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花邑杏子は頭脳明晰だけど大雑把でちょっとドジで抜けてて馴れ馴れしいがマジ傾国の美女【第4話】

祝賀会は、花邑杏子たってのリクエストで、焼肉屋ですることにーー

「まだ食べるんですか?」

義範は呆れていた。

彼女はさっきから、塩ネギ厚切り牛タンばっかり食べ、ビールはまるで麦茶のようにぐびぐび飲んでーー

でもな、こいつーーじゃなかった、この人は、口元と鼻筋は整っているのな。牛乳瓶は相変わらず外さないから目元は分からないが。

「なんだ、お前、食わないのか?」

義範はーー並カルビと野菜盛りを注文しただけ。花邑杏子がいくら使うか、それが心配で・・・

所持金は、一応三万円持ってきたのだがーーこの勢いだと、足りなくなるかもしれない。

「すいませーん!生大と特上カルビ三人前」

まだ飲むのか!これで六杯目だぞ!

おいおいおい・・・なんて女だ。遠慮という言葉を知らんのか!俺は並で我慢しているのに、特上カルビ三人前だぁ?

「ほれ、お前も食え。焼けてるぞ」

犬に餌やる口調で言うな!まあ、食べるけど・・・

宴も酣ーー

「ふぅ!食った食ったぁ~」

会計が恐ろしかった。ただただ恐ろしかった・・・

義範は、お腹をさすっている杏子を置いて、レジへと向かった。

「お会計が・・・29999円です」

足りたぁ!よかったよ。よかったよ。でもここで運を使っちまった!

怪訝な顔で義範を凝視するかわいい店員さんの目線が痛かったーー

義範が三万円差し出すと、店員さんから一円が手渡された。

(あれ?店員さんーー?)

店員さんが、手を離してくれない。

あと、義範の手のひらに、電話番号とラインのアドレスを書いている。

「連絡、待ってますねーー」

俺はなんて強運の持ち主よ!こんなかわいい子と知り合いになれるなんて!あれは怪訝な顔ではなく、俺に惚れた顔で、痛い目線は、熱視線だったのだ!そうと決まればーー

「何、私を置いて帰ろうとしてんだ?」

牛乳瓶が腕を組んできた。ちきしょう。読まれたか。

帰り道ーー

「二次会は、お前ん家で酒盛りするぞ」

「もう、金ないっす」

「心配すんな。私が出してやるから」

(それを、焼肉屋でーーって、おっとぉ)

さっきの店員さんーー南波澄香ちゃんのアドレスは、死守しなければ。

「おい、聞いてんのか?」

「えっ、何ーー」

「貴様、なーんか、上機嫌だなぁ?」

「別に~、なんでもないっすよ」

「ふ~ん・・・」

花邑杏子は一気に不機嫌になった。一方、義範はーー人生を謳歌していた。

(まさかあの牛乳瓶で会計時のやり取りを見られるわけないもんな。こんな奴とはさっさと別れて、澄香ちゃんと付き合うぞ!って、こいつとは付き合ってもいないけどな)

「お前ーー私に何か隠しているだろ?」

「んなことないっすよ~」

「返事が軽い!」

「お酒が入っちゃったからかな~」

「怪しい・・・」

「そんな疑り深い人とは飲めないなあ~それじゃ!」

義範はーー全速力で彼女から離れた。これは、澄香ちゃんと付き合うためのプロセスなのよ。なのにーー

あらららら。酔いが回って上手く走れない~

「待てこら!殺すぞ!」

俺の夢を破ろうとする悪魔が追いかけてきた!あいつーー走るの速いな!

「待てぇ~!」

あり?失速した。今だ逃げきっちまえ!

義範は、急いで部屋のなかに入った。

「ふうっ、これで一安心」

早速メモ帳を用意して、手のひらに書かれた南波澄香ちゃんの電話番号とラインのアドレスを書き写し、何度も確認してから、机の引き出しにしまってカギをかけた。もちろん、手のひらの・・・愛がこもった字体は消さないで、それを見ながらデレデレしながらスマホに登録を済ませた。

焼肉屋さんって、朝方まで営業してるってイメージあるけど、澄香ちゃんはいつ上がるのかな?何だかラインするの躊躇しちゃうな。

俺もアドレスを書いたメモを渡したから、もしかしたら、向こうからかけてくれちゃったりなんかして!

ーー夢に浸れた時間は短かった。

ドンドンドン!!ものすごい力強くドアを叩く輩・・・花邑杏子しかいない!


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