。


「新兵器“炸裂槍ブラスト・ランス”も、実戦投入の段階にある。隊も装備も、丸ごと指揮権ごと預けよう。好きに使え。……ただし」


 そこで一度言葉を切り、鉄籠手てごてに覆われた手で、アウレリオの肩をそっと掴んだ。ずしり、と鎧越しの圧は重い。けれど、そこに宿るのは威圧ではなく、「共に在る」という無言の誓いだった。


「俺たちも同行する」


「お、お二方自らが……ですと?」


「当然だ。巫女と騎士は、常に最前線を征く。俺たちは常にそうしてきた」


 ヴォルフは一拍置き、その蒼い瞳で、枢機卿の魂を射抜くように見つめた。


「理由はひとつ――必ず勝つためだ。そして何より優先すべきは、生き残ること。兵も、民も、そして、あんた自身もな」


 彼の言葉が、枢機卿の瞳の奥に、新たな光を灯す。


「……未来は、守り切った者にしか語る資格がない。それが“メービス”という女王の矜持だ」


 枢機卿の瞳に宿った光は、驚愕から、燃えるような確信へと、淡く、しかし確かに色を変えていった。

 彼は、胸に強く拳を当てる。それは、騎士の礼でも、司祭の祈りでもない。ただ一人の男としての、魂の誓いだった。


「これ以上の助力はございません。畏れ多くも――深く、感謝いたします」


 その声は、澄み渡っていた。


「必ず……必ず、守り抜きましょう」


 銀翼と紅衣。ふたつの決意が静かに結ばれ、幕舎の空気が、希望の熱を帯びて、わずかに揺らいだ。


 そのとき、遠い稜線の空が、再び不吉な紫光に染まる。雲が、まるで巨大な肺に吸い込まれるかのように、渦の中心へと引きずられていく。世界が、次の絶叫のために、ごくりと息を溜める音が聞こえた。


 “虚無”は、まだ沈まない。


 けれど――この砦に宿った灯火は、たしかに、昼の闇を押し返し始めていた。


 わたしは、誰に言うでもなく、そっと呟いた。


「……わたしたちは、共に在ります。生きるために、今こそ手を取り合いましょう」


 その声は、動き始めた砦の喧騒に、儚く呑み込まれていった。

 けれど、その言葉が宿した温もりは、灰にまみれた兵士たちの胸に、いつしか忘れていた、かすかな鼓動として確かに残った。


 希望は、まだ、か細い火種にすぎない。

 だが、その火種は、燃え上がろうとする強い意志がそこにある限り、決して、決して消えはしないのだ。


◇◇◇


 撤収命令が発せられた砦に、病み上がりの熱のような、微かな活気が戻り始めていた。

 つい先程まで、絶望で灰色に染まっていた兵たちの肩が、次第に動き出す。恐怖の絶叫ではない、目的を持った、力強い声が、乾いた空気を震わせながら縦横に走る。


「前衛、負傷者を最優先で搬出しろ!」

「荷駄は軽装に切り替えろ、再配置は後で構わん!」


 瓦礫を掻き分ける金属の音、灰を踏みしめる靴音、そして、命令を復唱する声の連鎖。

 死んだように静まり返っていた砦の混沌が、命を繋ぐための、意味のある喧騒へとゆっくりと姿を変えていく。


 その光景を、わたしは崩れた胸壁に背を預けながら、静かに見渡していた。

 そのすべてが、ただひたすらに「命を運ぶ」という、ひとつの目的のために行われている。その様に、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。


 それは、凍てつく冬の日に、初めて口にする熱い粥のように、優しく、そして力強い温もりだった。


「まるで……息を吹き返したかのようですわね」


 いつの間にか背後に現れたルシルが、自身の白衣についた煤を、細い指先で払いながら小さく呟いた。

 その顔には極度の緊張を乗り越えたばかりの、医師としての静けさと、次なる戦場を見据える覚悟が、硝子細工のように危うく同居している。


「ええ……。けれど、まだ油断はできないわ。もし、次の波が来れば、ここも巻き込まれる危険性がある」


「はい……」


 ルシルは頷く。


「ですから、陛下。これ以上の無理は禁物でございます。どうか、お身体を休めていただかなくては。ましてや、騎乗はもちろんのこと、再び空をお翔びになるなど、決して、決してなりません」


