第四章 第二節 TPP中国加入申請問題
一つだけ補足と言いましょうか、二節目として以下の内容を加えたいと思います。
提案ではなく、本来はしない類のお話を、敢えてお話しなくてはならないと痛感し、第四章の締め括りとして書き記したい思います。
TPPに対して中国が加入申請している話に対してです。
これは決して、断じて許してはならない話です。
その理由はこうです。
仮に、TPP加盟国として中国を加えたとしましょうか。
すると中国は最大の商品である「十四億の消費力」を総動員して来るでしょう。
今は世界中が不況で困っているのです、生産するより巨大な消費市場として立ってくれた方が、加盟国にとっても大助かりなハズですから。
しかし、今の中国にそんな余裕があるのでしょうか。
実際、中国最大手のゼネコンである中国恒大の倒産危機回避の為、仲裁に入った中国にとって、中国恒大の負債肩代わりは決して軽い負担ではないハズです。
そもそも中国自身が儲かっているのなら、なぜゼネコンが行き詰るのでしょうか。
そんな時に習近平さんが、こんな事を言い出したら、どう思われますか?
「TPP加盟国に限定しますが、加盟国からの購入品であれば通用する『配給券』を全人民に配給致しましょう。大いに購入しなさい」と。
ギョッとするんじゃないんでしょうか。
確かに中国14億が総力を挙げて爆買いをしてくれるのなら、喜んでTPP加盟国は大増産を開始するに違いありません。
原料を大量に買い込み、加工品を大量に作り、在庫をもすぐに搬出し、置いたそばから売れて行くでしょう。
そのお金は湯水のように中国の国庫(赤字国債かも知れませんが)を枯らして行くハズです。
それでも習近平は平気な顔をしているでしょう。
そして外貨残高が、いよいよ残り僅かとなった時、彼は世界に向けてこう切り出すと考えています。
「残念なことに我が国は、財政破綻に至りました。しかしTPPの盟友を初め、世界各国が今少し、我が国の国債を買い支えていただければ、この危機を回避できるのです。どうか賢明なご判断をいただきたいと考えます」と。
何のことはない、十四億の消費市場を逆転させた経済テロを全世界、殊にTPP加盟国に対して突き付ける訳です。
TPP加盟国側は堪ったものではないでしょう。
今の今まで爆買いしてくれていたのですから、注文通りに作りに作っていた訳です。
原料から加工品、在庫まで大量に抱えているでしょう。その全てがキャンセルになるかも知れないのです。
それが嫌なら、赤字国債を買ってくれと迫って来るのです。
そして不良在庫が捌き切れるまでは不良債権を買わされ続けるでしょう。
世界は未だにコロナ禍であり不景気なのですから。
中国自身は伊達に14億も人口がいて、内需経済を回せている訳ではありません。
決して楽観視できる状態ではないでしょうが、他国に比べれば余程マシでしょう。中国だけならば、自力で立ち上がって来るかも知れません。
むしろ深く怨みを買った分、仕掛けるなら今しかないとさえ判断し、一帯一路をブラッシュアップして、経済支配をゴリ押しして来るかも知れません。
少なくとも私が習近平ならば、まだ覇権の野心は諦めませんし、起死回生の機会を待ちつつ、機会を「作り出す」べく努力します。
以上の理由から、私はTPPの中国入りを断固として拒否するものと考えます。