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我が献策  作者: 火御成飛
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第四章 海外貿易対策

 国庫から持ち出す話ばっかりなので、少しは儲けになるような、そんなお話もしたいと思います。

 日本国経済が立ち直って黒字になるような、そんなお話です。…なるといいな。

 第二章でコロナワクチンについて触れましたよね。

 コロナは、例えれば世界の貿易街道を荒らしまわっている山賊団ですが、街道のみならず、都市にまで攻め入って荒らし回っている程です。もはや山賊というよりヴァイキングという感じですね。

 そんなヴァイキングを鎮圧してくれるのがワクチンです。

 貿易街道や都市…即ち、相手国へワクチンを供給して鎮静させる事に成功すれば、自国を鎮圧させる前提ではありますが、貿易と観光が再開できる訳です。


 この外交を中国も行いましたが、ワクチンがそもそも信用されなかったり、効果が今一つだったり、そもそも中国という国家自体が信用されていなかったりして拒否されたりもしました。


 とは言えコンセプトは良かったのです。ワクチンの質や、国の信用が問われただけで。

 ならば、我が国では通用しないのかと言えば、使えるでしょう。

 問題なのは我が国で国産ワクチンが未だに開発されていないという点です。

 しかし、そこは塩野義製薬様を初め、国内の製薬会社様、各社様方が各々に努力されておりますから、年内中には生産が調うでしょう。


 さて、そうなると相手でしょうね。

 一時期は医療大国なんて呼ばれていたようですが、コロナワクチンに関しては後発もいいところです。

 生産は初期スタートとなれば、当面、外国へ回せる数は国産からはないと思うんですよね。

 むしろ買い付けた海外産の不安定な数から、相手国への支援として供出する事になるのではないでしょうか。


 とは言え、なぜ、そこまで日本側からしなければいけないの? と思われるかも知れません。しかし考えて見て下さい。

 本気で、その相手国と貿易をするのでしたら、相手国が元気になってくれない事には、商売にならないと私ならば考えるのです。ただの搾取になってしまい、最終的には市場として滅亡しまっては困るではないですか。

 そんな事態になっては投資した事自体、損益というものですし、そんな酷い仕打ちをした日本国への信用は地に堕ちます。


 まず相手国との交易がしたいのであれば、相手国を豊かにする事です。取引市場が豊かであれば、自ずと大きな取引ができるというものです。

 とは言え、言われるがまま与え続けるようでは、単なる依存市場になりますので、本来の意図とは異なり、中国が行ったような経済侵略に発展してしまいます。

 適度に与え、適度に自立を促さないと、市場価値が育って行かないところが難しいところですね。


 生産市場にしたいのであれば話も別ですが、アフリカの某国のように敢えて「豊かさを嫌う」国のような、決して物質的豊かさこそが幸福なことではない、と言い切る国もあります。これにも一理あります。

 とは言え、資本論を地で行く様なマネ事だけは決してオススメ致しません。


 さて、我が国ではコロナ禍によって生産ラインのパーツ調達にも支障が出ており、自慢の自動車貿易にも陰りがあります。

 加えて韓国間も険悪ですので、半導体生産も芳しくありません。まあ、もともと人材が流出しており、新製品開発自体に陰っていた事情も筒抜けなのだと考えられますが。


 しかし何か売らければジリ貧ですよね。

 少なくとも新たな人材世代が育って、その流出を阻止する政策と魅力ある報酬、福利厚生を打ち出せるような国造りが調うまでの…時間稼ぎ程度ですか。それでも欲しいところですね。


 その大前提として、まず国産ワクチンだろうが海外ワクチンだろうが問わないので、相手国のコロナ禍を鎮静化できるだけのワクチン確保が必要になります。

 半端な数を供出して貸しを作る事は出来ますが、やはり鎮静化できない事には貿易再開には踏み出せないでしょう。

 なので思い切った大胆な「投資」が求められます。

 即ち、貿易相手国、丸々一国を鎮静化できるまで徹底的に付き合う事です。『タダ同然でワクチンを国で買い上げ、供出し続けて』。

 当然、日本国の鎮静化が優先されるでしょうから、見極めは慎重に行わなければならないでしょう。

 まず自分自身が自力で立ち上がる事。これは日本国が海外諸国へ信用を安定させる為にも絶対条件ではないでしょうか。

 であれば本来、ワクチンも国産ワクチンである事が望ましいのですが、なかったものは致し方ないのです。

 生産に目途は立っているのですし、今後の増産に期待致しましょう。

 