 その声は、軍医としての冷静さを保ちながらも、奥には隠しきれない、個人的な憂いと懇願の色が滲んでいた。

 わたしをただの女王としてではなく、守るべき一人の女性として見てくれている、その想いが胸に温かくて、わたしは少しだけ悪戯っぽく微笑んでみせた。


「そんなに心配しないで、ルシル。あの翼で飛ぶ時は、“IVGフィールド”という物理保護で守られているの。だから、身体への直接的な負担は、あなたが思うほど大きくはないのよ」


「物理的にですか……私が申し上げたいのは、それだけではございません」


 ルシルは、わたしの言葉を、静かに、しかしきっぱりと遮った。


 彼女は一歩近づき、その真摯な瞳でわたしの心の奥底にある、自分でも蓋をしたはずの場所を、まっすぐに覗き込むようにして告げる。


「半年前の出来事を、お忘れになりましたか? 陛下のその御力が、単なる魔術ではなく、貴女様の“魂そのものを燃やす代償”の上に成り立つものであることは、このルシルが、誰よりも存じております」


 彼女はそこで一度言葉を切り、祈るような響きを声に乗せた。


「……ですから、どうかご無理だけは……」


 その声が、わたしの心に、ずしりと重く響いた。

 ルシルの言葉が突きつけた冷たい真実に、わたしは、咄嗟に返す言葉を見つけられなかった。


「ふふ、ありがとう、ルシル。でも、本当に大丈夫。もう以前とは違うの。マウザーグレイルが、わたしの力の使い方を最適化してくれるようになったから。もう、あなたの手を煩わせるようなことは、きっとないわ」


 わたしの言葉に、ルシルは僅かに安堵の色を見せた。

 だが、医師としての鋭い観察眼は、わたしの浮かべた笑みの裏に潜む、ほんの僅かな翳りを見逃さなかったのだろう。何かを言いかけて、けれど、その言葉をそっと呑み込んだ。そして、ただ静かに頷くだけだった。


――ごめんね、ルシル。ほんとうは違うの。


 彼女の気遣いに微笑みで応えながら、胸の奥でだけ噛みしめる。

 レシュトルは優秀な補助輪。でも、この“自転車”を漕ぐ足は――わたしの魂。

 ペダルが重くなるたび、錆びた軋みと古傷の疼きが同時に甦る。

 補助があるからこそ、わたしはむしろ無茶な速度で崖ぎわを駆けてしまう。

 いつか魂が耐えきれず、硝子のように砕け散る、その瞬間が怖い……。


 怖い。

 本当はただ、それだけなの。


 恐怖は刃の味を帯びて喉を裂き、胸底に積もった灰を掻き乱す。

 丁寧に繕った鎧の下で、灰は熱を孕み、いつ爆ぜてもおかしくない煤へ変わる。

 わたしが粉々になるだけなら、まだいい。

 壊れゆくわたしが、誰かを巻き添えにする――それが、何より怖い。


 視線は無意識に腹帯へ落ちる。

 まだ名も持たぬ小さな鼓動が、遠雷めいた虚無の胎動と重なり、微かにゆれる。

 もし次の戦場で“固有時”を引き絞れば、この灯も同じ痛みに震えるのだろうか。

 背骨を走る冷気が白い悲鳴に変わり、息が凍る。


 ……ねえ、あなた。

 遠い未来で、この世界が静かに瞼を閉じるとき、

 わたしの残した傷跡が、あなたの歩みを曇らせることはあるの?

