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大衆浴場と実芭蕉

【大衆浴場と実芭蕉】


遺跡探査のための全ての準備を終え、満を持して商業ギルドへと向かう。


「本来であれば、最初にアイテムをお持ちいただいた段階で実績になったはずでした。

シュバルツさんのたっての希望と言う事で、一年間の延長をして本日無事に達成となります」

「お手数をおかけしました」


グリューナの言い回しに、苦笑いで答えるシュバルツ。


「シュバルツさんから特に無ければ、実績を認めトレジャーハンターとして、正式に遺跡に入る事を許可いたします」

「はい、お願いいたします」

「では会員証の書き換えを行いますので、一度お預かりします」

「分かりました」

「では、しばらくお待ちください」


グリューナはA4サイズのブロンズランクの会員証を持って席を立つ。




先ほど会員証と一緒に預かったアイテムを持って、上司の所へと向かう。


「ふむ、攻略済みダンジョンから、毎回アイテムを発掘か・・」


今までギルドで受け取ったアイテムを並べる。

ポーションや買い手を選びそうな武器などは、既に売りに出してしまって手元にない。


「今日のも、とんでもないですけどね」

「ん? どんなアイテムだ?」

「レーニム鋼の弓でオプションが二つです」


グリューナから手渡された弓を、自分でも鑑定する。


「剛弓に筋力アップだと? 本当にとんでもないな」

「筋力が一定以上であれば攻撃が2倍や3倍になる剛弓が、筋力アップのオプションで誰にでもそれだけの効果が得られてしまいます」


上司の渋い顔に、苦笑いでとんでもなさをアピールする。


「ポーションに混乱防止のペンダント、爪装備に鎚ときて、最後は弓か」

「剣や槍などの万人が欲しがるものもありました」

「前々回だったか、杖を持ってきた時は驚いたがな」

「ご自分が使えたはずの物を、わざわざギルドに出すなんて」

「まあ自分が持てばトラブルを巻き込まれるという言い分も分かるがな」


ランクが低い者が、良いアイテムを持っていればカモにされる可能性がある。


「クランなどの強引な勧誘に、もう少し規制がかかれば良いのですが」

「こればかりは各ギルドとの足並みをそろえる必要がある。

本人の意思なのか脅されてなのか、クランを貶めるための嘘なのか立証は難しい」


前々からクランの勧誘の方法は問題視されていたが、解決の目処は立っていない。


「もっとも、更に良いアイテムが見つかっている場合もある」

「申し訳ありません、ランクアップの件は・・」


ランクアップしていれば、売買履歴を追いやすくなる。

高ランクになる程、収支報告が求められる事が多くなり帳簿を準備して置くためだ。


「仕方あるまい、こればかりは無理強い出来ん。

尤もギルドとしても、シュバルツのお眼鏡にかなう物件を提示できなかった訳だしな」


幾つか物件はあったのだが、ギルドとしても強く推せるものではなかったのだ。


「これから遺跡に入るのか。あいつの能力が本物か分かるな」

「無い物は能力でどうにかできるとは思えませんが」

「確かに。同じギルドに所属するものとして、成功へささやかな祈りはさせてもらおう」

「そうですね」




待っている事に退屈を覚える頃、グリューナが戻ってくる。


「大変お待たせしました。会員証をお返しいたします」

「へぇー、裏面に追加されるのですか」

「実績は賞と見なされます。これでベルクの町で貸倉庫の申請も可能です」


貸倉庫の件を相談した時は、グリューナが悪い訳ではないのに、ひたすら謝り倒してきた。


トレジャーハンターとして遺跡に入れるようになった暁には、証明書も合わせて欲しいと伝えて置いたのを覚えてくれていたようだ。


「色々ありがとうございました」

「いえいえ。成功をお祈りしています」




全ての必要な物を手に入れ、シュバルツは遺跡へ向けて旅立つ。






流石はロートのシュミレーションだけあって、つつがなく最初の目的の島に上陸する。


「ふむ、何もないじゃないか。どうやって人々が暮らしていたとか分かったんだ?」