 これで日本国内が鎮静化できれば、長い視野で考えた時、相手国へと国産からもある程度、供出が見込めるというものです。

 海外産からも買い取り分を回して頂いたとして合算した分、全ては回せないにしても相当な数になるでしょう。

 確保できたワクチンは、貿易回復を望む「一ヵ国」に絞り込んで、鎮静化を図るべく可能な限り供出します。

 この一手だけでも、相当大きな投資になるでしょうが、国や民族によっては「忘れられる」相手もいらっしゃるようですね。そういう相手とは貿易を組まない事です。


 以上までが『貿易相手国選びとして、双方に求められる必要な条件』です。


 さて、この「一ヵ国」をどこに絞り込むかと考えた時、どこを皆さんは思い付きますか?

 私は「インド」に思い至りました。

 インドでは自国で二種のワクチン開発に成功し、外国産ワクチン二種も認知されていますが、なんせ人口が十三億六千万人です。幾ら生産しても、そう簡単に鎮静化できるものではありません。

 もし既存のワクチンに抵抗できる新種でも発生しようものなら悲劇しかないでしょう。

 ですから火消しをするなら急がねばならない国の一つです。

 加えて日本国にとって要衝国であり、関係も良好です。

 そして人口ですね。消費市場として豊かに成長してくれれば、日本の生産品を大量に消費してくれると考えます。

 現にインド現地で今「柿の種」の現地版が売れているそうです。勿論、味はそのままという訳ではなく、現地のカレー風味に寄せているそうですが、ポリポリとした、あの食感がウケているそうですね。

 

 と来れば、日本国内には、まだインド国内に対して訴求できる商材が眠っている可能性がある訳です。

 日本食のままで「美味しい」と言ってくれたのは、なんと「日本製のレトルトカレー」。インド人留学生相手に、インドのバターカレーと日本製の代表的な幾つかのレトルトカレーを食べ比べて貰ったYoutube動画があるのですが、その結果「全く違うものだけど、どっちも美味しい」との回答。

 つまり日本人の味覚のままでも、受け入れられるものは存在する、という訳です。


 ただ、そこに慢心して日本の食文化をゴリゴリ全て持ち込んで行ったら、間違いなく嫌われるでしょう。


 中国経済市場に対する日本経済市場の評価は膨大な消費力と運搬の近さ、低コストでした。

 しかし、それを覆してあまりある野心が露わになった今、中国経済は「隔離」すべき対象であると私は訴えます。あまりにも危険です。


 その代わりインド市場を豊かにする事で消費力を旺盛とし、日本製品を買って貰えれば、日本経済回復に大きな助けとなるでしょう。

 かつまた「爆買い」のような愚かな消費依存をする事を許してしまった事により、結果として経済侵略を許してしまった過去の教訓から、相互に対等の売買を行うべきであると考えるのです。

 

 ワクチンの一極投与は良いでしょう。インドも親日関係にあり、民族も日本人を嫌悪しないはずです。助ける投資に値し、投資は実ると考えます。

 そして、しばらくは日本国もインドも、まずは内需回復が主軸となって行くはずです。そんな中での貿易になるのではないでしょうか。

 つまりインドを消費市場として本格的な商売を行うのは未だ先。今は、そういう構想を相談しつつ、自国のコロナ禍を平定しましょう、という結論です。


 その繋ぎの海外貿易、これに対する三つの提案をして行きたいと思います。

 まずは第一の提案「オニギリ」について提案致します。

 

 まだインド市場としては双方回復の途上であり、到底、どうこうを考える段階ではないハズです。


 そしてもう一つ、日本国には「皮肉な」メリットがあるのです。

 コロナ禍で強行した五輪での唯一、私が「国に対して益になったと言える」と感じている事は、緊急事態宣言下、二十時以降で外食店、喫茶店が軒並み店仕舞いしてしまう中で唯一、食事を提供してくれていた存在、コンビニ飯からの「和食文化発信による『おいしい』」の連発です。


