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六話目

 翌日。

 吉田君は、わたしをあるマンションの一室に連れて行きました。そこに、なんでも変わった知識を色々と持った人が住んでいるのだそうです。

 「僕も、実はどんな職業の人だとか詳しい事は知らないのだけどね。ネットで知り合ったんだ。その人が、どんな事をネットでやっているのか知ったら、きっと森さんは驚くと思うよ」

 吉田君は、そんな風に説明をしてくれました。

 でも、それだけじゃ、どうしてわたしを連れて行くのかとか、具体的な理由が全く分かりません。わたしの不安は全くなくなりませんでした。

 わたしは、久留間さんがついて来てくれる事を密かに少し期待していたのですが、彼女は部活もやっているので無理でした。当然かもしれません。彼女は、わたしの保護者ではないのですから。

 吉田君と二人で、そのマンションを訪ねた時、わたしは緊張してガタガタと震えていました。決して吉田君を信用していない訳じゃありませんが、他のマンションの独特の雰囲気にまだ馴染んでいないわたしには、そこにいる事自体が苦痛なのです。

 早く時間が過ぎ去って欲しかった。

 ですが、

 そのマンションの部屋の主が現れ、わたし達を部屋に招き入れると、その緊張は少し和らいだのです。

 その人に、なんだかとても人の好い、安心をさせるような雰囲気があったからかもしれません。

 その人は、メガネをかけた三十代くらいの男の人で、とても落ち着いていました。軽くしわのある顔。名前は、杉村さんというのだそうです。

 杉村さんは、わたし達をパソコンのある部屋にまで通すと、お茶と茶菓子を出してくれました。わたしは、少しだけ自分の遠い昔を思い出します。

 この感じは…… お婆さんだ。

 そうなんです。不思議と、その杉村さんからは、子供の頃にわたしといつも一緒にいてくれた、あのお婆さんに近い雰囲気が感じらたのです。

 もちろん、ただの気のせいなのかもしれないのですが。ただ、だからわたしは、この部屋に入った瞬間に安心をしていたのかもしれません。その可能性は大いにあります。

 「この娘が、例の『田中かえる』さんかな? 吉田君」

 少し場が落ち着くと、杉村さんはそう言いました。吉田君は、どうやらそんな事まで話していたようです。わたしは少しだけ嫌だなと思いました。いえ、隠さなくてはいけないような事ではないのかもしれませんが。

 「そうですよ。杉村さん」

 その返答を聞くと、杉村さんは朗らかに笑いました。

 「あまりにも、イメージ通りだったから、逆に少し疑ってしまったよ。なるほど、『田中かえる』ね」

 ですがそんなわたしの嫌な気持ちは、その笑顔を見て、直ぐに消し飛んでしまったのでした。

 この人になら、別に『田中かえる』の事を知られてもいい。そう思ってしまったのです。杉村さんはそれからこう尋ねてきました。

 「さて。今日は、どんな用事があってきたのかな? 吉田君」

 「色々あるんですけどね。ま、取り敢えずは、妖怪が出た事から報告しておきましょうか」

 「へぇ、妖怪が」

 妖怪と聞くと、杉村さんはとても嬉しそうな顔をしました。わたしと同じ様に、怪談の類が好きなようです。

 ……それから吉田君は、先日の経緯を軽く杉村さんに説明しました。そして、最後にこけし人形が神棚に飾ってあった事と、わたしと吉田君がそれを気にしていた事を付け足し、こう問い掛けたのです。

 「こけしって神棚に飾ったりするもんなんでしょうかね?」

 それを受けると、杉村さんは

 「うーん。どうだろうね。伝統工芸品だし、それ以外にも色々と由来があるものだから、それほど不自然じゃない気もするけど」

 「由来?」

 「そう、由来。赤が疱瘡に効果があると信じられていて、疫病予防の意味合いから、子供の玩具に塗ったのがこけしだとか、湯治には昔の農村では再生儀式の意味合いがあって、新しい力を授かったというその象徴がこけしだとか… でも」

 そこまでを言ってから、杉村さんは妙な含みを持たせてわたし達を見ました。

 でも?

 「でも、今回関係がありそうなのは、俗説の方かもしれないね。“こけし”に“子消し”の字を当てて、水子供養と結び付ける俗説があるんだ。まぁ、俗説に過ぎない訳だけどさ。でも、その俗説を、石川さんという女の子のお母さんか誰かが信じているのだとしたら、話は別だよ」

 「つまり、その俗説を信じた石川家の誰かが、こけしを神棚に祀った、と」

 「だね。

 ま、その話からすると、そういった事を信じ易いらしい石川さんのお母さんが一番、可能性が高そうかな」

 わたしはそれを聞いて思います。

 もし、そうだとするのなら、石川さんのお母さんは罪悪感を感じているのかもしれない、と。

 多分ですが、罪の意識があるからこそ、人間はそういうものに頼るのだと思いますから。

 「なるほど。だとすると、家族に知られないようにこっそりと、石川さんのお母さんはそんな事をしたのかもしれませんね。あからさまに供養するのは避けたかった。だから気付かれ難そうなそんな手段を執った」

 「そうかもしれないね。ま、僕にはどうでもいい事だけど」

 「で、この話の元ネタになったかもしれない噂話は、ここら辺りで囁かれていたりしますかね?」

 わたしはその吉田君の質問を聞いて、少し疑問に思いました。どうして、この人にそんな事を尋ねるのでしょうか?