島のほぼ中央に小高い丘があり、後は草原と砂浜である。

一応、ベルクの町から一番近くて一番大きい島なのだが・・


「うーん、人々はどんな家に住んでいて、何を食べていたんだ?」


島を見る限り人が住んでいたかさえ分からない程、見事に何もない。


「『転移』の能力で時間も余裕があるし、『トレジャーメーカー』の再使用まで時間はあるから、『千里眼』や『鑑定』を使って調べるのも面白いかもな」


分野は違えど、元研究者として興味を魅かれる。




シュバルツが遺跡のある島に旅立った頃、ズゥーデンの町では3人の娘が悪だくみを始める。


「海ってどんな所なんだろうね、お姉ちゃん?」

「水がいっぱいあるらしいわ」

「生まれた町から離れる人は少ないから、知らなくても仕方無いわね」


シルヴィとロートは、ヴァイスの植林事業のお手伝いの後、中古屋の自宅分で夕食を三人仲良く食べる。


屋台で買った総菜に簡単に手を加えた物だが、シュバルツが居る場合のゴルドの定食屋へと行くという事は、普通に暮らす人々にとっては特別なのだ。


「シュバルツさんに頼んでみたら? きっと連れて行ってくれるんじゃない?」


自立を促している最中とはいえ、遊ぶ時ぐらいは構わないだろうとヴァイス。


「えっー、結構お金かかっちゃうよね?」

「トレジャーハンターで、まだ成功していないしね・・」

「そーねぇ」


何故か二人はヴァイスの目がギラッと光った様に見えた。


「植林事業が落ち着いたら、お手伝いのご褒美に私が連れて行ってあげるわ」

「本当!?」

「いいの!?」

「勿論、お姉さんにドーンと任せなさい!

(二人に居まだ秘密にしている男に、全額出させるから大丈夫よ)」


シルヴィとロートは海に行けるのが嬉しい。

だがヴァイスの笑顔に引っ掛かりを感じて、素直に喜べずにいるのも確かであった。




「びゃっくしょーん! おぉー!?」


突如襲ったくしゃみと寒気に身震いしながら、夕食をすますシュバルツ。


シルヴィとロートには固パンと干し肉と言ってあったが、『倉庫』に買いだめしておいたコッペパンに屋台の惣菜を挟む、ロートのサンドイッチを真似たものだ。

ついでに水では無く、お酒でもある。


「こんな食事風景を三人に見せたら何と言われるか・・」


苦笑いすると、ズューデンの町に居る娘たちに思いをはせる。






『トレジャーメーカー』が使用可能になると、島の調査のついでに事前に掘っておいた穴へと潜っていく。


「今回は遺跡でもあるし、アーティファクト限定で行ってみよう」


流石にアーティファクトはランダムで出た事が無く、手持ちはチュートリアルの1回10個のみであった。


「では早速。アーティファクト『トレジャーメイク』」


すぐに成功の感触が帰ってくる。


「あとは穴を掘っていきますか」


穴掘り魔法で壊れない壁まで進んでいく。

目の前に石積みの壁が現れると、自力で崩し人一人通れる隙間を作る。


「1、2・・、10個。間違いなくありましたっと」


流石に月会費として渡せないだろうが、ギルドに販売を頼むアイテムを選ぶため一つ一つ『鑑定』の能力を使いながら、『倉庫』にしまっていく。


「何々? 変化の石? 少量削って適当な金属と融合すると金に変化する・・、ヤバくないか?」


自分の背丈ほどの球を鑑定して驚く。


「これは絶対者の仮面? 全ての人を服従させるが、死ぬまで外せない? マジか!?」


目元を覆うだけのマスクにトンデモナイ能力が備わっていた。


「おいおい・・、チュートリアルと言う事で前のも良く見ていなかったが、きちんと確認しておいた方が良いんじゃないか?」


改めて手持ちのアーティファクトを一つ一つ確認するが、その性能に冷や汗が止まらない。


「正直、個人でどうこう出来る代物ではないぞ・・」


今回の『トレジャーメーカー』で得られた最後のアイテムを手にする。

珍しくかなりの長さを均等に折りたたんで、本の様にしてあるパピルスだった。


「ふぅーん? 超高速育成実芭蕉の苗召喚の書? 実芭蕉って確か・・バナナの事だよな?