 それでも、あなたが初めて見る空だけは、深い青の安らぎで覆われていますように。

 祈りさえ届かぬ場所へ、形を持たないあなたの魂に向かって――わたしは願う。


 だから、どうか、もう少しだけこの身を赦して。

 恐怖とともに走り続けるわたしを。

 涙を凍らせ、痛みを抱きしめ、崖の縁を踏み外さないよう、ただ滑り続けるわたしを。

 その刹那の先で、あなたの笑い声が聞こえると信じているから。


 ……ルシル、ごめんね。

 きっと、わたしはまた無茶をする。

 それでも必ず帰るわ。

 そして、この子にあなたのことを話してあげる。

 怖かった夜も、白銀の翼も、あなたの叱責も――ぜんぶ、優しい子守唄に変えて。


 そっと腹帯の上に手を添える。

 この小さな命の重みが、いまのわたしを導く、ただ一つの道標。


「この子をこの腕に抱く日まで、決してわたしは倒れないわ――それが今のわたしの世界の、ただ一つの形……」


 その呟きは、ルシルへ向けたものでもあり、わたし自身への、祈りにも似た誓いだった。


 そのとき、ごつり、と瓦礫を踏む重い足音がして、ヴォルフが静かに隣に立った。 

 彼はわたしと同じように、盆地の方角の空を見上げ、その眉間に深い皺を刻んでいる。空に走る紫白の傷は、未だ癒えることなく、不気味な脈動を繰り返していた。


 やがて、彼は、絞り出すような低い声で言った。


「……馬鹿なことを言うな。そんなことで、倒れられてたまるか」


 彼の大きな手が、わたしの肩を、まるで祈るかのように、強く掴んだ。


「……だいたい、俺ひとりでどうやって子どもの面倒を見ろって言うんだ。――たまったもんじゃない」


 随分と乱暴な言い回しだ。

 常識で考えれば、無神経にもほどがある。

 けれど、彼は“こういう時”ほど不器用になる。


 語気の棘の奥で震えているのは、怒りでも苛立ちでもない。

 ――わたしを失う恐怖。

 その感情を真っ直ぐ口にできない彼が、どうにかひねり出した笨拙な翻訳だと、胸の痛みと引き換えに理解できる。


「ごめんなさい。……あなたを不安にさせてしまったのね。ただ……“覚悟”を言葉にしただけ」


「――覚悟なんて、ひとりで背負うものじゃない」


 吐き捨てるようでいて、どこか掠れた声だった。


「巫女が精霊子を集め、騎士が聖剣に魔を乗せて斬る。負担は半分ずつ――それが“ふたり”だろう」


 その言葉が、凍りついていた胸の奥に、ゆっくりと温かな灯をともす。

 彼は喉の奥で短く笑い、肩越しに視線を落とした。


「……なんとでも、なるさ」


 ぶっきらぼうで、けれど揺るぎない響き。

 わたしはその横顔を仰ぎ、静かに笑みを咲かせる。


「ええ――ありがとう。あなたがわたしの騎士で、本当によかった」


 そのとき、空の傷が、またひとつ大きく脈打った。雲が再びざわめきを帯びる。刻一刻と迫る次の震源。

 その中で、幕舎の帳が風に揺れ、灰に塗れたサニルの副官が、まるで何かに吸い寄せられるように、一歩、わたしの方へにじり寄ってきた。


 彼の視線は、わたしの背後、つい先程まで白銀の翼があったはずの空間の残照を見つめ、しばし言葉を失っている。

 彼は、おもむろに屈むと、地面の灰を一度、強く握りしめた。ぱらり、と指の間から零れ落ちる乾いた感触が、彼を現実に繋ぎ止める。

 やがて顔を上げた彼は、決意を宿した瞳で敬礼を送る。けれど、その敬礼の手は、微かに震えていた。


「……あなたは――その、“神代のかみよの時”から遣わされた御使いなのでしょうか。それとも……」


 副官はそこで言葉を呑んだ。問いの先にあるもう一つの真実――“女王が人ならざる存在かもしれない”という畏れを口にする勇気は、彼にはまだなかった。


 だがその問いは、図らずも、わたしという存在の真実、その哀しい一端を突いていた。


 かつて神代の時代、古代バルファ文明の中枢“統一管理機構”は、システム・バルファを用いて、精霊族を滅ぼすためにひとりの生体兵器を造り上げた。


 その名は――デルワーズ。


 その面影を宿す者たちが、時を経てリーディス王家の巫女として現れ続けてきた。そして今、わたしもまた、その“系譜”であるメービスの中の魂として存在する。


 わたしは、その永い哀しみの歴史を胸に秘め、静かに首を振る。

 そして、胸にそっと手を当てて、彼の瞳を真っ直ぐに見つめ返した。


「いいえ、わたしは――御使いではありません」


