06.官民共同-2
何故だ?圧倒的優位性が我が方にはあったはずだ。数も地形も我らに味方してしいた。
「た、隊長、敵戦力評価が突然黒に――」
そう言い残し、部下の首は宙を舞った。
只でさえ正体不明の遠距離攻撃により混乱する隊列に、大質量と異常な切れ味の大剣を振るう騎士のような存在が猛威を振るっている。
ようやく接近魔法による反撃が始まったが、当初の隊列は散々にかき乱され、その数も半分近くにまで減っていた。
「ど、どいてくれぇ!炎舞の魔法を放つ!巻き込まれるぞぉ!!」
それは、荒れ狂う炎の鞭、接近魔法だが、付近の者まで巻き込むほどの派手さだ。
だが、常に高速で起動する敵の騎士達に、狙って魔法を充てられる者がこの世にどれ程居るだろう。
「ま、まて!まだ俺が!あああぁぁぁ!」
味方までも巻き込んで、その炎は荒れ狂った。
「よし、や、やった……か?」
だが……。
「報告、熱量攻撃に被弾、外骨格に融解無し、内部温度上昇率――許容範囲内、危険度判定――C-」
<RT-43、六十五号車、データ記録完了>
その炎が収まり、焼けた大地に、犬崎は立っていた。
「植物資源の消失……もったいないなぁ、おい」
踏み込む一歩は、炎熱に曝されてもなお衰えず、振るわれる大剣は精密機械の如く鎧と兜の隙間に吸い込まれる。
そんな彼に通信が入った。
「お前、その草花を避けながら戦っていたな?全く、その几帳面さには恐れ入るよ」
それは、両刃のハルバード、猫街からだった。
「当たりまえだ。もったいないからな、それに、もし此処にしか自生していない希少種だったらどうする」
また、別の者から通信が入った。
「大丈夫だよ。栄養を沢山、撒いておいたからね」
と、熊丘がいった。
「ふん、まだまだ観察力が足りてないなぁ、若いもんは、見ろよ奴らの身に着けているものを、殆ど天然由来だぞ、その内、掃いて捨てる程手に入るさ」
とは、鷹羽である。
「捨てる位なら俺が貰う。それより今は邪魔者を排除するぞ」
<火力支援継続……、ゼイキン、ハ、キチット、オサメテ、クダサイネ>
その間にも、蹂躙は休むことなく行われていた。