まぁこんなアーティファクトがあれば、何処でも生活できるか。

・・生活? 育てる? 植える? 待て待て待て待てよ・・。

確か実芭蕉はあたたかい地域のみだったはず・・、何々? 寒冷地オプションが付いている?」


自分手も使えそうなアーティファクトがあるかもと、大急ぎで『倉庫』の中を丹念に調べて行く。


「蒸気発生装置、これは・・。タービンユニットと連動で発電、ピストンユニットと連動で蒸気機関・・、ユニットが無いから正しくお蔵入りだよなぁ・・」


『倉庫』から蒸気発生装置を取り出して調べていく。


「蒸気と言う事は・・水を沸かすんだよな? お湯にする?

ちょっと待てちょっと待て。温度は調整できないのか? お湯の部分だけ取り出せないか?」


アーティファクトの使い道に新たな光を見出し、研究者の血が騒ぎ始める。


帰りの船が来るまで、手持ちの道具でひたすら試行錯誤を繰り返していく。






カランコロン‐


滅多になる事のない扉に付けられた鈴の音が聞こえると、ロートは絶対あの人だと、すぐに声をかけようとした。


「おかえりな・・さい」

「ロート、帰って・・来た・・の」


余りにも思いつめた表情に、言葉を失う二人。


「二人とも、ヴァイスを連れで修道院の屋根裏部屋に来て欲しい」


固まった妹を抱きしめたシルヴィがコクンコクンと頷いて返す。

そのまま中古屋を出て行く。


「ヤバい、脅かし過ぎた・・」


久しぶりに会えた嬉しさ故のサプライズ、と思った馬鹿な男が、ここに一人いた。




商業ギルドへ向かうと、いつものグリューナが出迎えてくれる。


「お帰りなさい、シュバルツさん。遺跡探索は如何でしたか?」

「その前に二人で話せる場所ってありますか?」

「えっ!? ええ、あります。こちらへどうぞ」


シュバルツを伴って個室へと案内する。


「それでどう言ったご用件でしょうか?」


黙ってアイテムを机の上に乗せる。


「・・ま、まさか!?」


緑色のヒスイと思われる石が連なったネックレスであった。

親指と人差し指で輪を作った程の大きさで、何やら文字らしきものが掘られている。


「アーティファクトですか!?」

「分かりません。ただ島より出土しました。使い方も分かりません。

(嘘です。『鑑定』で海の上を歩く道を作るアイテムと出てます)」


商業ギルドに渡す前に、それらしいアーティファクトを選んでおいたのだ。

尤も誰にでも使える訳ではなく、きちんと調べた上で適性が無いと動作しない。


「手にとってもよろしいですか?」

「どうぞ」


グリューナが鑑定をするが、全く分からず未知の物であった。


「これを如何されるおつもりですか?」

「正直、個人では手に余ります。商業ギルド経由で信頼のおける所に販売して下さい」

「承りました。まずは商業ギルドの方で入念に調査してからでよろしいですか?」

「それで結構です。手数料は月会費込みで販売価格を折半と言う事でお願いします」

「せ、折半って、5割ですか!?」


アーティファクトの最低価格は金貨千枚と言われている。

物が物だけに品質価格も市場価格も無く、オークションなのである。


「本気・・なんですよね?」

「勿論、本気の本気ですよ」


確かにシュバルツの言う通り、個人の手には余る代物に違いない。


所業ギルドを頼ると言うベストな方法を選んでくれた事に、心の中で感謝する。






ヴァイスは両腕をシルヴィとロートにがっちりと抱きかかえられていて、どうやってノックをしようかと馬鹿な事を考えていた。


「ヴァイス姉・・」

「ヴァイスお姉ちゃん・・」

「大丈夫よ、まったく」


二人の話を聞いた時に頭に浮かんだのは呪いだった。

正確には遺跡を守るためのトラップらしいのだが、いつの間にか呪いにかかっている場合が多いと言う。