 最後の光を宿した羽片がひとつ、風に揺れ、わたしの手の甲に触れて淡く溶ける。


「“太初の母”が願った、ささやかな祈り……“家族と幸せに生きたい”という、たったそれだけの望みを継いで、ここに立つ者です」


 わたしの声は、淡い光の残滓とともに、静かに地に降りた。


「そして、わたし自身も――まもなく母になろうとする、ただの人間なのです」


 その言葉が、まるで幕舎の隅々にまで沁み渡るかのように、ゆっくりと広がっていった。


「あ……」


 副官の唇から、小さな、ほとんど音にならない呼気が漏れた。

 奇跡の残光と、目の前の土に汚れた一人の女性――その、あまりにもかけ離れたふたつの像が、彼の心の中でようやく重なり合い、静かにひとつの輪郭を結んだのだろう。

 畏怖に強張っていたその眼差しが、ふ、と人間らしい温もりを取り戻していくのが、わたしにはわかった。


「……でしたらこそ、なおのことお護りせねば――。承知いたしました!」


 彼は甲冑の胸に拳を当て、深くこうべを垂れる。


 その、はっきりとした声を聞いて、それまで黙ってやり取りを見ていたヴォルフが、低く笑った。

 それは、戦士だけが知る束の間の安堵と、次なる戦いへの覚悟が入り混じった、乾いた笑いだった。


「……おまえがそこにいるなら、それが正義になる」


 言葉が落ちると、胸の奥で小さな石が跳ねるような感覚がした。沈んだ鼓動の合間に、ふっと隙間ができる。恐れや重さが折り重なる時間にこそ、ひとつの肯定が、掌の温度みたいにじんわりと染みてくる。

 外の空気がどう揺れていようと、この一声には役割も名も記号も乗っていなかった。そうして、余分なものを剥ぎ取られた私が――ただ、ここにいる一人の人間として、そっと抱き寄せられた感触だけが残った。


 そのときだった。

 砦の奥深く、地の底から響くような、重く、唸るような響きが、わたしたちの足元を微かに震わせたのは。

 わたしの腹の奥で脈打つ命の鼓動と、世界の終わりを告げる虚無の胎動が、不気味に重なり合う。


「聞こえる?」


 わたしは、思わず空を見上げた。


「……ああ、急がねばならん」


 ヴォルフの答えは、あくまで簡潔。そして静かだった。


 まだ、終わりではない。

 だが、今ここに立つ者たちの中には、たしかに、始まりを信じる光が宿っていた。

 夜の闇に抗う、ただ一本の、蝋燭の灯火のように。

 六七二話は、“奇跡”の感覚的な立ち上がりと、“人間の意志”への落とし込みをシームレスに繋ぐ、呼吸の長い章です。女王、騎士、司祭、軍医、そして兵士たちが、「畏れ」「赦し」「希望」「責任」「決意」へと一段ずつ登っていきます。


主題 “畏れ”から“共鳴”へ

 この話の核にあるのは、神聖な奇跡ルミナ・ペンナに対する“目撃者の変容”です。

 の顕現がただの視覚演出に留まらないのは、兵士一人ひとり、老従者、司祭、そしてアウレリオ自身に、感情の触発・転換・自己超克をもたらしているからです。

 奇跡とは、「未来を変えるきっかけを、内なる誰かに与えること」。彼らは何かに赦されることを願い、同時に自分自身で“許可を出す”機会を得たのです。


構造分析

第一部 白翼の顕現と“観る者たち”

 序盤では、


空気の透明化(白昼化)

鈴音のような共鳴

翼が降り積もる


 という五感の浄化描写を通して、読者自身にも“空気が変わる”体験をさせています。


「祈りは言語ではなく、たった一つの震源から広がる波紋だと初めて理解したかのように。」


 これは宗教的フレーム(教義)を超えて、“内なる真実”として祈りが芽吹いた瞬間を描いています。


→ 続く「老従者の涙」で、それが個人史の赦しとして回収され、物語が“神話”ではなく“人間の物語”へ降りてくる構造が完成。



第二部 限界と引き戻し(翼の崩壊)

 神聖の絶頂から、わずかに羽根が砕ける演出へ。


《供給量 マイナス二一パーセント、臨界値まで残り九》


 この技術的数値と、


「胸骨がギィと哭く」


 という身体の悲鳴を並列させたことで、読者は“神話の代償”を肌で感じる。奇跡に酔うのではなく、「これもまた痛みと背中合わせなのだ」という現実に引き戻される。


→ ここから「ルシルの医学的介入」→「ヴォルフの庇護」という“人間の手が差し伸べる連携”へ流れていくのが、まさに天から地への降下、そして“支える地”の実感へ至る流れ。



