第三章 研究費
私から切り出しておいて何ですが、いきなり「研究費」と言っても、これはもう巨大な枠組みです。
第二章で触れたコロナワクチンの研究にだって、国庫から出せるものならば研究費を最優先で回すべきだと思いませんか?
コロナが仮に鎮静化できたとして、ズタズタになった日本産業、観光業界も含めて、海外へ改めて売り出せる「対外貿易商材」は?
現在の日本国が保有している生産力は?
…既存にあぐらをかいているから失敗するのです。
アフターコロナに求められるのは新商材であり、コロナ禍中である今は、その研究を行うべき時期ではないかと愚行する次第な私であります。
では何を研究すれば?
先述したように、コロナワクチンは喫緊ですよね?
他には? …ほぼ毎年、天災が日本国へ襲い掛かって来ることは、もう実感している事と思います。
去年はラニーニャでした。
今年は何もなくて被災に見舞われています。
ではエルニーニョが発生した夏季では、一体どんな天災が襲って来ると思いますか? その為の備えは? 保険に加入している? いや、それは違うと思うのですが…。私は天災に対する様々な研究を行うべきだと思うのです。
少なくともエルニーニョが発生した地獄の夏は、首都直下型地震が発生するより間違いなく近年でやって来ます。その対策はやっておくべきだと、私は痛切に訴えるものです。
では、ちょっと考えてみましょうか。
うーん、エルニーニョの夏…地獄の暑さ…空調…電力…停電? エネルギー問題については別の章で触れたいと思いますが、現状の電力では間違いなく大停電が発生するか、酷暑で死人が出るかの選択になるでしょうね。
次は前後するかも知れないですが、豪雨被災でしょうか。大陸から、どれだけの寒冷前線が蛇行して来るのか解りませんが、そんなものと熱波が日本の上空で激突したら、凄まじい豪雨が降り注ぐでしょう。
私としても一階を車庫、二階を倉庫、三階、四階を住居にした「濁流に呑まれる前提の屈強な鉄筋コンクリート住居」でない限り遠慮したいですね。
平野部では…竜巻も発生しますね。海上もでしょうか。やはり鉄筋コンクリートのシェルター住居が欲しいところです。
ちょっとだけ考えただけでも、エルニーニョに対する無防備さは歴然だと思うのですが、皆さんは、どう思われますか?
研究とは、そうした悲劇が現実になる前に対策を講じる為でもあり、かつまた利便さを追求して行われる為ものでもあります。
とは言え、自公時代にカネは積むのですが、明確な研究方針を国としてどうこう、というものを打ち出さないんですよね。
それとも打ち出せない仕組みになっていたのでしょうか。
ハッキリしているのはコロナ禍という時間の中で、明確な危機に加え、他にも研究費を求める分野は数多あるという事です。
私はこの研究分野、全てを肯定致しますが、同時に国庫予算にも上限がると、残念ながら申し上げるのです。
理想論主義者である私がですよ?
ですから限られた研究費という枠の中で、何を優先するのか「トリアージ」…つまり優先順位をつけねばならないという現実がある訳です。
ただ、そのトリアージを行っているのが学者なのか政治家なのかで、トリアージは随分、変わって来ると思います。
学者であれば、何かの研究や学説、そして人脈を優先するかも知れません。
政治家であれば、国防上の何かや、貿易上の何か。つまり国家を基準に考えるのではないか、と思うのです。
私は理想論主義者ですが、独立した祖国なくして研究も何もないと考えておりますので、政治家寄りの考え方かも知れません。
では、もし国防について研究を依頼するとしたら何か? と尋ねられたら、私は自衛隊用に、ある装備の開発を依頼したく思っています。
被災時に、自衛隊が呼ばれる事態は、もはや避けようがない昨今となっています。
ですが、被災からの国民救助は「ついで」ではなく「立派な」国防任務だと私は考えます。
その為に必要だと考える装備です。
被災時において最初に必要なのは「情報」だと考えています。
しかしスーパー台風一九号が示した様に、あったハズの連絡線が寸断される事態も昨今では想定しなければ、いけない状態だと考えます。
その最悪の渦中へ強行偵察の為、必要な装備です。
言うまでもなく、スーパー台風の被災地で、連絡途絶しているところへ偵察して来いという任務ですから、紛争地への強行任務並に厳しい任務です。
出来て当たり前ではなく、生還できたら勲章を出してあげて下さい。そこは死地かも知れないのですから。
孤立した現地で柔軟かつ臨機応変に行動し、同時に情報収集という任務要請に応じて移動し、かつ生還しなければならない。
特殊作戦群並の要求です。
情報回収担当者に当たる隊員に、まず「眼帯型台座」を装着します。ただし眼帯より硬めの素材です。
この眼帯の表側へ小型カメラ。裏側には網膜へレーザー投影する医療用メガネから技術流用された小型モニターが装備され、ゴーグルのような感じで眼の周囲に密着装備されます。
網膜へのレーザー投影技術による半盲者用医療メガネは、既に開発を終えているメガネです。量産化はされていないハズですが。
これは内蔵された充電型電池で動き、視線のピントによってズームが自動で反応する仕組みになっているものとします。
