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創造
私が大学を終えた次に選んだ進路先は、木を道沿いに数本生やしているだけでまだ空気の味がマシに思えるコンクリートのジャングルではなく、電線一本あろうものならそれが浮いて見える緑色をしたジャングルに近い。
コンクリとコンクリの隙間に立つ木とここに立つ木々とのただ一つの共通点、それは人の手によって植えられている事である。
盆栽。それは鉢の中に自然の風景を作り出す芸術である。
鉢の中で風を吹かせる。鉢の中で何百年も時を巻き戻す。人より小さい鉢の中で、人より大きい森を創造する。
そんな盆栽の力に私は無重力感を覚え、自然と日々をこの盆栽園で過ごすようになるのだった。