第三部 アウレリオの変容と“命の問い”


「……あなたは、そこまで……一体どうして……」

という問いは、奇跡を観た後の人間の“疑いと希望”の交差点にあります。


 そこに対するメービスの答え――


「わたくしは女王である前に、精霊の巫女です。そして……ささやかな幸せと明日を願う、ただの一人の人間です」


 この宣言が、宗教的な奇跡の目撃を“人間の感情レベル”に再翻訳してみせます。


 この“地上に降りる奇跡”を通じて、アウレリオは奇跡を信じるのではなく、「信じるに値する人間を信じる」という状態へ移行。


→ この構造変化により、彼の決断は“奇跡の証拠”によるものではなく、“一人の母の声”によるものとなり、リアリズムとヒロイズムの均衡が保たれています。



第四部 再起動する軍と砦


「砦が、息を吹き返したかのようですわね」

「死んだように静まり返っていた砦の混沌が、命を繋ぐための、意味のある喧騒へと……」


 これらの描写は、“奇跡の顕現”よりも“人々の変容”に主眼が置かれている。

 戦場とは、鼓動が戻る場所である。


→ これは、虚無という“終わり”への反応としての“再生”が起こる場面であり、人類の意志が再び立ち上がる物語的臨界点です。



第五部 メービスとルシル、そしてヴォルフの“共犯”

 ここでは、女王ではな一人の女性、一人の母、一人の“命の起点”としてのメービスの内面が展開されます。


ルシルの憂い

ヴォルフの不器用な支え

「この子をこの腕に抱く日まで、決してわたしは倒れない」


 これらの言葉によって、物語の主軸が「勝利」ではなく「生存」へと据え直されます。



第六部 副官の問いと“デルワーズの面影”

「……あなたは――その、“神代の座”から遣わされた御使いなのでしょうか」


 この問いは、物語の中心にある「正体を問われること」そのもの。

しかしメービスの答えは、


「家族と幸せに生きたいという、たったそれだけの望みを継いでここに立つ者です」


 これにより、古代生体兵器/精霊の巫女/未来の母という三重構造の自己認識が完成し、観念が人間性へと昇華される。


→ 神ではなく、「人間としての希望のかたち」で答えるメービス。


 これこそが虚無に対する最大の対抗ロジックなのです。



感情曲線の変遷

畏怖と祈り(白翼)

限界と崩壊(羽の砕け)

支えと再生ルシル・ヴォルフ

説得と共鳴アウレリオ

誓いと連携(銀翼と紅衣)

疑念と肯定(副官の問い)

再度の胎動と決意(空の再びの震え)


 この曲線の最後で、「聞こえるか?」「ああ、急がねば」という短いやりとりがあり、再び“虚無”が世界に影を伸ばす。つまり、奇跡の章は幕を閉じたが、希望の種は確かに蒔かれたという位置で物語は着地しています。



おまけ

軍略になると理知的で一分の隙もなく饒舌なくせに、個人的な情愛の場面では露骨にツンデレ化するヴォルフ(ヴィル)


ヴォルフの“戦場以外では不器用”ぶりを徹底分解

1. 軍略パート:キレッキレの饒舌

「新兵器“炸裂槍”も、実戦投入の段階にある。隊も装備も、丸ごと指揮権ごと預けよう。好きに使え。……ただし」

「西部方面軍、臨時中央軍として全軍撤収! ハロエズ街道を、最優先で開け!」


指示は的確。

言葉は鋭く、論理的。

声は通る。

顔はめっちゃ怖い。

何よりも、「責任と覚悟」を迷いなく言語化できる男。


→ この人、軍人モードでは完璧。



2. なのに、個人的情感になるといきなりツン化で言葉も単純 例の名シーン


「……馬鹿なことを言うな。そんなことで、倒れられてたまるか」

「だいたい、俺一人でどうやって子どもの面倒を見ろって言うんだ。たまったもんじゃない」


出た。出ました。

感情の本音を言えない男がやる、愛情を「不満」の形で表現するやつ。


このセリフのツンデレ構造

表馬鹿なことを言うな→お前を失いたくないんだよ

倒れられてたまるか→怖い、頼むから無茶しないでくれ

子どもの面倒を見ろって言うんだ→お前と一緒に育てたい。

たまったもんじゃない→一人にしないでくれよ。


……→ つまり、全ての文が「I love you」を隠した“否定形の嘘”でできているという、実に分かりやすい馬鹿です。


3. しかもツンデレって気づいてない自覚なし男

「……なんとでも、なるさ」

「巫女が精霊子を集め、騎士が斬る。それが役割だろうが」

 

