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失敗
「何を育てているんだ?」
ペットボトルの中のものに水を上げている俺に聞いてくる。
「何も」
「そう」
そいつは椅子に座って本を再び読み始めた。
数日後私たちは咳がひどくなり始めた。
「薬飲んでも治らんな」
「そうだね」
「そういえばあのペットボトルは?」
「捨てた」
「そう、正しいと思う」
ペットボトルをす捨ててから数週間が経ったころ、咳も落ち着いてきた。
「結局何を育ててたんだ」
「別に、土に水をかけたただけ」
「外からじゃ緑色のものが見えたんだが」
「木のせいじゃない?それかペットボトルを通して外の景色が見えたか」
「そうなのかもな」