使い方を訓練しないと酔ってしまうでしょう。
次にインカムを耳にセット。
そしてヘルメットを装備。ただし、このヘルメット、日差しが付いていて真正面から風速百mの突風直撃にも耐え得るゴーグルが装備されているものとします。風防もそうですが、飛来する枝葉、雨水などからレンズを守る為です。
最初からフルフェイスにしないのは、吐息でレンズが曇らないようにする為です。
小型ズーム搭載カメラ、網膜投影型モニター、インカム、そして首にチョーカーマイクを装備。これら全てを、腰に装備した小型送受信中継器によって送受信し、更に後方に待機している水陸両用指揮車から増幅して送受信し、現地指揮所、並びに官邸へ現地のライブ映像を「分隊単位」で配信し、増援規模、資材手配の判断の先遣判断として即断即決に用います。
なお、このポーチには、各装備の予備電池が入っているものとします。
部隊運用は東西で中隊単位の配置とし、有事あらば、一方面に対して一個小隊単位で出動するものとして運用し、現地で分隊まで散るかどうかの判断を問える様、分隊単位で装備を持たせておきたいと考えます。
運用訓練は総員に施し、万一、装備隊員が「行動不能」に陥ったとしても、他の隊員が任務を引き継いで偵察を続行するものとします。
現地への侵入はスーパー台風での大氾濫時、水陸両用車にゴム履帯を装備し、空輸を挟んで時短、輸送車で行けるところまで運び、規制線から先は自走で。
大規模地震に遭っては津波もある為、空挺降下が良いのではないでしょうか。
この全てをこなせるとなると、もはや特殊作戦群に匹敵する人材と言えましょう。
…どれだけ過酷か、ご理解いただけますか?
生還できた暁には、勲章を下賜していただけるか、給与…の使い道が少ないのが自衛隊の皆さん達なんですよね。
やはり、勲一等を、お願いしたく思います。
この偵察装備と、もう一点。研究して頂きたい装備があります。こちらはすぐにでも実用できると思うのですが。
夏季豪雨被災地では、狭くて重機が入れず、致し方なく人間の手による瓦礫撤去作業のバケツリレーを酷暑下で強いられる事が、ままありますね。
中腰、立ったまま、いずれにしても激しく隊員の体力を摩耗することは間違いありません。
これに対して、パワードスーツを投入して欲しいのです。
パワードスーツと言っても電動式ではなく空圧式のものであり、既に既存のものが民間で使用されている実績があります。
何も被災地に入った総員に装備して欲しいのではありません。瓦礫撤去のバケツリレーに入ったチームにだけ、徒な消耗を避ける為にパワードスーツを装備させて欲しいと考えるのです。
彼らは日頃から鍛えていますから、消耗が少なければそれだけ早く回復できます。
という事は、その分だけ、現地に留まって任務を継続できるという事です。
根性論ではなく、スタミナもまた有限な資源であり、有効な装備を使用して効率良く運用するべきではないでしょうか。
そうした効率的で柔軟な思考のできる士官がいなければ、有事に際して敵勢力を相手に真に有効な装備活用が出来るとは考え難いと私は考えています。
さて、最後にですが。
ここまで提案して来ておいて何なのですが、恐らく研究費そのものに対して、政府は、あまり口出し出来ないんじゃないかと考えています。
その辺り、私が無学なばっかりに好き勝手、書いて来ただけでも申し訳なく思うところですが、しかし国庫から研究費に該当するものを融通されているのでしたら、是非とも国家・国防を優先して頂きたく思うところです。
決して学術行為を貶すものではありませんし、その権威と自由は尊いものですが、それは大学や企業の予算で賄うべきではないでしょうか…という事を最後に言いたかった訳ではないのです。
敢えて、その自由にならない予算に対して、その決定権が学術界なのか政府なのかはともかく、どうあっても譲れない上位何枠かは、お決めになって頂いたあとで、一枠だけ残していただけないかと思うのです。
そして文科省が、政府宛てで予算が欲しいと申請している『全ての研究を一つも漏らさず』リストアップして欲しいのです。
その上で官房長官が政府のHP宛に、国民全てに対して『研究しても良いと思うものに対して一票を投じて欲しい』と呼び掛けて見てはどうでしょうか。
勿論、そのままではサイバー攻撃の餌食になるのは必至ですから、もう一つ何かアイデアが必要なのは理解しています。
ですが、五Gの時代に民意を反映して国民の納得を得るというのは、とても素晴らしい国の在り方だと考えるのです。
しかし、ご指摘をされる間でもなく、このままでは悪党共の好き勝手にされるのは目に見えています。何とかしたいのですが、さりとて、まさか選挙のように紙なんて使った日には何億費やすか考えたくもありません。それでは本末転倒です。
…恐らく、何百、いや何千という申請の中から、たった一つの研究を「救出」する行為なのでしょう。
しかし私は、その行為を無駄とは決して考えておりません。全ての研究者の情熱と研究行為を平等に肯定し、そして機会を与えたいと思うのです。
これは間違いなく、ただの理想論であることは理解しています。しかし敢えて言わせていただきたいのです。せめて一度だけは彼ら全ての研究者達へ機会を与えていただきたいと願う次第であります。