 と、同時に「妙だな」とも感じていました。

 彼らは母国にセブン・イレブンはあると言っていましたね。しかし本気でオニギリのパッケージ開封に苦心しているジャーナリストの方もいらっしゃいました。

 そんなオニギリを頬張り「美味しい!!」と絶賛して配信してくれたのです。

 これは国益として考えて見れば、メダルなんかよりも遥かに大きな価値があると考えています。


 それにしても、やはり妙です。…日頃から「我々、日本国民が」食べなれているオニギリ一つで、あそこまで絶賛してくれるなんて。

 多少、初めての味覚+ヤラセ感を差し引いたとしても、かなりの評価です。


 つまり。


 彼らの母国には『セブン・イレブンは存在していますが、オニギリは商品棚には存在していません。発注メニューにも存在していませんし、物流倉庫内にも存在していません。しかし消費者の立場である記者達の味覚には十二分に美味しく合格した』。という事ではないでしょうか。


 これは商機ではないでしょうか。

 直ちに米英を初め、西側友好国内でセブン・イレブン他、コンビニをチェーン展開している国があるならば、生産ラインを組ませるべきではないでしょうか。


 米ならば我が国に売る程あるのです。

 海苔もあります。具材もあります。

 あとは鮮度の問題であり、これは現地で生産し、物流ラインの構築を確保する必要があります。


 低価格で売ってナンボのオニギリです。庶民の和食オニギリです。

 五輪の選手や、五輪を取材したジャーナリストを総動員して「東京五輪=オニギリ・庶民和食=今でしょ」みたいなCMムーブメントを作るのです。

 きっとバ…コホン、大いに歓迎される食材になると確信致します。何しろ現地人がツィッターで実食し、あれだけ食レポを配信したのですから。


 次に第二の提案「ジャパニメーション」です。 

 幾つかの名作・傑作が、日本アニメとして海外で興行収益を上げています。これは海外で日本アニメが受け入れられている証拠でもあります。


 しかし海外で「ジャパニメーション」として評価を受けて通じるのは、ほんの一握りどころか、一粒です。

 真に精鋭中の精鋭でなければ受け入れられていません。さすがに世界とて目が肥えていらっしゃいます。


 一度、名作・傑作が完成すればコンテンツーリズムで経済が一時的にせよ活性化されます。それ程の力を、今や「ジャパニメーション」は持つに至ったのです。

 逆に言い換えれば、資本主義お得意の粗悪な大量生産品は一切売れず、『匠達のチームワークによって始めて結実した奇跡の工芸品』こそがジャパニメーションと言えるのです。


 そして、この「ジャパニメーション」が海外貿易として支え得る価値については、興行利益の数字と、それに連動して活性化する経済利益を見れば明白です。

 これを国策として支援する事は、決して間違った判断ではないと断言致します。


 とは言え。公共の国が営利の製作集団相手にどうしろと? というお話になるかと思います。

 そこで提案がございます。


 どこのアニメ制作現場でも共通の悩み種の一つに「住居問題」は付いて回ります。

 そりゃー製作事務所が広い方が、どこの会社だっていいに決まっています。

 しかし、お家賃が高い。そこは控えたい。

 そして公共様は「ハコ」絡みについてのお話は得意分野でございましょう。


 そこで、こういう制度を提案する次第でございます。

 国内外を総括して、三年(かどうかは応相談でございましょうが)に一度、統計し、最も興行収益が高かった製作会社様へ国営直下の「国営管理製作事務所」の使用権利を与え、賃貸利用料についても援助金を出して、破格の安さで支援するとします。

 加えて、この「国営管理製作事務所」には併設して単身者向け公営住宅と、ファミリー向け公営住宅が併設されており、お家賃もまた支援対象とします。

「国営管理製作事務所」に入居が決まった製作会社と契約していた外注の方も含め、製作スタッフの方は優先的に入居権を取得する事ができ、これによって原画回収時間を大幅に時短する事ができるようにします。


 そして三年後。

 再び国内外の興行収入成績統計を行い、トップとなった会社に対して入居権利が譲渡され、もし先住していた製作会社が退去となった場合、製作中の作品の都合とリフォーム期間の勘案を図り、退去期間を三ヶ月基準として、延長期間を勘案して加えて通告します。