 「あるにはあるよ。こんな話だけど。

 真っ暗な夜道を歩いていると、足に何かがまとわりついてくる。暗闇でそれが何なのか分からないけど、生き物の触り心地とは思えない。スベスベしているのに、体温が感じられない。

 で、不気味に思って駆け足で街灯の下まで行ってみると、それはボロボロになったプラスチック製の人形だった……

 すねこすり、オボ、ノツゴとか、呼ばれている妖怪がいるのは知っているかな? 幼児の霊が絡んでいるものなのだけど、これらも人の足にまとわりつくんだ。ちょっと似ているって思わないか? もしかしたら、こういう系統を受け継いでいる話なのかもしれない」

 そういった話なら、わたしもネット上で読んだ事があります。そう言われてみれば、今回の石川さんの話と関係があるような気がします… 子供の霊、か。

 わたしはこの杉村さんがどうしてこんな事を知っているのか不思議に思いながらも、感心をしていました。よくスラスラと話が出てきます。だけど、それから吉田君は驚くような発言をしたのです。

 「その話は杉村さんが作った話じゃないのですよね?」

 「違うよ。純粋に、この地域で自然発生した話さ」

 杉村さんが作った話?

 驚いたわたしは、思わず口を開いていました。

 「杉村さんが作った話って、一体どういう事ですか?」

 すると吉田君がこう説明してくました。

 「この杉村さんはね、そういう怪談を体験談としてネット上で流しているんだよ。大型掲示板の“プール”にももちろん投稿している。多分、君もこの人が書いた怪談を何作か読んでいると思うよ」

 ええぇ!?

 「なんでそんな事を?」

 まさか、意図的に創作怪談を… いえ、もちろん中にはそういったものもあるだろう事は分かっていましたが… 体験した怪談としてわざわざ投稿している人がいるとは思っていませんでした。

 そのわたしの声を聞くと、杉村さんは「あははは」と極めて穏やかに笑ってから、こう言います。

 「僕はね、タネをまいているのさ。怪談というタネを。世の中に向けて。そのタネが芽を出して成長するかどうかは植物と同じ様に、環境次第。つまり、世の中次第って事だね。その成長を見てやりたいって思っているのさ」

 それでもわたしが困惑した表情をしていると、吉田君が更に説明をしてくれました。

 「ほら。僕は複雑系科学が好きだろう? それで人間社会に起きる創発現象として、怪談だとか妖怪に注目をしているのだけど、この人はその反対なんだよ。

 つまり、社会科学的な事に興味があって、複雑系科学にも注目している。それで、お互いの知識を補完するような意味で、僕らは知り合いになったのだけどね」

 ただ、その説明を聞いても、わたしにはその意味はさっぱり分かりませんでした。どうして、複雑系科学にも興味があると、怪談を流布させなくちゃいけないのでしょう?

 わたしが理解してない事を察したのか、今度は杉村さんが説明をしてくれます。

 「様々な人間社会の文化を観ていると、無視できない近似に出会う事が多くある。

 例えば、耕作文化においては、何故か蛇が大地母神として祀られる事が多い。世界規模でこれは観られるんだ。因みに、同じ様に世界中で観られる巨大ヘビ退治の神話は、耕作文化が侵略され、支配される過程で生成されたものと言われている。

 つまり、支配する側の社会が、土着の文化を否定した足跡らしいのだね。

 例えば西洋においては、ヘビが悪者として扱われる。ドラゴン退治の物語。悪魔がヘビやドラゴンの姿で語られる事も多い。他にも、アーリア人の神インドラも蛇を退治していて、それは後のインド神シヴァにも影響を与えている。東洋でも龍や蛟退治の話は多い。日本で有名どころを挙げると、ヤマタノオロチかな? ヤマタノオロチが実は大自然の象徴だって聞いた事がないかな?

 こういった一致を、ただの偶然で片付けてしまうのは、僕は都合が良過ぎると思っているのさ。ただ、だからといって、心理学者のユングが唱えたように、そこに集合的無意識の存在を想定するのもやや無理があるようにも思うんだ。もっとも、原因の一つではあるかもしれないけど。そこで創発現象に注目をしたんだ。

 もしかしたら、それは人間という要素が集合し、影響を与え合う過程で、必然的に現れるものなのかもしれない」

 そこまでを杉村さんが語ると、それを補足するようにして吉田君が口を開きました。

 「システムに、どんな現象が現れるかは、ルールが重要だって前に説明したろ?

