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  作者: 小説は小説家
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3日目 第1話

今日はサービス回です。

……サービスとはというツッコミが聞こえて来るような気もしますが……。

 翌日、日曜日。宿題なんかはやる気力もなく、とにかく僕は時間を持て余していた。なんでもいいからやることがほしい。宿題以外に。

 何も考えず、無気力に音楽プレーヤーをスピーカーに接続して、電子音の強めなオタク曲を再生する。こういう脳死的で曲作りに時間のかかっていなさそうな曲を聞くと、僕の無駄な時間も有意義に使えているように錯覚してしまうから不思議だ。

 ……一曲聞き終わって、なんだかもう飽きてきてしまった。あまりにもやることがない。昨日みたいに午後になればレイの家に呼んでもらえたりしないかな。……でももうそれは昨日やったし。

 そういうわけで、僕は妖精を呼び寄せてみる。妖精はどうやら僕の願いに反応して現れたり消えたりするようだ。僕の内心の願いを表に現す装置みたいな感じだろうか。

 羽虫の群れが僕のクローゼットから這い出してくる。僕はもう受け入れているけれど、初めてこの部屋に来た人がこれを見たら不気味がるだろうな。……この部屋に入れたことがあるのはレイだけだけれど。

「んー……呼び出したはいいものの、お前らにやってほしいことも特にないんだよな……肩もみなんかできるか? 肩もみしてみてくれよ」

 羽虫の群れが僕の方へ飛んでくる。僕が指示したこととは言え、多少不気味さも感じるが、まあいい。羽虫は僕の顔の横を通り過ぎて、僕の方の部分の服の下に入りこんできた。服の上からではなく、服の下から直接肩をもんでくれるらしい。多少くすぐったさを感じつつ、羽虫たちのしたいように任せてみる。……服の下で何が起きているのかわからないが、とにかくただただくすぐったい。かゆかったり痛かったりするわけではないのだが、ずっとくすぐったさばかりを感じる。これで、肩こりは本当に取れるんだろうか……。

 一体何分くらい経ったのかわからないが、おそらく脳死系電波ソングが2、3曲流れた後だったと思う。不意に羽虫たちが僕の肩の上から飛び出して、僕の肩のもぞもぞは取れた。とっさに肩を擦って自分の肩を確認してみたけれど、特になんの変化もないみたいだった。さっきのくすぐったさの余韻だけを感じる。

 肩をぐるっと回してみると、確かに肩の調子がいいような気もする。……結構いいな、これ。もしかしたら人生でも有数に肩の調子がいいんじゃないのか? やばい、伸びをした時の肩の伸び方がいつもと明らかに違う……これはちょっと今日いいことがありそうな気がする。

 ……なんて言ったって、羽虫たちにやってもらっただけのことであって、僕は何も特別なことをしていないし、今日いいことがあるのとこの肩こり解消とは全く関係がないのは分かっているけど。


「なあ羽虫たち。」

 なんの気無しに僕は妖精に声をかけてみる。一階で昼寝をしているであろう親に聞かれるのは恥ずかしいので、小さめの声で、だ。

「お前らは……何なんだ?」

 僕がずっと気になっていた問だ。こいつらは僕に何を与えるのか。なぜ僕に与えるのか。こいつらの目的がわからない。

「お前らは……童話の中に出てくるような、あの妖精なのか?」

「……」

 妖精たちは、無言のままだ。


 *


 今日は街へお買い物です。街ですよ街。私にもお友達というのがいますからね、カイとは違って。カイなんかは「友達といる時間は無駄だ」とかいうんでしょうけれど、そんなのただのコミュ障のいいわけです。友達は居たほうがいいに決まってます。友達がいることによって得られるものはたくさんあります。

 そういうわけで、私は友達とおまちに出てお買い物というわけです。早めに冬服を用意したいですから、服屋に行くのは必須、するとお金は多めに持っていったほうがいいでしょうね。うーん、どの服で行けばいいでしょうね。おまちに行くのなんて久しぶりで、おまちに行くためのルールとかもうあまり覚えていません。しかし、服を買いに行くのに服を来ていかないといけないのはなんでなんでしょう。腑に落ちません。

 ……服を着るのは当然でしたね。


 *


「街中の人全員が全裸になったらぁ」

 なんてことを呟いてるんだろうな、とつぶやきながら気付いたのだけれど、でも言い初めてしまったのだから最後まで言ってしまおう。僕は途中でやめるのが嫌いだ。

 ……後半に行くに従って小さい声になっていたつもりはない。

「……街中の人を……全裸にしてみてよ」


 この十数分になにがあったのか、というと、本格的に時間を持て余して僕は動物の本能的に少し性的欲求を感じ始めて……要は少しムラムラしてきたので、羽虫たちにぶつけてやろうと思った、というだけ。

 別に他のことをしてもいいのだけれど、僕は一日の初めの方に性的欲求を満たしてしまえば、一日のあとの方で再びムラムラしてくることはないから公立がいいんではないかと思っている。うん。

 なんでこんなことをはなしているんだっけ。


 結論から言えば、全員が全裸になった。街中の人、全員が。

 きゃあ。恥ずかしい。

 ……僕が家の外に出てみると、僕の家の周りのおばあちゃんとかがみんな裸だった。

 そう、よく考えてみれば僕の家の周りに若い人が住んでいる家なんてほとんどなかったのだった。二分くらい歩いたところにレイの家はあるけれど、それ以外に僕の家の周りに住んでいる女性の方々はみんなおばあちゃんだった。

 ……これは……地獄だな。

 家を出て一分で、家に戻ってきてしまった。

 なんつーか……萎えた。


 羽虫に物をお願いするときはもう少し詳細を詰めてからお願いしたほうがいいな。ムチムチのお姉さんとの友好関係がある世界線の僕で、……とか。……なんだこれ。時間の無駄かよ。


現在第2話の執筆中です。21:00ころ公開予定。

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