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  作者: 小説は小説家
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2日目 第2話

 しかし今私の目の前にいる大きな蝶のようなものは、確かに私が絵本で見たことのあるような『妖精』でした。そして、絵本でしか見たことのない『妖精』です。

 蝶のような青く美しい羽を持ち、胴体だけが人のような姿をしています。顔は赤ちゃんみたいな感じで、男か女か判別できないタイプの顔です。

「あなたは……誰?」

 妖精は、答えません。

「……妖精?」

「……」

 冷ややかな目で私を見つめるその眼差しが、私を突き刺しているかのようにも思えます。とても怖い……妖精って、こんなに冷徹な雰囲気を纏っているものなんですかね……? いえ、まだこれが妖精だと決まったわけではありませんから、この物体のことを『妖精』と呼称するのにはまだ早いですかね。

 さて、この20センチはあろうかという巨大な蝶のような物体は、静かに、大きく羽ばたきながら私を見つめているのです。相手が何を考えているのかわからないという状況がここまで心を揺さぶってくるものだなんて思いもしませんでした……顔が人の形をしているというところも恐怖ポイントです。こんな不気味なやつに私は、どう対処してやればいいのでしょう、無視していれば、そのうち消えてなくなるということもあるでしょうか? これが私の幻覚の類なら、一晩寝て私の健康状態がもとに戻れば、消えてくれるのでしょうか……。

 ……いや、なさそうに思えますね。なにせ、存在感が強すぎます。こいつには私の妄想や幻覚では片付けられないようなオーラのようなものがあるように感じるのです。


「とりあえず落ち着きたいの……どこかへ、行ってくれ……ないかな」

 この物体は私の切実な願いにも無頓着に、黙ったままです。


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