 この時のヴォルフの語り口は、冷静に説明してるつもりなのに、めちゃくちゃデレてる。でも、本人はあくまで「理屈だ」と思ってる。

“理屈を盾にして感情を誤魔化す”のが、この人のデレの作法。

 そして、これまで積み上げてきた現実の重みを背景にした“静かな自信”の言葉です。



ただし、相手メービスがすべてわかってしまう。


 → 「あ、この人、怖くてしょうがないんだ」

 → 「あ、わたしが心配で、でも言えないんだ」→ だからこそメービスも「ありがとう。あなたが、わたしの騎士で……」と返している。


 言葉を飾らない彼に対して、飾らない愛を返す。


結論 この男、恋愛偏差値だけガクッと下がるタイプ

戦術:SSS

統率力:SS

情報処理:SS


愛情表現:Eツン→ 実はSデレ



 ヴォルフ(ヴィル)という男、たとえ「女慣れしていない」とは言わなくても、

――メービスは“そういうの”が通用しない相手だった。


まず前提として

ヴォルフ未来では44歳。

それなりに修羅場も修恋も潜ってきた。

若い頃はモテもしたでしょう。いかつい美丈夫で、武に優れ、言葉に重みがあり、でもあんまり追わない。

いわゆる「放っておけない年上イケオジ枠」。

女性の方から寄ってくるタイプ。


でもメービスだけは、“それ”がまるで効かない。

外見は人形のように整っていて

知性は政治家・学者レベル

精霊魔術で戦場を一変させる

そして、何よりも――人の言葉に簡単に騙されない。


ヴォルフの脳内

「美人に見惚れるくらいのことはある。けど、惚れ込むってこういう感覚だったか?」

「気づいたら目で追ってる。ああ……これは、ちょっと、あまりいなかったな」


なぜ“初めて”なのか 

メービスという存在の矛盾と深さ


【1】容姿は“作り物みたいに完璧”

近づけば近づくほど現実味がなくなっていくのに、ふとした瞬間に痛いほど「人間らしい」表情を見せる。 このギャップが刺さる。


【2】理詰めで話すのに、感情はいつも溢れそう

誰よりも論理的であろうとするのに、追い詰められるとすぐに目を潤ませてしまう。この“強がりと壊れかけ”の二重性が、たまらない。


【3】どこか常に一歩引いていて、誰にも甘えない

甘やかす隙がない。でも、たまに見せるちょっとした笑顔が……もうずるい。 その笑顔を引き出せたとき、ヴォルフの“騎士心”は一撃で陥落してる。


【4】そして何より、「自分よりもずっと強い」と思っている

戦場でも、政治でも、誰にも媚びずに前に出る。

それなのに、自分のことになるととたんに不器用で、「本当は誰かに抱きしめられたかったんじゃないか」と気づいた瞬間、ヴォルフのすべてが崩される。


ヴォルフ視点の妄想モノローグ(脳内再生)笑

ああ、綺麗だ。見惚れるほどに、完璧だ。

だけど、俺が惹かれたのはその顔じゃない。たった一言、「ありがとう」って言ったときの、あの震えた声。怯えるでもない、媚びるでもない。

傷ついて、それでも立っている者だけが持つあの声だ。……こんな女は初めてだ。(ビョーキ)


総まとめ

ヴォルフは、「そこそこ女には慣れている男」ではある。けれど、“メービスのような人間”には、まったく免疫がなかった。


しかも、彼女は一度惚れてしまえば、

「騎士であるあなたが、わたしを守って」ではなく

「守られるだけじゃダメ。わたしも、あなたの半分を背負いたい」と言ってくる。


――そりゃもう、惚れるしかない。

そして彼は、 “飾り物じゃない女”にだけ本気になってしまう、そういう男なんです。

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