「さあ、行きましょう」


二人はヴァイスの手から腰に移動して自分の背中に隠れる二人。

しょうがないわねぇ、と言う感じで苦笑いしながら扉をノックする。


「どうぞ」


声がかかり扉を開けると、甘い芳醇な香りが部屋に充満しており、三人とも思わず涎が出そうになる。


「悪いな呼び出して。ちょっと相談したい事があってな。

あっ、それお土産ね。食べていいよ」


テーブルの上には見た事もない不思議な物体を指さす。

握りこぶし二つほどの長さで、湾曲しており、黄色く房となっている。

部屋を満たす香りは、お土産と称するこの物体からの様だ。


「どうやって食べるんですか?」


流石はロート、食べ物に関しては素直である。


「房から一本折り取って、黄色い部分が皮だから剥いて、白い実の部分をパクリとね」


見よう見まねでロートが一口食べると、猛烈な勢いで食べ始める。

シルヴィとヴァイスも恐る恐る食べてみる。


「!? 甘っ」

「何これ、柔らかい」

「美味しい美味しい」


次々と手に取っては、口へと運ばれていく。


「どうやら気にいってもらえたみたいだね」


シュバルツがにこやかに聞くと、三人とも頬張りながら頷く。


人心地着くと、三人がお土産の食べ物について聞いて来る。


「これは何なの?」

「実芭蕉という果物だね」

「全く知らないよ」

「それは良かった」

「何が良かったんですか?」

「ん? この実芭蕉の苗を見つけてね」

「「「!?」」」


シルヴィとロートはもっと食べられる、ヴァイスは商売になると顔に出ていた。


「売れると思うかい?」

「絶対に売れる、売れるわ。いえ、売って見せる」

「ちょっと待て。ヴァイスの所に卸すとは言ってないぞ」

「えっー、いけず」


ヴァイスとしても、シュバルツが何らかの店を持つだろうとは予想していた。


「苗の数がそんなに無い上に、食べてもらって分かっただろうけど種らしいものが無い」

「ちょっとそれは売り物として難しいわね」


次世代を残せなければ、定期的な販売には結び付いていかない。


「しばらくは孤児院の方で育成をやってもらおうかと思ってる」

「育成だけ? まぁ種がないからそうなると思うけど・・」

「どうやら親木から若い芽を利用するらしいんだが、試行錯誤だな」

「ふーん、なる程。

孤児院には植林事業で協力してもらっているし、農園も営んでいるから上手くいくかもね」


ヴァイスがニヤニヤすると、シルヴィとロートも釣られてニヤニヤする。


「まあ上手くいけば、最初は屋台から始めても良いかなと思っている」


ぶっきら棒に答えると、シュバルツは次の話題へと変える。


「ヴァイスを呼んだのは理由はもう一つの方でな。そっちを手伝って欲しい」

「何? もう一つって?」


既に話は終わったと思っていたヴァイスは首を傾げる。


「材木商だから建物の事も詳しいだろう?」

「そこそこにはね」

「ちょっと面白い物が手に入ったから店をやろうと思ってな」

「どんなものか聞いても?」


先輩商人として、店を持ちたいと言うシュバルツに助言が出来る。


「蒸気発生装置。水を一瞬で沸騰させる魔道具だと思って欲しい」

「ふむふむ、それをどうするのかしら?」

「小さいから一瞬で沸騰させられる量もたかが知れているけど、大量の水だったらどうなると思う?」

「徐々に沸くんじゃないかしら?」

「その通り。そのお湯を使って大衆浴場が出来ないかと思ってな」

「「「大衆浴場!?」」」


三人のあまりの勢いに、若干引き気味となる。



‐ お風呂 ‐ 

それは全ての人が求める理想郷である、特に女性。

資材や労力が半端無く、庶民には高嶺の花である。



「大衆浴場って、あの風呂の事よね!?」

「く、首を絞めるな・・」