 君がよく見ている大型掲示板の“ピープル・プール”が秩序を保てているのだって、それを利用しているのだぜ。

 採点システムによって、優秀な書き込みが多く見られる事になり、逆に宣伝や荒しなんかの書き込みは自動的に消されていく。これは実は、ルールによって起こっている自己組織化現象なんだ。そして、人間の性質も一つのルールだと表現する事ができる。

 つまり“人間”というルールによって、文化がそこに創発をされている訳さ」

 わたしはそこまでを聞いて、ようやく話が見えてきた気になりました。

 「あの… つまり、人間社会で起こる創発現象を確認する為に、怪談の“タネ”をまいているのですか? 杉村さんは?」

 「その通り。ヘビが大地母神として出現する。これは、人間のどんな要因によってそうなるのだろう? そして、そこに現れたヘビは人間社会の中でどんな風に機能して、どんな影響を与えているのだろう?

 これは、怪談とかにも同じ事が言える。

 初めは僕が書いた創作物だとしても、人間社会の中でもまれ変化し、長い間残り続けるのなら、恐らくそれには何か意味があるんだ。そして意味のあるそれは、人間社会の何かを表現してもいて、反対に人間個人に影響を与えてもいる。

 地域型インターネットが普及してからは、特に興味深い。そのお陰で、地域交流が活発になっているし、それによって、今まで人間社会が経験した事のなかったタイプの交流が実現している。果たして、その相互作用の中にどんな現象が起こるのだろう? 僕は、できる事ならそれを確かめてみたいと思ってるのさ。だから、吉田君が時々持ってきてくれる、こういうフィールドワーク的な情報は有難いんだ」

 わたしはその話を聞いて、再び感心していました。そんな事に興味を抱いて、研究をしている人がいるなんて、今まで思ってもみなかったからです。そして、次の吉田君の発言でわたしは、更に驚いたのでした。

 「アハハハ。実は、森さんをここに連れて来たのも、半分は、それが目的だったんだ。謎の女子高生『田中かえる』は、元々はこの人が流布した妖怪だよ」

 はい?

 目を見開いて杉村さんを見ると、杉村さんはその視線に応えるようにこう言いました。

 「書いた時は、まさか広まるとは思ってなかったのだけどね。最初は、河童に近いイメージで書いたのだけど、もう随分と変わってしまっているな。今、田中かえるが人間社会の中のどんな要因の表れなのかは、全く分からない。そして、神谷君が君を『田中かえる』と呼んだ事の意味も」

 謎の女子高生『田中かえる』は、杉村さんが創作した妖怪。

 その時、わたしは、その事実に何か神秘的なものを感じてしまいました。わたしは、会った瞬間から、杉村さんに親近感に近い何かを感じていた。そして、わたしは人間関係を見る能力のある神谷君から『田中かえる』と呼ばれ、その『田中かえる』は、杉村さんが創作したもの。

 もちろん、これらはただの偶然なのかもしれません。その偶然の一致に感動したわたしが無理矢理にでも、そこに意味を求めたがっているだけなのかも。

 でも、それでもわたしは、その時、気分が高揚してしまっていました。この人なら、わたしを導いてくれるかもしれない。そしてそんな妄想を抱いてしまったのです。それで、気付いたらこんな質問をしていたのでした。

 「あの… わたし、この前、教室で授業中にこんな幻を見たんです。目の前の、男子生徒の後頭部に目と口とが現れて、『助けて』と言ってくる…

 もし、あれが意味のある幻だったとするのなら、もしかしたら、石川さんの助けてくれ欲しいというメッセージだったのかもしれないって思っているのですが…」

 その質問を聞くと、杉村さんは笑いながら少し困った風にこんな返しをしてきました。

 「あははは。いやいや、ごめん。分からないよ。全く。ただ、意味のある幻だったとしても、石川さんのメッセージではないと僕は思うな。石川さんの件は、きっと『池袋の女』の類じゃないかと考えているから。

 もしも、何らかのメッセージだとしたなら、様々な事に思い悩んでいる、君自身の心の声というのが一番有り得ると僕は思う。あまり、気にし過ぎない事だよ」

 わたしはその回答に、少しガッガリしていました。無難な返事です。杉村さんはいい人だけど、わたしが期待をするような、運命的な人ではないのかもしれない。そして、だからその時、質問をするまで気が回らなかったのです。