 その間に新しい入居先を探していただき、退去していただきます。


 スタッフ用の単身者、ファミリー向け公営住宅の扱いも同じであり、製作会社の都合に準じて退去となり、リフォームが入ります。


 そして新しい製作会社が入居出来た年から実測とし、再び三年(制度年数は応相談)後、再び、統計を取って入れ替えを行うのです。


 この過程の中で、見事、興行収益一位を獲ったにも関わらず、製作中の都合によって辞退される会社もあるでしょう。

 この場合、二位へと繰り下げ当選となり、同じく二位の会社でも辞退があれば、三位へと繰り下げて行きます。


 国策によって住居・事務所問題が軽減できるのであれば、製作会社、関わるスタッフも大いに喜び、士気も高まりましょう。

 何せ、生活の中で最も生活費を圧迫するのは住居費ですからね。


 しかし一方で無法地帯化されても困ります。

 国策としては優遇致しますが、集合住宅に付き物の掟「騒音」「振動」「異臭」、「漏水」は違いますね。少なくとも前者三つを守れず苦情が相次ぐ様でしたら、製作スタッフ個人、または製作会社そのものに対して退去を求める次第でいかがでしょうか。


 政府側が「ジャパニメーション」の製作現場について詳細を知りたいのでしたら、ちょうど良いアニメがあります。

アニメ「シ〇バコ」を、ご担当の方に参照させていただきますようお願い申し上げます。

 アレは業界研修用アニメだと、私は感じております。


 提案も最後となりました。三つ目です。

 日本政府発行による「和食職人ライセンス」制度の創設です。


 日本政府が直々に、和食職人という存在を免許制度化…もともと和食免許はあるのですが、それを国家免許にまで引き上げ、かつ保護する為の権利を与えます…を創設し、内閣官房長官直々に発表していただく、というものです。


 制度内容は…

Sランク(国宝級)をトップに、

Aランク(事実上の主戦力。外交官待遇。ただし外交官権限はありません)、

Bランク(Aランクに随行する助手スタッフの為のものです)

 以下、C~Fまでが存在します。


 ただし、国家が海外で通用するプロとして認めるのはBランク以上であり、C以下は『政府として和食食職人としては公式には認めず、未だ修行中の身』とします。

 あくまで政府が認めないのであって、料理界が発行する免許まで全否定する訳ではありません。


 またライセンスは三年で失効し、再び選抜試験が行われます。

 そこで順位変動や辞退があれば、日本国が公式に認める和食職人もまた変わる、という事になります。


 そしてライセンス創設を発表後、早々にSランクからA、Bランクまでの席を埋めねばなりません。

 この席には定数があります。かつまた人種、年齢は問いませんが、あくまで政治と外交の為のものなので「日本籍に属し、国家反逆行為に加担しないという誓約書」にサインする必要があります。

 これを拒む場合、就任できません。


 逆に言えば、この座に就任できれば日本政府が公式に認めた「和食職人」として国際社会に発信される訳で、日本政府直々の依頼で、短期間ではありますが、赴任地での料理創作活動を行っていただくことになります。

 名声は間違いなく確固たるものとなり、三年の後、辞退したとしても既に、その名声は不動のものとなっているでしょう。…慢心に驕っていなければ。


 ライセンス試験は上位程、実技を重視し、下位は筆記試験も含みます。

 S、A、Bランクについては、もはや実技のみと言っていいでしょう。


 この制度を創設し、政府公認のライセンス和食職人が決定すれば、是非、派遣して欲しいという依頼が日本政府へ来るはずです。

「これをコンテンツーリズムとして利用するのです」。Sランクの国宝級が海外へホイホイと渡航されるのはどうかと思うので、国内での対応になるかと思うのですが、Aランク職人を派遣する事で日本の「和食文化」を発信し『中華と混同されない、和食とは日本国独自の食文化であり伝統芸能である』ことを誤解なく発信していただくのです。


 そして日本からは調味料の消費が見込めますね。

 現地で大きな消費を呼び込めない「高級和食」ではなく『庶民和食』も同時に発信し、現地の食材を利用した和食文化発信も行っていただけたらと思います。

 加えて彼、ないし彼女が着た、使ったものに興味や動向が向くのは無理からぬ事であり、日本製品を是非ともご利用していただきたいものです。


 以上までの三案が「繋ぎ」としてお役に立てたら幸いな次第です。


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― 新着の感想 ―
[良い点] うーむ。この章はあまり賛同出来なくて申し訳ありません。 [気になる点] まず中国よりインドに目が行くのは一見素晴らしい。米に関しては「農協」をどうすかですね。何しろ正しく「田標」ですから与…
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