ヴァイスが勢い余って、シュバルツの首を絞めている。


「お風呂お風呂お風呂お風呂!?」

「そ、そ、そ、そうそう」


シルヴィがシュバルツの体を前後に激しく揺さぶる。


「もごもがもぐもご!?」

「ロート、口の中の物を飲みこんでから喋ろうな」


ロートが両手を取ると胸元で握りしめて、目をキラキラさせいる。


「ええーぃ、落ち着け三人とも!」


何とか三人を振り解こうとするが、逃がさないように却ってがっちりと掴まれる。


「き、君たちが思っている風呂で間違いない」

「「「おぉ!」」」


三人は興奮状態、テンションMAXである。


「水汲みは必要になるから、孤児院の手を借りようかと思っている」

「ぶーぶーぶー、こっちは私だけにさせてよ」


流石のヴァイスも文句を言ってくる。


「分かった分かった。正直なところ実芭蕉も大衆浴場もヴァイスの協力が欲しい」

「うんうん、そうでしょうそうでしょう」

「ただ俺もギルドから何らかの店を持てと言われているし、孤児院の定期収入を考慮してくれれば、後は任せてもいい」


シュバルツの出してきた条件を吟味し始める。


「うーん、少し考えてみる。共同経営・・、いや分業? 住み分けを上手くする?」

「あーあ、ヴァイス姉が自分の世界に入っちゃった」


シルヴィはしょうがないなぁーと、幼馴染の姉を見守っている。




ロートは逆にシュバルツを見つめて、聞きにくかった事を聞いて来る。


「シュバルツさん、遺跡から帰って初めて家に寄った時・・、何かあった?」


シルヴィとヴァイスもハッとしたかの様に、シュバルツの方を見る。


「今までが本題と言えば本題なんだが、これから話す事を良く聞いて欲しい。おしゃべりも禁止だ」


ロート、シルヴィ、ヴァイスとゆっくり一人一人に視線を送ると、三人とも頷く。

ちなみに脅かしすぎた反省として、必死に言い訳じみた理由づけを考えておいた。


「遺跡と言うか、島全体をトレジャーハンティングして、アーティファクトらしきものを見つけた。

蒸気発生装置もその一つだ」

「「「っ!」」」

「現在は商業ギルドに鑑定を依頼しているが、グリューナさんでさえ鑑定出来ない。

万が一ヤバい代物だとしたら、この中の誰かがトラブルに巻き込まれる、絶対にだ」

「「「・・・」」」

「オークションの平均金額が・・、金貨千枚」

「「「っ!?」」」


金貨千枚・・、縁者は誘拐、脅迫など間違いなく犯罪に巻き込まれる。


「これから一切外では、トレジャーハンティングの話は禁止する。それはゴルドの定食屋も含まれる」


そーっとシルヴィが手を挙げるので、シュバルツが頷いて会話を許す。


「ゴルドさんが裏切るとは思えないんだけど」

「心配しているのは逆だ。協力者としてトラブルに巻き込まれるのを防ぐためだ」

「ごめん、考えが足りなかった」


シュバルツの考えが分かると、すぐに謝って沈黙を守る。


「今後の調査は細心の注意を払うべきなんだが・・」

「重要な調査箇所である商業ギルドや冒険者ギルドから、情報が漏れる恐れはあるわ」


秘匿義務があるとはいえ、言葉の端々といった些細な所から情報は漏れてしまう。


「出来ればシルヴィとロートには外れて欲しいんだが・・」


名前の出た二人は、体をビクリと震わせる。


「攻略済みダンジョンの調査は引き続きお願いして、遺跡に関しては俺一人でやる様にしていこうと思う」

「「はい!」」


シルヴィとロートは安心したのか、ホッとにこやかな笑顔に戻る。


本当の本当は全て諦めさせたかったのだが、二人の表情を見て急遽ダンジョン調査だけは残した。

ヴァイスがこの甘ちゃんめ、と言わんばかりに軽く睨みつけて来たのは無視する。





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