 果たして、『池袋の女』が何を意味しているのか。そんな単語、今までにわたしは聞いた事がなかったにも拘わらず。

 それから、もう用件は全て済んでしまったようで、吉田君が帰るというので、わたしも一緒にお暇しました。

 ――少しだけ、残っていきたい気持ちもあるにはあったのですが。

 

 状況に変化があったのは、それから数日経った後でした。神谷君が、再び石川さんの件で頼みごとをされたのです。と言っても、今回は石川さんからではなく、なんと石川さんのお母さんから。しかも、霊視ではなくて、お祓いだそうです。

 専門家に頼むと高いお金がかかるし、ばれると父親に怒られる。それに、必要以上に騒がれるのも避けたい。なんとか、穏便に事態を治めたいので、皆には内緒で人形の霊を鎮めて欲しい。依頼内容はそんなものでした。

 「どうしろって言うんだよ」

 神谷君はそう愚痴を言っていました。

 それも当然でしょう。彼にそんな事ができるはずもないのですから。

 普段なら、わたしがお喋りに加わるなんて事はないのですが、今は話を聞きつけた久留間さんに巻き込まれるカタチで、わたしも参加をしていました(彼女に話が知られている時点で、既に内緒になっていませんが)。

 それを聞いた吉田君は、こう返します。

 「祓ってやればいいじゃないか」

 「あ?」

 「石川さんのお母さんは、君の事を能力者だと思い込んでいるのだろう? だったら多分、少しそれっぽくするだけで、簡単に騙されてくれると思うよ。人間はね、自分の信じたいものを信じる生き物なんだ。それをその人が信じたがっているのなら、君本人に騙そうとする意志がなくても、勝手に相手が騙されてくれるさ」

 騙す。

 言い方は悪いですが、要は石川さんのお母さんの気分を楽にしてあげる為の、儀式みたいなものでしょう。

 わたしも、吉田君の意見に賛成でした。ほんのちょっとの労力で助けてあげられるのなら、やるべきだと思う。

 「そんな事言っても、俺にお祓いなんかできる訳ないだろうよ。どうせ効果ないぞ」

 「それは大丈夫。多分、効果あると思うよ。さっきも言ったけど、石川さんのお母さんは、半ば勝手にこれで安心だと思い込むからさ。お祓いの効果って、そういうものだろ?」

 そこで久留間さんが話しに割り込んできました。

 「でも、いくら気分がそれで楽になったとしても、人形が玄関前にまたやって来たら意味がないのじゃないかしら? そうなっちゃったら、むしろ以前よりも酷くなりそうな気もするけど」

 「それも大丈夫だと思うよ。少なくとも、同じ人形はやって来ない。その人形を、埋葬しちゃえばいいんだ。土の中にね。誰かのイタズラだったら、そこに人形が埋まってる事さえ知られなけりゃ、それで解決するはずだと思うから」

 「なるほど。それで、イタズラかどうかって事も判明する訳ね。面白そうじゃない」

 久留間さんも、どうやら賛成側にまわったようです。ただ一人、神谷君本人だけは渋っていましたが、皆から説得されて結局はやる事にしたみたいでした。

 ――当日。

 あの例の森の中で、そのお祓いの儀式は行われました。本当は、久留間さんがそれらしい衣装を用意しようとしていたのですが、神谷君が猛反対をしたので、普段着でやる事になりました。

 石を積み上げて造った、小さな祠のようなもの、その手前、しめ縄で飾られ囲まれた中にある50センチ程の深さの穴。

 その前に神谷君が立ちます。手には、わたし達は初めて見る、渦中の人形が抱えられてあります。

 わたし達は、後ろでそれを見守りました。石川さんと、石川さんのお母さんも当然、そこにいます。

 神谷君が、何か祈るような仕草をしてから人形を穴の中に放り込みました。そして、それから草履の鼻緒を入れる。草履の鼻緒には、子供の霊を鎮める効果があると信じられているからだそうです。もちろん、杉村さんの意見です。それから、土をかける。それに続くようにして、吉田君と久留間さんが横から前に歩み出てきて土をかける。人形のお墓は、そうしてあっという間に完成しました。

 「さて。これでもう大丈夫なはずです。少なくとも、この人形が復活をする事はないでしょう」

 神谷君はそれから、嫌がっていたにしては妙に身の入った演技で石川さんのお母さんに向けてそう言いました。神谷君が言い終わると、演技が効いたのか、石川さんのお母さんは何度も彼にお礼を言っていました。

 石川さんはその時、何故か別の方向を見ていました。だから顔が見えない。どんな気持ちでいるのか、その所為で予想する事もできませんでした。わたしは思います。彼女の、母親に対するややトゲのある物言い。或いは、彼女は努めて自分の母親を見ないようにしていたのかもしれません。

 ただ。それとは関係なしに、石川さんのお母さんは安堵の表情を浮かべていました。わたしは、それに少し嬉しくなりました。

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